硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

恋物語 5

2021-03-08 21:12:39 | 日記
特異体質とは、例えば、霊感の強い人ならば、背後霊や守護霊が見えるように、私には相談者の背後に『色』が見えた。
そして、『色』は、相談者のその時の感情によって変化する特性を持っていて、鏡に映る自分には何も見えないものだった。
その『力』の出力には、不公平さも感じたし、損をした気分にもなったが、回を重ねてゆくうちに、相談者の背後に浮かぶ『色』の移り変わりを観察しながら言葉を選ぶという相談のツールとして使えるまでに向上した。
だからといって、驕り高ぶることはしない。
それは、『色』が見える事が「才能」であるなら、その「才能」を「優しさ」に使うことでしか、「才能」は発動しないと考えているからだ。

しかし、この力を連続で使い続けると、著しく体力が奪われることが、唯一のデメリットである。
いつだったか、一日に3人の相談を受けた時は、倒れそうになるほどの精神疲労に見舞われた。それでも、恋愛相談を重ねてゆくにつれ、

「人間を不安にするのは物事ではなく、それについて抱く臆見である。」

という、古代の哲学者の言葉が、感覚的に理解できるようになりつつあった。
その感覚は、高校生という肩書を持つ間で得た一番の収穫ではないかと感じているが、疲労は疲労である。疲労は回復せねばならない。

私の疲労回復の手段といえば、ベッドに寝っ転がって、好きな映画を観て過ごすのが一番だ。
ストレス解消にはスパイアクション映画が鉄板で、特に、トム・クルーズ「ミッションインポッシブル」はよく観る。
クールでタフでセクシーなヒーローは何度見ても私の心を救い上げてくれるのである。
だからと言って、タフでセクシーな男性が恋愛対象かと言えば、それはまた別とだという自覚はある。
なぜなら、セクシーな男性にはセクシーな女性がお似合いなのは世界が認めている事実であり、冴えない私がヒーローの横にいる事は絶対にありえないと思うからである。

などと、ベッドに寝転がり、あーでもない、こーでもないと思いを巡らせていると、

ポヨポヨッ

携帯がLINEの着信を知らせた。