久しぶりにテレビで見直す機会を得た。初めて見た79年の公開時に書いたメモを。
この映画の監督であるコリン・ヒギンズが脚本を書いた『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』(71)に続いて、 『大陸横断超特急』(76)を見た時に、面白い映画作家が出てきたと思い、陰ながら注目していたのだが、監督デビュー作のこの映画を見て、あらためてその非凡さを知らされた。ブライアン・デ・パルマがヒッチコックのサスペンス面での後継者だとすれば、このヒギンズはユーモア面での後継者だと言えるだろう。ちなみに、ファール・プレイとは“反則”の意。
この映画は、山あり谷ありのストーリー展開、ヒロインのゴールディ・ホーンの魅力もさることながら、ユーモアに加えて、ちょっとしたサスペンスがあり、おまけに『ブリット』(68)をほうふつとさせるサンフランシスコでのカーチェイスや、オペラ(「ミカド」)の挿入もありとサービス満点。
バージェス・メレディス対レーチェル・ロバーツの珍妙なカラテ合戦や、怪しい指揮者役のダドリー・ムーアのずっこけぶり、妙な日本人夫婦といった脇役たちも大活躍。最後は、ヒッチコックの『知りすぎていた男』(55)のパロディを経て、めでたしめでたしのハッピーエンドで一件落着。いやはや楽しい映画でした。
【今の一言】今から30年余り前に書いた何とも稚拙な一文だが、当時、コリン・ヒギンズに期待していたことだけはよく分かる。そのヒギンズは、この映画の後『9時から5時まで』(80)を監督し、好評を得たが、88年にエイズのため47歳の若さで亡くなっている。それにしても、我ながら、主役のチェビー・チェイスについて全く触れていないのはいかがなものかと思う。