硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

恋物語 8

2021-03-11 20:15:22 | 日記
自分自身をなじる。でも、なじったところでどうにもならない。
それより、今は、綾乃の意見に私がどう答えるかが大切だ。これまでのように、よい助言に心がけるべきなのか、それとも、この気持ちを素直に発した方がいいのか。
あれっ、そもそも、綾乃と私の関係はなんだったのだろうか。

私の目に映る目標を持たない同級生の女子たちは、孤独を嫌い、徒党を組み、承認欲求を満たす為に労を費やしているように映っていた。
その中に私は溶け込めず、いつも、ふわりと浮いた感じになっていて、教室の隅っこにしか居場所がないと思っていた時、気さくに声をかけてくれたのが綾乃だった。
彼女は裏表がなく、天真爛漫に振舞えていて、私とは真逆な性格にまぶしさを感じていた。そして、綾乃といれば、彼女のようになれるかもとさえ思っていた。
そんな彼女の相談にのっていたのは、私が彼女に甘えたかっただけなのではないか。

「かまってほしかったのは、私だっ」

そう思えてくると、猛烈に恥ずかしくなった。
私は何を勘違いしていたのだろう。
川島君への想い、綾乃に対する「嫉妬」という感情も、私の中に眠っていたものが目覚めてしまっただけなのだ。
だからといって、この問題から逃げてはいけない。精一杯最善を尽くさねば、私は今よりさらに駄目になってしまう。
もし、私と綾乃の間に、友情というものがあるとするなら、川島君という存在は、それがなんなのか明白にしてくれるはずだ。
いや、そもそも、友情も愛情も分からない私が、そこで悩むのは間違ってる。
私に芽生えた感情を救ってあげられるのは、私しかいないのだ。私が私を救わなくってどうするのだ。
賢者、マリウス・アウレーリウスも自身にそう言い聞かせているではないか。

勇気を出せ私! 
振るえる指先に力を込めて、言葉を紡いでゆく。

送信。

「川島君、いいよね。私、好きなんだ」