『ホワイト・ノイズ』(2022.10.29.よみうりホール.東京国際映画祭)
化学物質の流出事故に見舞われ、死を恐れる大学教授のジャック・グラドニー(アダム・ドライバー)が、妻バベット(グレタ・ガーウィグ)の秘密を知る。夫婦が“死”を身近に感じる環境下で、愛や幸福感といった漠然とした問題と向き合っていく。
ドン・デリーロの同名小説を、『イカとクジラ』(05)や『ヤング・アダルト・ニューヨーク』(14)のノア・バームバックの監督、脚本で映画化。
人間には生まれたその時から、死への道を進み始めるという不条理がある。死への恐怖に取りつかれた夫婦の姿を、シュールに描いたブラックコメディー。
全体的にはウディ・アレンやウェス・アンダーソンの諸作をほうふつとさせる。特に、夫婦がたどり着いた“楽観”に『ハンナとその姉妹』(86)のラストを思い出した。それにしてもドライバーはこういう映画にはぴったりの怪優だ。
また、オープニングの騒々しい家族の日常風景の長回しはロバート・アルトマン風、事故後の家族の様子はスピルバーグの『未知との遭遇』(77)を思わせるところもある。
東京国際映画祭の一環ということで、会場は外国人の観客も多く、彼らは頻繁に笑っていたが、正直なところ、何で笑っているのか分からないところもあった。こういう映画を見る場合は、言葉や生活習慣の違いが大きく作用すると改めて感じさせられた。
とはいえ、この映画はNetflix製作の配信もので決して大作ではないのだが、こうして劇場で見ると、やはり「映画を見た」という気分にはなる。
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