水崎綾女が大化けした!
視覚障害者向けの映画の音声ガイドを担当する美佐子(水崎綾女)は、弱視のカメラマン(永瀬正敏)と出会い、反発しながらも、やがて心を引かれるようになるが…。
一般的になじみのない、音声ガイドの仕事を見せながら、劇中映画「その砂の行方」を見せるという二重構造。視力(光)を失っていくカメラマンの姿を中心に、一番大切なものを失う人間の絶望感や焦燥、人生の不条理を描く。大げさに言えば、なぜ、よりによってベートーベンが聴力を、アベベが脚力を失うことになるのかという不条理にも通じる重いテーマだ。
それが描き切れているとは思えないが、以前の河瀬直美の映画に比べるととても分かりやすくなっている。また、河瀬による美佐子の心理描写がいささか弱いのが難点だが、比較的地味な女優だった水崎が大化けした映画としても記憶に残るだろう。カリスマキャバクラ嬢を演じた『ユダ』(13)の時に取材したので余計そう思うのかもしれないが…。
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/52806