毎年受講している文京学院大学の「映像で読み解く現代社会」。
https://www.ext.u-bunkyo.ac.jp/cgi-bin/lecture/lecture2.cgi?c=literature&mode=detail&no=A11
その下準備として1984年、サッチャー政権下の英ウェールズを舞台に、炭鉱の閉鎖を迫られた労働者が起こしたストライキを背景にした『リトル・ダンサー』(00)と『パレードへようこそ』(14)を見てみた。
ウェールズの炭鉱を舞台にした映画と言えば、古くはジョン・フォードの『わが谷は緑なりき』(41)を思い出す。あの映画にも炭鉱のストライキが描かれていたが、この2作はどちらかと言えば変化球的な異色作だと言えよう。
片や男の子がバレエダンサーを目指す! こなた同性愛者が炭鉱労働者を助成する! という逆説的で意外性のある、まるでギャグのような話を語りながら、80年代のイギリスが直面していた問題を浮き彫りにしている。
そこには性差、性趣向、少数派、差別、労働、階級差、組合、人情、閉塞的な状況の打破、あるいはマッチョイムズへのアンチテーゼといったさまざまなテーマが盛り込まれている。
84年当時、日本ではウェールズの炭鉱問題はあまり報道されなかったように思う。映画を通じてこうした問題を知るということも大切なのだ。
「マーガレット・“ファッキング”・サッチャー!」と叫ぶ労働者の声が印象に残った。