田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『この道』

2018-10-15 10:54:56 | 新作映画を見てみた
 童謡誕生100年記念作品(何をもって童謡の起源とするのだろうか)として、詩人・作詞家の北原白秋(大森南朋)の半生を、作曲家・山田耕筰(AKIRA)との共同作業を中心に描く。



 白秋を偉人ではなく、今で言う“ダメンズ”として描く半面、彼のリズム感にあふれた詩を、ラップのように解釈しているところが面白い。ただ、「からたちの花」と「この道」にスポットを当て過ぎた気もする。もっと他の歌も扱えば、彼らの共同作業の多面性が描けたはずだと思うのだが…。

 また、白秋を中心に、与謝野鉄幹(松重豊)、晶子(羽田美智子)、鈴木三重吉(柳沢慎吾)ら、明治後期から大正の詩壇の群像が垣間見えるところもある。

 ちなみに彼らの生年は、白秋:1885(明治18)年、耕筰(1886)、鉄幹(1873)、晶子(1878)、三重吉(1882)の他、石川啄木(1886)、高村光太郎(1883)、萩原朔太郎(1886)、室生犀星(1889)、菊池寛(1888)となる。
 
 劇中、白秋と耕筰が、意にそわない校歌や社歌を多数作った場面が出てきたが、実はわが母校、高校の校歌は作詞・鉄幹、作曲・耕筰であり、大学の校歌は作詞・白秋、作曲・耕筰によるものだった。
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旧作映画の小型パンフレット2

2018-10-15 09:58:52 | 1950年代小型パンフレット

 1985~86年頃、銀座文化(現シネスイッチ)で往年の名画を連続上映した際に、復刻発売されたパンフレットが手元に残っていたことを思い出した。

『オペラハット』(36)『スミス都へ行く』(39)『錨を上げて』(45)『第三の男』(49)『サンセット大通り』(50)『探偵物語』(51)『バンド・ワゴン』(53)『グレン・ミラー物語』(54)『麗しのサブリナ』(54)『王様と私』(56)『情婦』(57)『お熱いのがお好き』(59)『女房の殺し方教えます』(64)



 中には「“錨を上げて“とジーン・ケリイの創意(岡俊雄)」、「『麗しのサブリナ』ワイルダーの演出神経(飯田心美)」、「『お熱いのがお好き』ワイルダーは、おふざけが好き(淀川長治)」、「情婦』巧緻な演出になるクリスティの法廷ドラマ(植草甚一)」、「王様と私」の鑑賞(野口久光)などなど、興味深い記事が並ぶ。いまさらながら、公開当時を知るには、これはとてもいい資料だと思う。

 ところで、自分は真の古書コレクターではないので、内容さえ分かれば復刻版でも一向に構わないと思っていたのだか、最近、古書店などで安価で売られている“本物”を見ると、つい買ってしまう。昨日もこんなものを見つけた。これは困った傾向だ。

『必死の逃亡者』(55)『居酒屋』(56)『OK牧場の決斗』(57)『暴力教室』(55)『夜を逃れて』(57)

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