田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『コーラスライン』

2023-12-08 21:58:28 | 映画いろいろ

『コーラスライン』(1986.2.25.丸の内ピカデリー1)

 ブロードウェーの新作ミュージカルのバックダンサーを選ぶオーディションで、予備審査で残った17人のダンサーが、演出家(マイケル・ダグラス)を前に自分自身を吐露していく様子を描く。

 有名舞台劇の映画化は、すでに視覚イメージがあるものを新たにフィルム上に焼き付けていく作業だから、作り手としては非常にやっかいなものなのではないか。にもかかわらず、『アマデウス』(84)にしろ、この映画にしろ、実にそつなく見事な映画にしている点には敬服する。

 しかも、この映画の監督はリチャード・アッテンボロー。前作の『ガンジー』(82)とは全く違う題材なのに、変幻自在の演出ぶりがすごい。例えば、ボブ・フォッシーのように、ショウビズ界にどっぷりと漬かった者とは違い、一歩引いた視点から描いているためか、『オール・ザット・ジャズ』(79)のような陰惨な印象はなく(あれはあれですごい映画なのだが…)、後味のいい人間賛歌、あるいはアメリカの縮図として仕上げている。

 また、演じる俳優たちの姿が役柄とオーバーラップしてくるところは、原作舞台の長所であろうが、それを映画として生かしたアッテンボローの手腕はお見事。加えて、隅から隅に至るまでの一人一人のダンサーたちの素晴らしい芸には、アメリカのショウビズ界の人材の幅広さや競争の厳しさを見せつけられたかのようで圧倒される。

 そして、特筆すべきはマービン・ハムリッシュ作曲のミュージカルナンバーの数々だろう。『スティング』(73)『追憶』(73)などで、その才能はすでに証明済みだが、この映画でも「ワン」をはじめ、また何曲も名曲を残してくれた。

 こうしてみると、監督、キャスト、スタッフ、音楽と、素晴らしい才能が集まって、それが一つになることで、初めてダンスシーンが映像として生きてくることが分かる。そして何と言ってもラストの「ワン」が素晴らしい。

 自分のように、映画に比べると舞台は…と思っている者にとっては、この素晴らしい題材を映画として生かしてくれたスタッフ、キャストに感謝しなければならない。
 
 テレビの「オレたちひょうきん族」でやっているパロディドラマはどうもいけない。この映画も、見る前に「コーラスカイライン」なるパロディ版を見せられたおかげで、シリアスな場面でそれを思い出して、思わず笑いそうになる始末。逆に言えば、見事にパロディにしているということになるのだが…。


「One」A Chorus Line Movie Finale
https://www.youtube.com/watch?v=s9pAGWtUiJ8



 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

島崎俊郎のアダモちゃん

2023-12-08 09:35:17 | テレビ

 亡くなった島崎俊郎といえば、何といっても「オレたちひょうきん族」で扮したアダモステ(アダモちゃん)が最高。南洋の原住民風のキャラで、コントなどの最中に突然現れて意味不明の言葉を発する。多分ほとんどがアドリブで、たけしやさんまが本気で吹いていたのを懐かしく思い出す。今は放送コードに引っかかるのかな。

 アダモちゃんが突然現れる「タケちゃんマン」のコーナーでは、当時の公開映画をパロディにしたミニドラマがよくあった。

覚えているのは
「戦場のメリーさんの羊」(『戦場のメリークリスマス』83
「フレッシュダンス」(『フラッシュダンス』83
「イルマの竪琴」(『ビルマの竪琴』85
「おいで夜っ叉」(『夜叉』85
「バック・トゥ・ザ・富由知家」(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』85
「コーラスカイライン」(『コーラスライン』85
「遊駿」(『優駿』88)…。

 島崎がリーダーだったヒップアップ(島崎、川上泰生、小林進)のギターを絡めたネタのエンディングの「♪それでは、お別れしましょ。あなたと、サヨナラしましょ。ご機嫌、うるわしゅう~♪』(二葉あき子の『さよならルンバ』の替え歌らしい)も好きだった。これが宝塚の「すみれの花咲く頃」のパターンもあった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「金曜ロードショー」『ズートピア』

2023-12-08 08:30:09 | ブラウン管の映画館

『ズートピア』(16)(2016.6.7.)

相棒物語
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a77de3b015c979d8be1d15f139ae2831

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「BSシネマ」『シン・ゴジラ』

2023-12-08 08:00:47 | ブラウン管の映画館

『シン・ゴジラ』(16)

東京湾に『シン・ゴジラ』!?
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/3fe681f9e858443053eb2dad4249aca1

『シン・ゴジラ』(再)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a8b731deeb233a3524d3bb3be27b3bfa

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ほぼ週刊映画コラム】『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』『ポッド・ジェネレーション』

2023-12-08 07:19:31 | ほぼ週刊映画コラム

共同通信エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は
ティモシー・シャラメが魅力的なウォンカ像を構築した『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』
妊娠や子育てについて考えさせる『ポッド・ジェネレーション』

詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1414944

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする