発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

そして3月が去る

2019年03月31日 | 昭和のおもひで
◆そして3月が去る
 住居の共用部分にウッドデッキがあって、暖かくなったので、そこにノートパソコンを持ってって仕事しよう、紅茶を小さな魔法瓶に入れて、と思いついたけど、黄砂と花粉とPM2.5のミックスで、あまり具合がよろしくないのでやめた。少し雨が降ったあとの白い車にうっすら縦線が入っているのをよく見かける福岡の春。

◆九電記念体育館、博多スターレーン終了
 今日でお別れ。九電体育館は、昔は大相撲の会場だったし、高校の同級生が、クイーンのコンサートに行った話をしてたのを覚えている。私が福岡に来てほどなく、つまり20何年か前、バブル期に計画されたウォーターフロントの建物いくつかが立て続けに完成したのと、天神にシャンデリア煌めくコンサートホールができたのとで、イベント会場は、ぐぐっと海の方へ移動した。
 博多スターレーンは、以前にも書いたが、ショーアップ系格闘技イベントがたびたび開催されていた。私には図書館ブックフェアの会場。次からはどこになるのか。 

◆萩原健一死去
 男性芸能人で歌手で俳優で、よく捕まる人ということで、清水健太郎と同じ枠に入れてたので、清水さんを脳内死亡枠に一緒に入れないよう注意したい。
 「青春の蹉跌」映画に桃井かおりと共演。映画はあまり記憶にないが、昔読んだ小説のオチに感心した。
 
 「妊娠した愛人を殺した若者が逮捕後、子は他の男の種と知らされる」身もフタもない表現だが、30字で書くとこうなる。何もかも失った上に、自分を愛したまま死んだと思っていた女性にさえ裏切られていた、という、泣きっ面にハチというお話で、それもこれも自業自得であるが、読者の皆様は以て他山の石とすべしということで。読書って大事ね。読まないと自分の経験値とそれにもとづく想像の範囲内でしかいろいろなことの予測はできない。

◆白石冬美死去
 明子ねえちゃん。パタリロ。勤続年数の長い方でした。


◆「運び屋」補足
 この映画は、「90歳からのハローワーク」というか、人生百年時代、年取ってても人生(悪の道だが)心機一転、やりなおせるかも、という視点でみると面白い。平然と修羅場を切り抜けるのも年の功だ。生命のぜんまいが回る限り、自分として生き続ける決意を。
   
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2019年3月◆彼岸の中日◆あるいは春の小川◆音楽の時間

2019年03月21日 | 日記
◆彼岸の中日
 本の発送をしたり、下請けの仕事をしたり、外を歩いてヒバリを眺めたり、西鉄電車をオーバークロスするJR筑豊本線の土手の菜の花を眺めたり、インスタグラムのアカウントとってみたり。そうこうしているうちに彼岸の中日ドラゴンズ。今日はヨハン・セバスティアン・バッハの誕生日らしい。音楽室に肖像画が貼ってあった作曲家でカツラをかぶっている人は2人で、バッハとヘンデルだった。ヘンデルの肖像は荒井注に似てた。この2人は同じ年に生まれたと、最近ラジオで知った。
 中学のとき、なんとなくオルガン聴きたいっと思って買ったのは、ヘルムート・ヴャルヒャという人のバッハのアルバムだった。解説文に、バッハはドイツ語で「小川」という意味だと書いてあった。何も考えずに買って聴いてたのだが、名盤だったらしく、その後、CDの時代になって、同じジャケットデザインで出てたのを見かけた。「鼻から牛乳」(トッカータとフーガニ短調)とか「髪の毛ありますか」(小フーガト短調)とか、バッハさんの著作権はとうに切れているので、いじられ放題である。

◆西部航空音楽隊定期演奏会
 3月1日、福岡シンフォニーホール。
 自衛隊吹奏楽のクラシック系コンサート。プロコフィエフのロミオとジュリエット。バレエ音楽。携帯電話のCMでおなじみの、あるいは「のだめカンタービレ」で竹中直人がロングヘアのかつらと「つけ鼻」で演じる世界的マエストロ・シュトレーゼマンが登場するときに流れた音楽を吹奏楽版で。ああシアワセだあ。
 帰りは今泉のコチソバで。若い女性たちがやっているお店である。ここはいつも賑わっている。山かけ明太子のそば天ぷらつきをいただく。

◆九州交響楽団定期演奏会
 3月8日、福岡シンフォニーホール。指揮は小泉和裕、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。ヴァイオリンは小林美樹。これは映画「オーケストラ!」(邦題)で演奏された曲。よく聞く曲だけど、いちどライヴで、と思ってたから。3楽章通しての集中力。ソリストは体力勝負であるとつくづく思う。
 交響曲は、聞いた事ない曲(グラズノフの5番。予習の暇がなかった)で小一時間大丈夫かな、と思っていたが、すごく得した気分である。

◆春の風物詩?
 コンサートが終わって、パフェ食べて、ドラッグストアといくつかの喫茶と書店以外はシャッターの降りた天神地下街をシアワセ気分で歩いていたら、警官の一団とすれ違った。うち2人はスピーカメガホンを持ってる。ああ、そんな季節なのね。相撲が福岡の11月の季語というなら、特攻服集会は福岡3月の季語である。3月8日は公立中学校の卒業式で、市内のあちこちで厳戒を布いていたはずだ。卒業式が済んだ少年少女のごくごく一部が、レトロな暴走族のコスプレをして集会をするのだ。実際の暴走はあまりしない(んだと思う、見た事ないもん)。で、この日は特攻服を着てたら補導する、と広報されていた。で、何人かが補導されたらしい。
 何も考えずに地下街を通っていたんだけど、地上を通っていたら、今年の集会場であるところの警固公園を掠っていたなあ。
 特攻服でなく、普通の服装で、うたごえ集会をやってたらどうなるんだろう、と少し考える。あるいは、主張するメッセージが特攻服の刺繍文字ではなく、Tシャツのプリントだったらどうだろう、と。
 
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ヒバリング、ホバリング

2019年03月18日 | 日記
◆この空はわたしのもの

 朝晩以外はすっかり暖かくなった。ショッピングモールのだだっ広い駐車場の上空で、ヒバリがホバリングしているのを見た。
「揚げ雲雀名のりいで」独りで何を歌う?

   わたしはここ
   わたしはここ
   この空はわたしのもの
   この春はわたしのもの

 そんな感じだわ。そう思って調べてみたら、あの声は縄張りの主張なのだそうだ。結構当たってる。この空はわたしのもの。
 普通に生活するスズメが一日に必要とする食糧は体重の6分の1と何かで読んだたことがある。ホバリングを続けているヒバリは、それ以上必要に違いない。
 たくさん食べてね。
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映画「運び屋」 「ダメ、ゼッタイ」な荷物

2019年03月08日 | 映画
◆映画「運び屋」試写会。2月26日、Tジョイ博多

 クリント・イーストウッド様が、麻薬運送業を開業するお話。
 アメリカでは、90(主人公アールの年齢。演じてるクリント・イーストウッド様は御年88)歳でも、日本のように車に高齢ステッカーはつけないのね。
 家庭を顧みずに花き栽培農園を経営してた爺さんが、商品をネット流通に乗せることができなかったため、農園をつぶしてしまう。娘の結婚式もすっぽかしといて今さら家族に頼ろうとて冷たくされるだけ。残ったのはポンコツのピックアッブトラック。途方に暮れていたとこで、エルパソのタイヤショップからシカゴまで「あるものを運んでもらうだけ」というお仕事に乗ってしまうのだ。

 報酬に爺さんびっくり。荷物はヤバい麻薬だったのだ。で、そのギャラで、壊れそうなポンコツカー(いきなり往路で故障したらどうするのよ、とハラハラさせられた)は、すぐに黒くてピカピカのリンカーンのピックアップに変わった。ビックアップは、この辺ではあまり見ないし、走ってても大概トヨタハイラックス。でも、高級車ブランドのピックアッブは、アメリカじゃ普通に走ってるみたい。
 エルパソはテキサス州のメキシコ国境の町で、スペイン語っぽい地名が示す通り、もともとはメキシコだったところだ。そこから東北にずんずん進み、ミシガン湖に当たればイリノイ州シカゴ。地図で見ると鹿児島〜稚内くらいなのか。結構な距離である。
 とてつもない末端価格のブツを輸送するのだから、報酬も半端なく、2回目の仕事で家と農園の抵当をはずした。それから、火災に遭った退役軍人サロンの再建資金を出して解散から救い、孫の学費を出した。
 もうそのあたりで十分でしょう、お金の問題はほぼ解決したでしょう、と思うのだが、爺さんは運び屋を続ける。電波が届かないところで車をパンクさせた家族を助け、麻薬犬をやりすごし、監視についた麻薬組織の若者に絶品ポークサンドをごちそうし、荷物チェックしようとしたおまわりさんに「これうまいぞっ」とキャラメルコーンを渡し、顔色ひとつ変えずにヤバい橋を渡りながら、まだまだ続けるのだ。そのうち、麻薬の大量輸送をしている「タタ(アール爺さんのコードネーム。スペイン語でパパって意味)」の存在に麻薬取締局が気づく。
 麻薬取締局の権限は強大である。何せ特殊部隊を持ってる。さあどうなるのか。それとも組織にハチの巣にされてしまうのか? どうやってこの話を終わらせるのか? 映画館で楽しい大陸ドライブと、スリル満点手に汗握る運び屋稼業を体感しませう。

 アール爺さん、家庭人としてはいい加減で、経営者も失格なのだが、運転は無事故無違反、その他の逮捕歴もない、社会的には善良な市民なのだから当局もノーマーク。失うものもないし、老い先短い。だから組織にスカウトされたんだろう。この映画をみた上で「ダメ、ゼッタイ」な運送業をやってみる蛮勇のある方はいらっしゃらないでしょうね。


 ある意味ハッピーエンドなんですよこの話。

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