『シン・仮面ライダー』(2023.3.29.TOHOシネマズ日比谷)
石ノ森章太郎の漫画をドラマ化した「仮面ライダー」(71)を庵野秀明の監督・脚本で新たなオリジナル作品として映画化。主人公・本郷猛/仮面ライダーに池松壮亮、ヒロイン・緑川ルリ子に浜辺美波、一文字隼人/仮面ライダー第2号に柄本佑。
『シン・ゴジラ』(16)『シン・ウルトラマン』(22・脚本)に続いて、今度は「仮面ライダー」と来た。ただ、個人的には、ゴジラやウルトラマンと比べると仮面ライダーに対するこちらの熱中度や思い入れは薄い。これは「ウルトラマン」(66~67)や「ウルトラセブン」(67~68)に対する「帰ってきたウルトラマン」(71~72)と通じるところがある。
そして、現代流にアレンジされ(あそこまでのバイオレンス描写は必要か)、専門用語が飛び交う展開(何か高尚なものを見ているような錯覚に陥らせる効果がある)に違和感を抱かされるところは『シン・ゴジラ』や『シン・ウルトラマン』と同様。
では、この映画は救いようがないほどひどいのかといえば、決してそうではないのだから困ってしまう。これも『シン・ゴジラ』や『シン・ウルトラマン』の時と同様の感慨だ。
例えば、原作やオリジナルドラマに対する敬意が端々に感じられ、ライダーや怪人たち、サイクロンの造形もいい。そしてラストの立花(竹野内豊)と滝(斎藤工)の名乗りなどは、自分のようなオールドファンにはたまらないものがあった。
『シン・ウルトラマン』のときに、「庵野秀明は自分と同い年だから、『ウルトラマン体験』には共通するところが多いと思う。だからこそ、わが意を得たりと思うところと、そうじゃないだろ、というところが相半ばして、複雑な思いにとらわれるのである。何だか、勉強が出来て理屈っぽい同級生の研究発表を見せられたような、妙な気分になった」と書いた。
今回は「仮面ライダー体験」の濃淡が違ったが、見終わった後の感慨は似たようなものだった。
先日、「帰ってきたウルトラマン」に主演した団次朗が亡くなり、すぎやまこういち作曲のテーマ曲を何度か耳にしたが、この映画のラストに流れる「レッツゴー!! ライダーキック」(作詞・石ノ森章太郎、作曲・菊池俊輔、歌・子門真人)を聴きながら、どちらも放送は自分が小学5年生の時だったことに思いをはせた。
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