鬼山竜也の住宅業界 商売の王道

良い家づくりに真剣に取り組んでいる方々が、お客様のためにより良い仕事が出来るようになるためのヒントになれば、嬉しいです。

【第1816回】 中古住宅が欧米に比べ、普及しない理由

2015年12月21日 | 住宅コンサルタントとして
今日の日経新聞に取り上げられていましたが、
国として中古住宅を欧米並みに普及させたい、とのことで、
そのためにさまざまな政策を展開していくとのことです。

住宅全体の流通における中古住宅の割合は、欧米は90%程度なのに対し、
日本は10%強で、全然及びません。

その理由を役人さんたちはどう考えているかわかりませんが、
中古住宅が日本で流通しない要因として考えられることをまとめます。

まず、建物の性能が先進国の中であまりに低すぎるということです。

そのレベルの低さは、ダントツです。

今の日本の住宅のレベルだとドイツやイギリスではほぼ、建築許可が下りないのです。
 
断熱・気密性能があまりに低く、
窓ガラスが結露しまくり、壁の中も結露している可能性が高く、
各部屋を閉め切って、局所暖房しなければ耐えられない。
それが日本の一般的な住宅。

更に使っている素材が戦後の資材不足の時代に開発された、
コストの安い新建材が中心で、味わいも湧かない。

また、デザインの勉強をしている会社が少ない。
頭の悪い不動産屋が新築のイニシアチブを持ってしまわざるを得ない体制なので、
ダサい家が建ちまくってしまっているのが現状です。

室内のクロスや窓まわりにカビが生えている。
明らかに劣化した見た目。
そして愛着を持てない、ダサいデザイン。

そんな中古住宅をリフォームして住みたいと思う人は少ないのではないでしょうか?

欧米なんかに行くと、古い建物、古い街並に何とも言えない味わいがあり、
そこをリフォームして住みたいと思わせてくれる感じなのです。

日本で、「ここに住みたい」と思わせてくれる建物が建っているエリアと言えば、
京都や白川郷、秋田の角館などの武家屋敷くらいでは無いでしょうか?
こうした日本伝統の建築物なら、
手をかけてリフォームして住みたいと思う方も多いでしょうが、
今、数多く建っているいる家でそこまで思える建物ってそんなにありますか?

法整備を整える前に、もっとその手前に
中古住宅が流通しない原因があると個人的に思っています。
コメント
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