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子どものころには誘蛾灯があちこちに立ち、青白い光に虫が群がる。あくる日の朝、灯りの下に置かれたバケツに浮ぶ虫の死骸を目にした。「こうせんと米が獲れんようになる」と農家の人から聞かされた。
今その場所は広い道が通り続いて商業地帯に変わった。ローカル線の小さな無人駅がそのころを懐かしんでいる。
先日訪れたリンゴ園で懐かしい誘蛾灯に出合った。「今年は虫が多く特にホウ(カメムシ)が多い。防虫のため何年ぶりかに使っている」そう言いながら見せられたバケツの中は昔見たと同じ情景だった。
バケツの中のホウ虫を見て、ある方のエッセイの1部を思い出し、ホウ虫の多い年なのだと思った。
近所の方にトマトを頂いた。小ぶりのトマト。1、2ヵ所白い部分がある。「今年はホウが多くて不作よ」と話される。ホウ虫に吸われた跡らしい。
猛烈な悪臭を出すこの虫を好む人は少なかろう。生きるために植物の汁を吸う。農作物には有害な虫となる。とはいえ、バケツに浮ぶ姿は少々気の毒でもある。
この写真は映画の1場面ではありません。何の加工もしておりません。撮るときには思わなかったが、パソコンに取り込んでその姿を見たとき、SF映画を思わせる画面に自身が驚いた。
写真は、誘蛾灯の上に張られた防虫用の糸に掛かった名前は知らないが「蛾」の1種と思う。誘「蛾」灯へたどり着く前に捕らえられた姿は少し残酷にも見える。
蛾の形態は蝶に似ているがこれも人に好かることは少ないだろう。怪物の襲来に見えるが、リンゴに近づく同類に注意を促している様にも見える。
(写真:宙ずりになっている蛾)