道路際一杯に建っている木造2階建ての古い家屋があった。人の住まない家はこうして崩れていく、そんな見本のよう朽ち方を見上げながら通っていた。次第に崩れ始め、2階の屋根瓦が滑り落ちるのでは、そんな心配になったころ、誰が置かれたのか紅白縞のコーンが置かれた。更地になって何年も過ぎたが何事も起きていない。
家自体は傾いていないようだが、放置されて相当期間過ぎている空き家が散歩道にある。見える部分はブルーシートで囲まれているが、それ自体が破損、破れ、色は白っぽくなっている。破れの個所から中が見える。乗用車が見える、雑多な物が不規則に積み上げられている。もしも火災が起きたら、散歩で通るたびに気になる。隣近所の方はどうなのだろう。
こちらも裏通りの散歩道で見る人が住んでいない、そう思い始めてもう何年になるだろうか。伸びた庭木の枝は道を超え向かいの家の屋敷へと侵入している。屋敷内は建物の壁を隠すようにゴミらしきものが積みあげられている。昔からの静かな住居地、ここでも燐家の人はどんな思いをされているのだろう。
我が家も建て30年、年金暮らしの夫婦で住まいしている。子どもらは遠くに居を構えており、今のところ帰省し移り済むことは考えられない。いつかは空き家状態になるかもしれない。その時までには近所迷惑にならないよう手立てを立て処方しておかなければ、などと時々思案する歳になった。
(今日の575) 人いなく折れ重なりし枯草が