『街中の拳銃に狙われる男』『シェラマドレの決斗』『大砂塵』『戦略空軍命令』『軍法会議』『追われる男』『ザーレンからの脱出』『ケンタッキー魂』『男の叫び』『紅の翼』『遥かなる地平線』『砦のガンベルト』…。最近、映画DVDの「復刻シネマライブラリー」で解説を書かせていただいている。
そのほとんどが自分が生まれる前に作られた映画なので、当然未見のものもある。というわけで、公開時に発行されたB5版の小型パンフレット=プログラムが、当時の世相や映画の評判、スタッフ、キャストの動静などを知る上での貴重な資料となる。
最近は、ネット通販が盛んだし、神保町の古書店などでもきちんと整理されて置かれているところもあるのでとても助かる。値段も、もちろん例外はあるが、以前に比べれば適正価格に近いのではないかと思う。これはコレクションしていた人が亡くなり、遺族が処理に困って安価で売るという流れとも無関係ではあるまい。まあ、興味のない人にとってはただの紙屑なのだろうが…。
そのほとんどは、例えば「国際出版社」「外国映画社」「新世界出版社」など、無名の(今はなき?)出版社が作っているのだが、内容はとても濃い。翻訳記事も多く、読み物としてとても充実しているのである。多くの記事は、出版社や宣伝会社の人が書いたと思われるが、双葉十三郎さんのような大物の記事も載っているし、スチール写真を加工した独特の表紙にも味がある。何より、昭和20~30年代は、映画が文化の一つだった、ということを改めて実感させてくれるのだ。