『ファーストキス 1ST KISS』(2025.2.12.MOVIX亀有)
硯カンナ(松たか子)は、結婚して15年になる夫の駈(松村北斗)を事故で亡くした。2人の結婚生活は倦怠期が続いており、事故当日は離婚届を出す日でもあった。その後、ある出来事から15年前に戻ったカンナは、自分と出会う直前の駈と再会する。そして何度もタイムトラベルを繰り返すうちに、やはり駈のことが好きだったと気付き、15年後に起こる事故から彼を救うことを決意するが…。
ドラマ「花束みたいな恋をした」(21)や映画『怪物』(23)の脚本家・坂元裕二と『ラストマイル』(24)『映画 グランメゾン★パリ』(24)の監督・塚原あゆ子が初タッグを組み、オリジナルストーリーで描いた恋愛映画。
研究員時代の駈を気にかける大学教授役でリリー・フランキー、駈に恋心を抱く教授の娘役で吉岡里帆、カンナと共に働く美術スタッフ役で森七菜が共演。
タイムトラベルものには目がないのだが、その点ではこの映画は緩々で、見ながら「えっ?」となるところも多く、突っ込みどころが満載。もっともタイムトラベルものに難癖をつけ始めたらきりがないし、心底楽しめなくなる。もともとあり得ない話なのだから、細かいことは気にしないようにして見た。
全体の乗りとしてはラブコメで、「トンネルを抜けるとそこは雪国であった」ならぬ「トンネルを抜けるとそこは15年前であった」であり、『時をかける少女』ならぬ「時をかけるおばさん」といった感じ。ただし、夫婦や結婚についてのあるあるとして見ると身につまされることが多くて困ったし、松と松村がメークの助けも借りながら若年と中年を演じ分けていたのも面白かった。
ちなみに、特殊能力を使っての時間旅行は「タイムリープ」と呼ばれる。それを扱った映画は、『時をかける少女』(83)『未来の想い出』(92)『バタフライ・エフェクト』(04)『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』(13)などがある。
そして、同じ時間を何度も繰り返す=時間の反復は「タイムループ」と呼ばれる。これは描き方によってはまさに“ネバーエンディング・ストーリー”にもなるわけだが、『恋はデジャ・ブ』(93)『タイムアクセル12:01』(93)『ターン』(01)『ミッション:8ミニッツ』(11)『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(14)『コンティニュー』(20)『パーム・スプリングス』(20)『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(22)『リバー、流れないでよ』(23)『ペナルティループ』(24)など、どちらかと言えば、ここに佳作が集中している気がする。
また、結婚をめぐるパラレルワールドものとしては『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』(19)と近々公開のリメーク版『知らないカノジョ』(25)がある。この映画にはそれらの要素が入り組んでいるが、最も近いのは『アバウト・タイム~』かな。
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