硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

恋物語 11

2021-03-18 21:25:52 | 日記
駅前のマック。午後6時。すっかり日は落ち、街灯やお店の灯りが足早に歩く人の姿を映しだす時間。駅のプラットフォームが見下ろせるマックのカウンター席で先輩を待つ。
このお店は、私が使う駅と先輩が使う駅の間の駅にあって、皆で遊びに行った帰りや、部活帰りの先輩によく驕ってもらった思い出のお店だ。

改札口を見ながら携帯を触っていると、先輩からのLINEが届いた。

「駅についた」

「マックの2階にいます」

「り」

目を凝らして探していると、先輩が駅から出てくるのが見えたから、おおきく手を振ると、先輩も私に気付いてくれて、手を挙げると、ドリブルする時のように軽いステップで沢山の人をかわしながら走ってきた。
久しぶりの再会。私の無理なお願いにつき合ってくれてほんとにありがとうです。

「久しぶり! 」

先輩は爽やかに手を挙げて私のいる席にゆっくり歩いてきた。
私もつられて、小さく手を挙げる。このシチュエーション、ちょっと照れるな。
大学に進学した先輩は、髪を染めたせいか、マスクをしているせいか、BTSのシュガに凄く似ていた。これはモテて当然だわ。

先輩、微笑んでる。なんだか緊張するぅ。私、慌てて立って「いきなりなお願いをしてすいません。」と、頭を下げると、

「ああっ、ぜんぜん気にしなくていい。それよりもなんか食べようよ。驕るよ。」

と、言って緊張している私を和ませてくれた。いつもの優しい先輩のままだよぉ。

「いえっ。私が無理なお願いしたのだから、私が驕ります。」

ちょっと気を張って返事をすると、先輩は爽やかに笑った。

「変わらないなぁ。じゃぁ、割り勘でいこうか? 」

「ええっ、でも・・・・・・。すいません。じゃぁ、割り勘でお願いします。」

ああっ、なんで甘えてしまうの私。バカ、バカ。

「素直でよろしい。じゃぁ俺が買ってくるから、お金は後でな。 ヒラはいつものやつでいい? 」

「あっ、そっ、そうですね。いつものでいいです。」

「わかった。じゃぁ待ってて。」

「はいっ。すいません。」

先輩は振り返ると軽快に階段を駆け下りていった。。