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花公園の中にある地元産の土産などを販売する店の入口に「ツバメが巣作りをしています」という立看板がある。なるほど、と見上げて店内へ。接待用のお茶をいただきながら品定め、店を出るとき作りかけの巣に目がいった。
何かおかしい。作りかけの巣のそばに取り付けられた板の台にツバメが1羽だけいる。飛び立っていこうとする様子もない。作りかけの巣は椀を向き合わせたように見える。高さはそれなりにあるが、二つの間は大きく開いていているというより欠けている。
何度かツバメの巣作りを見ている。その何れも2羽が一緒になって粘っこそうな土などを繰り返し運んでは巣を大きくしていた。そのとき、下方から椀形に作り上げていく。大きく開いた形は見たことがない。見上げていると「何度やっても巣を作りきりません」と店の人が奥から教えてくれた。
未完成の巣の上の方には湿った感じの土が付いている。今日も巣をつくろうとしていたのだろうが、今はそんな様子もなく、板の上でじっとしている。巣はつがいで作ると聞いている。連れあいに何か起こったのだろうか。
あのツバメは家族を作ることが出来るのだろうか。マイホームを持たないツバメはいない。早く完成させ子育てを終えないと南へ旅立てなくなるぞ、そんなことをおもいながら「頑張れ」とエールを送り店を後にした。
(写真:未完成な巣と1羽のツバメ)