『007/私を愛したスパイ』(77)(1983.5.22.月曜ロードショー)
ストーリーは相も変わらぬ荒唐無稽なもの。自然、その中の興味は、毎回入れ替わるテーマ曲とボンドガール(寅さんのマドンナみたいなものか)、あるいはボンドの敵役やその手下の殺し屋のキャラクターが大きな比重を占めることになる。
今回は、まずカーリー・サイモンが歌ったテーマ曲が抜群。ボンドガールのバーバラ・バックはわが好みではなかったが、敵役のクルト・ユルゲンスと、その手下のジョーズことリチャード・キールの好演が光った。
さて、このシリーズを見て毎回感心するのは、何と言ってもボンドの影武者=スタントマンたちのすごさである。子どもの頃は、ショーン・コネリーやロジャー・ムーアは何とすごいアクションをするのだろう、などと単純に思っていたのだから、こうした夢物語の裏作業を知ってしまうのも良し悪しということになる。
また、このシリーズはストーリーが荒唐無稽な分、しばしば国際紛争の場が舞台となるのだが、その中心にはジェームス・ボンド、つまり大英帝国がいるという、いささか時代遅れ的な設定になる。こんなところにかつて世界を支配した大英帝国のプライドが残っている、と考えると、ちょっとおかしいような、悲しいような、妙な気分になる。
「007」シリーズ その2
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不死身の殺し屋“ジョーズ”死す
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