田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『可愛い配当』

2019-04-18 11:11:19 | 1950年代小型パンフレット
『可愛い配当』(51)(1993.7.)



 娘(エリザベス・テイラー)を嫁がせるまでの父(スペンサー・トレイシー)の心情を中心に描いた『花嫁の父』(50)の続編。今度は初孫の誕生に戸惑う父の心情と、孫をめぐる妻方の両親と夫方の両親の騒動を描く。監督は前作に引き続きビンセント・ミネリ。

 続編を先に見るのはもちろん本意ではないが、旧作映画の鑑賞にはよくあること。リアルタイムではないので仕方がない。加えて、今のリズとのギャップや、映画が描く家族像の変化とも戦いながら見なければならない。何しろ40年以上も前の映画なのだから。

 しかも、この映画は続編ということもあってか、無理に話を作った感じがし、全体的に中途半端な印象を抱かせる。そのため、この後のアメリカがたどった道を考えると、この映画の赤ん坊はベトナム戦争には行かなかったかもしれないが、親に反抗してヒッピーになったかもしれない。そして今は…などと皮肉な空想をめぐらせてしまった。

 また、トレイシーが父親役を演じたこの2本の映画と、後年の、娘が黒人の恋人を家に連れて来る『招かれざる客』(67)での苦悩の違いも、時代の変化を象徴しているように思えた。

スペンサー・トレイシー


エリザベス・テイラー


【今の一言】
 リメーク作として『花嫁のパパ』(91)と続編の『花嫁のパパ2』(95)がある。父親役は喜劇怪優のスティーブ・マーティン、母親役は新たな個性派として鳴らしたダイアン・キートンで、2人がこうした役をやるのは少々意外に思え、随分丸くなったなあ、という印象を受けた。

スティーブ・マーティン


ダイアン・キートン


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ピノキオ』 | トップ | 『真夏の夜のジャズ』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

1950年代小型パンフレット」カテゴリの最新記事