発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

福岡モーターショー&自動車産業フォーラム

2012年01月28日 | 物見遊山
「福岡モーターショー」福岡国際センター、マリンメッセ、福岡国際会議場。

 福岡県のホームページからエントリーしておいた自動車産業フォーラムに向かう。福岡国際会議場の大ホールは1006席。ここは席がゆったりしていて好きだ。メモをとるのに便利な机が、肘掛けに内蔵されている。
 ダイハツの人の講演があって、そのあとパネルディスカッション。
 リアルTNP(低燃費)でSBN(そんなバカな)な話が聴けるといいな、と思って申し込んだのだが、大正解。超面白かった。
 「ダイハツ工業の小型車戦略」byダイハツ工業相談役・技監の白水宏典氏。
 内外の厳しい情勢のなか、日本の何が問題であるのか、大局的に見ながら、そのなかでの軽四輪事業のビジネスモデルについて語りまくるのだ。
 今の内外情勢を「どん詰まり状態」と捉える立場には、まったく立っていない。会社の問題は、経営側の舵取りの問題なのだと。
 リーマンショック、震災、原発事故、超円高、ユーロ情勢、TPPなど、内外でいろいろろな重大事件が起こったし起こりつつあるが、
「ひょっとして自分のところ(会社)は、アレ(さまざまな突発的な悪い事件)がなくても、悪いんじゃないか?」
 と、思うのが大事なのだ、と白水氏。
 正しい。
「過去の栄光を求めた政策でなく、大きく変化した社会環境に合うように」
「上質社会(超高品質、超高価格、超長納期)+虚構構造を否定しないと」
 八ツ場ダム事業のことを「計画から57年も経った事業などするに値しない!!」と言い切った。
 確かに。民間会社の事業としては(公共性のあるものなので収益性は除外するにしても)あり得ない。
 ちなみに自動車開発についてはミラ イースの話が主であった。
 ダイハツの賞与査定は、販売会社が営業を査定し、営業が生産・生産技術を査定し、生産・生産技術が上を査定するのだそうである。正しい。
 
 そのあとのパネルディスカッションは、県知事、通産省、トヨタ、日産、ホンダの人が、それぞれ持ち時間を超過しながら勝手なことをしゃべっているように思えた。ディスカッションの時間は残らなかった。それはそれで楽しかったが、途中退席する人が多く、民度の低さを露呈してしまったようで、県知事が気の毒に思えた。
 フォーラムに出た人は、この日に限りフォーラムのあと、モーターショー有料ゾーンに自由に出入りできたので、それ目当てに申し込んだ人が多かったのであろう。
 でも、行って良かったと私は思ってる。がんばって仕事しよっ、と思ったもの。

 というわけで、わが班も、終了後、せっかくなので、マリンメッセの国産車展示、国際センターの外車展示に行った。
 
 大盛況である。午後4時、終了2時間前の段階で、並ばないと入れない。
 人が多過ぎて肝心の車になかなか近寄れない。コンセプトカーの写真が撮れない。美しいデザインが見たいのなら、メーカーごとの常設ショールームに展示車がやってきたときに見に行ったほうがいい気がする。
 もらったパンフレットは、どんどんバッグに放り込んで行くが、どれも東京モーターショー2011と書いてある。ま、いいけど。
 外車の展示は、ほとんど商談会の様相を呈していて、テーブルと椅子が用意され、営業マンが待っている。
 2時間あれば十分な気もする。
 というか、無料ゾーンが結構楽しいのだ。
 国際会議場では、九州内の大学や、県内の工業高専、専門学校、県立工業高校の作った自動車が展示され、外では、消防署や、JAFや、陸自第四師団が見学用に車輛を持ってきていた。
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日本列島いきものたちの物語

2012年01月22日 | 映画
「日本列島いきものたちの物語」 試写会、都久志会館。

 どうぶつだいすき、というわけでもないけれど、ネイチャー系の映画は、機会があれば見る。ひたすらペンギンを追いかける「皇帝ペンギン」とか、北極から地球の緯線を下っていく「アース」とか、海洋特集「オーシャンズ」とか。
 今回はタイトルの通り、日本列島に特化したどうぶつ映画である。

 野生である。
野生という言葉を聞くと、つい「おとうさん、こわいよ」と、昔の薬師丸ひろ子の物真似を始めてしまう私は古い。

 北海道の熊がサーモンをつかまえるところとか、六甲のかわいいイノシシなどを鑑賞。
 屋久島では、母ザルに抱かれていても、大雨のあと、子ザルがよく死んだりするのだ。
(その子ザルの血縁のサルたちが順番に死んだ子ザルの毛づくろいなどをしている様子が、まるで「喪の仕事」をしているかのようにみえた。)
 もっとも高温多湿の屋久島では、小さな動物は、一週間程度で骨になってしまうそうである。

 気圧などが急変すると、天候が悪くなる前でも、交通事故を複数見たりする。事故や犯罪、そして気分障害などのこころの病気は気候に左右されるという研究もある。
 たぶん、ちょっとした天候の変化が生死に直結していた遠い祖先たちのDNAが残っていたりするんじゃないかと思う。

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ALWAYS 三丁目の夕日'64

2012年01月13日 | 映画
「ALWAYS 三丁目の夕日'64」 試写会。都久志会館。
 東京オリンピックの頃の日本の話。
 
 「コクリコ坂から」や、 「青春デンデケデケデケ」と、時代がかぶる。横浜の高校生が、赤いシリーズな恋をし、四国観音寺の高校生がエレキバンドにうつつを抜かしていたころ、東京下町の鈴木家、茶川家でも、子供が高校生となり、住み込み整備工もお年頃。次の世代の自立、がテーマといえばテーマなのである。
 安心して見てていい。これはもう、基本善人しか出て来ない映画である。
 堤真一の鈴木オート社長も、相変わらず、CGを使って怒っていて、爆笑させてくれる。

 この映画では、恋する60年代乙女にして自動車整備工を演じる堀北真希に注目である。最高にかわいい。堀北を見に行くだけでもこの映画を見る価値はある。乙女に戻って一緒にドキドキしませう。
 単なる、昔は良かった的なノスタルジーに終始していない。公害も問題になってきている時代だ。高度成長時代を背景にしながら、上ばかりを見ない生きかたも提案している。価値は自分が決めることであり、好きな事ならがんばれる、という変わらない真実もきちんと伝えている。

 日本を不幸にしたのは80年代後半だと思っている。バブル崩壊からを「失われた10年」とか「20年」とか、よく言っているが、バブル期に幸福をお金でしか換算できない傾向が蔓延したために、余計な喪失感を味わうことになったに過ぎないのだ。去年さらにいろいろなものを失い、それまでの「失われた年間」が、いかに幸福であったかを思い知っているのではないか。
 でも、まだ持っているものはたくさんあるのだ。
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ゴーイン、マイウェイでした。

2012年01月12日 | 映画
 「マイウェイ」 試写会。

 予告でやってた「僕達特急A列車で行こう」が見に行けるといいな。予告で女の子にキスしようとした鉄道オタクの男(=平清盛またはデスノートのL、松山ケンイチだ!!)が、聞こえてきた列車の音に「あっ、キハ125の音だっ」と、思わず言ってしまう。ありそうあるかも、と、微量鉄道マニアの私は思う。
 キハ125とは、JR九州、唐津線とか久大本線で、ひょっとすると一両編成で運行されているワンマンディーゼルカーである。デザインは水戸岡鋭治。以前は筑豊本線原田・桂川間を運行していた。黄色い車体で、田園の中を走る姿の可憐さといったら。そのキハ125に注目するとは。さすがだ。それだけでも見に行く価値はある、と思う。
 って、マイウェイはどうした?

 超大作だ。
 韓国俳優では群を抜く男前、チャン・ドンゴン様も出ることだし。
 相変わらずステキである。こども、少年、青年(チャン・ドンゴン様)と、三人の俳優が演じていたが、少年時代は、高良健吾ふうの美少年が出ていた。

 CGで航空機や戦車や軍艦が大増量されているところは、レッドクリフさながら。でも、それはいいと思う。
 軍事考証だとか法律考証だとか医学考証だとか衣装考証とか。高い予算の割には、考証が甘いような気がする。それが、リアリティの薄さをもたらしている。
 レッドクリフのような1800年前の物語ならまだしも、まだ同じ時代の人はたくさん生きているわけで。

 と、素人は思う。とりあえず、司法史とか戦史に詳しい方に教えて欲しいと思う。

 裁判所が、争乱を起こした人々を、懲罰として団体で徴兵して前線に送る、なんてありうるのか。
 あんな派手な刺繍のある裁判長の法冠は見たことないのだけど、あれは実在したのか。
 被告不在の軍法会議や、結構簡単にハラキリさせる、なんてありうるのか。
 陸軍刑法は考証したのか、運用はどうだったのか。
 ノモンハンの時点で、日の丸ハチマキで団体で陸地を走って、夥しい数のソ連戦車に突撃、なんてあったのか。
 冬のシベリアで一晩?宙づりにされて、それで重大な凍傷にもかからず無事に生還してるし。
 
 普通に徴兵する(実際の徴兵は1943年からだったんだけどね、まあそれくらいは史実からはずれるにしても)、ノモンハンで普通に負ける、普通な懲罰。たんたんと話を進めたほうがよかったんじゃあないかと思う。

 戦闘は、ワイルド7どころじゃない分量の爆薬を使って、手持ちカメラをブレされまくって、主人公ふたりの目線にしての臨場感。
 2人が雪山を助け合って越えるところや、捕虜たちがノルマンディーの海辺でサッカーをする。美しい画面。
 をを、と思っていたが、最後の最後で、感動がぶっ飛ぶほどの「それは無理でしょ」がある。
 感動的な映画になり得たのに、ショーアップの方法がちょっと違うような気がする。説得力のある考証がほしかった。惜しいと思う。

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新年から「東京原発」鑑賞なのだ

2012年01月07日 | 映画
 福岡に戻り、日常生活となり、郵便局近くのDVDレンタル。
 何を借りようか迷っていると時間がかかって仕事にならないので、1本見つけたら、さっさと借りて帰ることにしている。いまいちならさっさと返却して次を借りる。
 運動つきビデオ・オン・デマンドというか、ペイ・パー・ビューというか。年が明けても旧作7泊8日50円。いつまでやってくれるのかわからないが、10本見たところで500円である。

 さて、「東京原発」。2002年の映画。
 東京新宿副都心に原発を誘致する!! と、都知事(役所広司だっ!!)が宣言する。
 消費地の近くで電力を生産するのは効率的だ。何より都の財政難を救う。メリットはいっぱいだ、と。
 時を同じくしてMOX燃料を搭載したトレーラーが、少年にジャックされてしまう。トラックには時限爆破装置がセットされた。このままでは、あと1時間で東京にプルトニウムを含む死の灰がばらまかれてしまう。

 たぶん制作費の大部分が俳優のギャラといったかんじの低予算映画だ。都庁、港、電車での撮影、トレーラー、核廃棄物とMOX燃料のレプリカ。

 MOX燃料や、高レベル核廃棄物がどのように輸送されているのか。
(ドライバーが飲酒しながら輸送する、というのは、フィクションだろうが)
 そのほか、日本の原発の現状がよくわかる。
 映画のなかで、福島という地名がよく出て来るのでドキっとする。
 想定外の大津波がまだ起きていない日本の原発とはどういうものだったのか。

 都知事の真の意図も最後のほうでわかる。

 80年代半ばだったと思う。郷里、山口県宇部市、化学工場が立ち並び、豪州炭が野積みされる埋め立て地のさらに沖に原発を作ろう、というチラシが新聞に折り込まれた。
 美しい未来都市のようなイラスト。
 そのチラシを撒いた人の素性は明らかではない。連絡先は郵便局私書箱だった。地元紙にいちど取り上げられたが、フェイドアウトした。
 問題提起したかったのか、本気で原発を誘致するつもりだったのか。

 なぜ福島浜通りならよくて、東京新宿じゃまずいのか。福島ならよい理由はどこにあるのか。
 東京新宿であっては良くない理由のかなりの部分は、福島にもあてはまる。
 それを原発事故の9年前から問題提起する映画があったのである。

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