発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

バラ園の中心で「愛あればこそ」を歌う?

2020年05月19日 | 日記

◆ステイホーム

    ……も何も3月以来遠出仕事はたいがいキャンセルとなった。博物館も図書館もコンサートもお休み。なので出かける先もなかった。画像ファイルのデータ変換であるとか文章リライトであるとか原稿や参考図書の読み込みがあるとか、室内仕事はいくらでもある。同じ作業を続けていると気分が悪くなるので、いろいろと入れ替えながら働く。苦手な仕事にも手をつけないといけない。まあなんとかなるだろう。やることは山ほどある。

    だから自粛しているという意識もない。ずっと働いている。

    好きな音楽を聴きながら働くのは全く苦ではないのだが、外に出る用事がなくなって運動不足である。埋め合わせの運動せねば。行きたかったな、鹿児島、大分。

◆気分はマリーアントワネット

    昼間は滅多に外に出ないのだが連休明けに用事があったので久留米に行った。道から見て人がいなかったので石橋文化センターのバラ園へ。密でないところを選んで歩くのを咎める人はおるまい。

     誰もいないわけではない。散歩してる人、バラの写真を撮る人、ボール遊びをする子供、絵を描く老人。しかしまったく密ではない。

……贅沢すぎる。初夏の日差し、整備された美しい庭園、バラのアーチ、ゆっくり渡る風、花は馥郁と。そこまではいつもと同じなのだが、今年はいつもの賑わいはなく見る方向によっては独り占めできる風景がある。

    王侯貴族もかくやと思われる贅沢。

 

    公園内カフェがお休みのことは知っていた。池のそばの日陰にある鋳物のテーブルで持参の紅茶を頂く。椅子もずっしりと重い。併設の美術館も図書館もみんなお休み。バラ関連のイベントも全部中止。今日は西鉄久留米駅のスーパータミーでイチゴの生クリームサンドイッチ(売り切れてることが多い)が買えた。パンがなければお菓子でも良かったけどね。オスカル、フェルゼンはどこなの?  

    しかしこの人の少ない贅沢はコロナ自粛でどこかで失われた誰かの富の結果なのだ。

 

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2020年初夏、天神

2020年05月01日 | 日記

時の止まった街を歩く

みんなどこへ行った

みんなどこへ消えた

 

地下街が透視図法でできていることを

はじめて知った

目をつむって歩いても誰ともぶつからない

みんなどこへ消えた

 

声を立ててはならぬ

集まってはならぬ

都市は口を閉ざしたまま

手足を

きつく縛られることに甘んじている

 

都市の血流が止まっている

次に来るのは壊死だ

でも誰も紐を解こうとしない

止まってるのは時間ではなく

思考だ

紐を解いて毒を回すか

紐を解かないで壊死するか

議論は進まない

 

思考停止の報いを受けて

都市は死ぬのか

人類は負けるのか勝てるのか

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