
昨日は土用の丑の日でウナギの厄日、日ごろの数倍の仕込みという店主の満足そうな笑顔がいい。ウナギが獲れなくて値段は右上がりという。代替に近大産のナマズ、山陰では養殖のドジョウ、サンマもいいが今年は高価なのでイワシなどを蒲焼にするそうだ。我が家はいただいたウナギの蒲焼を美味しくいただいた。
しかし、1回くらいウナギを食べたからと言って簡単に暑さに耐えられるものではない。そんなしょうもないことを思いながら歩いていると、小柄でかなり年配の女性が、日陰に立ち止まって汗を拭いている。「こんにちは、暑いですね」と声をかけ通り過ぎようとすると、「暑いです。暑いですがあの木ではセミがよう鳴いとります。どのくらいるんですかのう」と向かいの大きな木を指す。
高さは2階の屋根を超えそうな木から何種類ものセミの鳴き声、まさに蝉しぐれ。セミは葉陰で姿は見ないし見えてもその数は分からない。そこで足を止めたのが失敗だった。あの声は何セミ、こんなに鳴いているのは何セミと蝉しぐれのように話しだす。セミに学があるのだろうが話題を変えた。「暑いですがどちらに」といらぬことを聞くと「お見舞いに」と近くの病院を告げる。
お見舞いに行く人とは、今度は入院している人の話になりかけたので「急いでいますので、お気をつけて」と強引にその場を離れた。初対面の人でどんな境遇の人かわからないが話し好きな人なのだ、アスファルトの照り返し道を歩きながら思う。しかし、初対面で知らない人に知らない人の話をされても話にならない、いや独り暮らしの方かな、とりとめのに事を思い振り返ったが姿は見えなかった。7月も晦日、暑さはこれから、ひと雨欲しい。