発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

西部航空音楽隊あーんど佐世保音楽隊のコンサート

2016年09月30日 | 物見遊山

◆空と海

   いい音聞きたい。脳細胞修復したい。というわけで福岡シンフォニーホール。

   「アクロス・クラシックふぇすた」今年は航空自衛隊西部航空音楽隊と海上自衛隊佐世保音楽隊の合同コンサートがあるのですよ。都合がつく限り、行かないわけにはまいりません。組曲「宇宙戦艦ヤマト」も演奏されるし。なにしろ「無限に広がる大宇宙」のメロディーを聞くと、反射的に「私はイスカンダルのスターシャ……」の声が自動脳内再生される自分である。「出撃」でザ・ピーナッツ「恋のフーガ」の「パヤパヤ♪」を連想する自分は古いが、どちらも宮川泰作曲なので間違ってはいない。

 航空音楽隊の「ブルーインパルス」からコンサートは始まった。ユニフォームは濃紺のシングルジャケット。黒靴の磨かれようはどうだ。「古いアメリカ舞曲による組曲」、「ケーク•ウォーク」はドビュッシーの「ゴリウォーグのケークウォーク」ってのは聞いたことあるぞ。そんなリズムの曲だった。佐世保音楽隊は白のユニフォーム。靴も白。ラテンなリズムでいまだかつてない陽気さの「錨を上げて」とかジャズアレンジのオサレな「海の見える街」とか「ヤマト」とか。

 空海の合同ステージにはゲストミュージシャンが登場。ミラーグラスにカラフル衣装で登場したサックスプレイヤーは元晴。チック・コリアの「スペイン」を。ヴィジュアルはミスマッチ甚だしいけど音はサイコーである。

 エリック・ミヤシロのトランペットで「スタートレックのテーマ」。鳥肌ものの高音自由自在、という感じ。トランペットでこんな音が出ることは知ってたよ。でもライヴで聞くのは初めてだし驚きだった。片仮名で書くと「ピューン」になり、浅薄な感じになってしまうんだけど、すごい音だ。

    似非ワグネリアン(好きだが何か聞かれても答えられない)といたしましては、ローエングリン「エルザの大聖堂への行列」も目当て。冒頭のフルート、オーボエ、クラリネット。木管の魅力的なこと。

    アンコールが「行進曲 軍艦」から「空の精鋭」 !!!  と続くのって、とても珍しいのではないかと。

   シアワセ気分で帰宅しながらふと思う。この素敵な音楽が帰って来れない人たちを送り出すために使われませんように。

    インテラパックス。

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やや(かなり?)古くなりかけの女子会について

2016年09月28日 | 日記

 

博多駅から歩いて数分

プールのある中庭に面したオープンエアのレストランは

いつか行った南の島のホテルのようで緑がいっぱい

 

ガムランがないかわりに

白いシャツを着た清潔な若い男女の

きびきびしたサーヴィス

 

それはおそらくよくある(やや古くなりかけの)女子会で

気持ちはすっかり「お嬢さん」なのだ(みのもんたはつくづく正しい)

私たちはよく笑った

泣きたいほど嬉しかったけど

私も笑ってた

あなたに会えてよかった

 

昔のことになってしまった最後の制服

下級生の美しいハレルヤコーラスに送られ

でも別れを惜しむどころではなかった

何が待っているのか

そもそも自分は生きていけるのか

不安で仕方なかった

 

(ひとりで泣いたことは何回あった?)

(もうだめだと思ったことは何回あった?)

(何日も眠れなかったことは何回あった?)

 

でも大丈夫だったみたいね

そう悪くはない将来がここにある

だって

生きててここに来れるくらい元気なんじゃない

それでじゅうぶんじゃない

 

また会いましょう

人類の存続を祝いましょう

あなたの人生と

そのときの年齢なりの

あなたの美しさに乾杯しましょう

 

あなた方と別れて

郵便局と書店をまわり

最後に花屋に寄って

帰りのバスに乗った

 

(2016年9月26日 MTJ)

  久々にポエマーMTJ降臨である。世間的にはオバハンが集合して飯食ってお茶飲んで騒いでるようにしか見えないかも知れない。少々お見苦しいところもあったかも知れないが、それはこういうことなのだ。(マジで「人類の存続を祝いましょう」と言わざるを得ない昨今の状況はどうだ)

 

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九州労災病院の展示 小倉駅AIM 「私と宇宙展」

2016年09月23日 | 物見遊山

◆九州労災病院

  北九州市小倉南区。出先にあったので寄り、ドトールコーヒーでおやつ。建物は近年建て替えられた綺麗なもの。展示があったので見る。

  労働災害と聞いて連想するのは、工場火災や事故による外傷熱傷、酸欠事故、有毒ガス関連、あとメンタル系などくらいだったが、潜水病治療に関する文書展示や、加圧装置の自動記録用紙(円形の、自動車のタコグラフのようなもの)に、ああ、そういうものもあるんだ、と思ったりした。潜水病は減圧症ともいい、海の中から浮上するとき、急な圧力の減少で体内にできた気泡が悪さをする。ほっておけば良くなる性質の病気ではなく、加圧タンクに入って海の中と同じ気圧をかけて気泡を消し、ゆっくりと減圧するのが唯一の治療ということらしい。今はもっとあちこちにある装置らしいが、昔は日本に3箇所しかなかったこともある設備だったそうで、その日本3箇所を知らなかったり、間に合わなかった人は、命を落としたり、後遺症が重くなったりしたということなのだ。潜水病といえば職業潜水士だった時代の話である。今はレジャーダイバーが気をつけなければならない病気だ。何時間も狭い閉所のタンクに入っているなど想像するだけで息苦しくなるが、そういう私のような人間は、そもそもダイビングなど怖くてやらない。

◆月の石

 翌日も小倉。時間があったので何かやってないかと検索しAIM(アジア太平洋インポートマート)で開催中の「私と宇宙展」に行く。小倉駅北のコンベンションゾーンは、行ったことなかった! 駅の北の方はいつ行ったのが最後だったか。ラフォーレがあった頃じゃないのかなと。駅の北のベンチにはメーテルが座っていて、傍らに鉄郎が立っている。そのまた近くにいるのは、キャプテン・ハーロックだ。会場へは動く歩道があってラクチンである。

 宣伝は地味であるが人はたくさん来ている。年配の方が多い。宇宙服を着た写真を撮ってもらったり(裏から顔を出すだけだけどね)映像展示を見たり、本物の月の石を眺めたりした。重力の違いをあらわすのに、1リットルのペットボトルに水を詰めて1キログラムにしたのが地球。月では、木星では、と、ペットボトルに入れたもので重さを調整し、それぞれで感じられる重力を表現してあった。理科の先生はすぐ作ってみたくなるだろうな。

 

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21世紀と中世錬金術と永久機関

2016年09月23日 | 日記

 台風が過ぎて、秋だ。上着がいる。ドラッグストアにハンドクリームリップクリームがたくさん並んでいる。

 言う前にリップクリーム秋の風     MTJ

 ◆もんじゅ廃炉について

 ところで誰のどのような期間にわたる損か得かということである。 「現政権」が「廃炉」というからには、長期あるいは不測の事態が起きたときはいうまでもないが、短期的かつ平穏にものごとが進行したにしても、よほど損なのだろうなと思う。存続で得するとしたらもんじゅから利益を得ている人々ということになり、現政権を支持していると思われるその人たちの得をもはや無視しなければならない状況なのだと察する。

 ナトリウム漏れ事故、水酸化ナトリウムでびっしり白くなった施設内部の映像を見て素人は「だめだこりゃ」と思った。最初の発表報道では、室内が劇薬まみれになってるような状況は伏されていたと記憶している。しかし大気中に金属Naのような不安定な物質が露出すれば生成するのはNaOHであることなど、高校化学の時間に寝てなければわかることだ。そんなことさえ隠蔽があったのでこの手の当局の発表は大本営発表と思ってみた方が良いということをわざわざ知らせてくれているのかなと学習したのであるが、それから廃炉方針発表まで20年以上かかった。夢の核燃料サイクルの実現は、また遠くなったのである。核融合反応は神の領域であると私は思ってる。ただ単にあんたには難しくて理解できないからだろと言われればそれまでだけどね。核燃料サイクルは「永久機関」(ピンと来なかったら画像検索してね)を思い起こさせる。「錬金術」で得られる「永久機関」と、書いてしまうと、大層懐古的である。  

 

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先週のことなど

2016年09月20日 | 日記

◆中秋の名月

 とはいうものの当日の満月は厚い雲の上であった。こうやって秋も深まる。窓を開けてもここからは港は見えないが清涼な空気が入ってくる。

◆女子旅EXPO

 女性向けの旅行を自治体や旅行会社やホテルが提案するイベントがあった。主催は地域の情報誌である。

 名産のお菓子や焼酎が振る舞われ参加会社や団体のプレゼンが行われ、私と同じように単独参加していた女性たちとおしゃべりしたりして楽しく過ごした。抽選会ではタイシルクのプリントスカーフが当たった。「永遠の0」試写会の木箱入りカステラ(小)以来の当たりである。

 昔のことを思えば、旅は簡単である。前日の帰り道の乗り物の中でスマホをちまちまと操作するだけで、早朝便のチケットを直前割引料金で買え、ホテルの予約まで帰宅前に完了する。問題は、何を探しにどこへ行くかだ。

 今のところ、仕事がらみの旅で十分なのだ。行った先で何か食べて写真を撮って博物館なり史料館なり美術館なり図書館に行って、その一部が本の材料となる。楽しい本作りたいと言って、仕事はなかなか進まないが、進まないなあと思っているうちに人生は終わってしまうのだ。あるいは人類滅亡してしまうのだ。前へ進もう。少しだけでも毎日。

 

    

 

 

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水戸岡鋭治講演

2016年09月14日 | 物見遊山

  ◆バスの終点に、なぜか中華な建造物

 天神の用が済んでから、そのまま北天神で「K」のバスを待つ。元岡の九州大学に行くのだ。開催中の日本機械学会、に私が所属しているわけではなく、一般市民も聴ける水戸岡鋭治氏の特別講演があるのだ。

 九州大学元岡キャンパスは、わざわざ行こうとしなければまず行くことはない、という場所にある。鳥栖プレミアムアウトレットあたりの風景に似ていないでもないが、もう少し郊外で、天神からバスに乗った終点、40分、720円。近年移転となったところで、まだ新品ぽい建物がいろいろあるし、どんどん新しい建物ができている。

 直径100mの円形の赤い建物が会場の椎木講堂である。設計は内藤廣。これ、見たことあるぞ。中国の、広州土楼とか福建土楼とかいわれている、客家(はっか=漢民族の一派、有名な人に鄧小平がいる)が一族で住む城塞型集合住宅にそっくりだ。中に入ると、半分は、ぐるりと室に囲まれた空洞で、まさに広州土楼的。半分が大講堂である。ちなみにレストランが入っているが、中華系ではなくイタリアンである。

 

◆で、水戸岡鋭治氏講演

 水戸岡鋭治氏は、いま日本で一番仕事をしているデザイナーのひとりで、列車、駅に限らない建築、家具内装、衣装など、守備範囲はおそろしく広い。代表作は、超豪華クルーズトレイン「ななつ星」であるし、鉄道に関する仕事はJR九州ではじめた人なのでJR九州の仕事が多いが、大阪なら梅田の「時空の広場」のデザインをした人である。

 これが大分シティ(新しい大分駅とその周辺)

 大分駅構内の阿蘇山と「ゆふいんの森号」のタペストリー

 氏の展覧会には、博多(2011)と大分(2015)と2回行ったことがある。いずれも人が少ない日を選んで行ったのだが、2回が2回とも、水戸岡氏に会うことができた。1回はサインをもらった。偶然のラッキーというよりも、個展のときはなるたけ会場にいようとしているのではないかと思った。それって公共のものをつくるデザイナーとして正しいと思う。

 本州で在来線に乗ると、正直、九州の在来線列車は恵まれているなあと思う。在来線特急「かもめ」や「白いソニック」に乗れば、普通車の客も、会社では役員室、もしかして社長室の執務机にしかない総革張りのリクライニングシートに座れるのである。革張りの椅子がモケットよりも安くつく話は著書ですでに読んでいた。だが他の鉄道会社では実現しなかったのである。

 徹底したコスト意識についての話は端々に出てくる。ほとんどお金をかけずに隼人駅を改装した話や、「ななつ星」は「予算がなくて」内装の1分の1模型を作っていない話など。

 常識といわれるものを現実的視点でブレイクスルーして、どんどん新しいものを作って行く仕事師である。仕事が大好きな人から仕事の話を聞くのはいいものである。行って良かった。 

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その時代、つけまつげを自作する乙女たちがいた

2016年09月13日 | 本について

◆別冊太陽『中原淳一のそれいゆ』

 中原淳一が戦後に発刊した『それいゆ』を紹介する本。『それいゆ』は、私がものごころついた頃にはとうに廃刊となっていたが、戦後の十数年、当時の女性のライフスタイルのアイコンとしての地位を持っていた。美輪明宏の著書『美輪明宏のおしゃれ大図鑑』を参照するに、美輪氏も大好きな世界だったようである。戦後の、なにもかも足りない時代に女の子たちはどうやっておしゃれしていたのか。洋裁は乙女のたしなみ、ミシンは家に常備され、重要な嫁入り道具でもあった。乙女たるもの、自分の着るフレアスカートやブラウスやワンピースくらいは、自ら作れないといけなかったのである。フムフムと読みすすむ。『それいゆ』が廃刊になっても、70年代くらいまでは「実物大型紙」というのは女性向け雑誌の付録の定番だったよね。

 びっくりしたのは、「つけまつげの作り方」!!! これは想定外だ。『それいゆ』では、つけまつげを自作することを提案している。膠で植毛するのだ。つけまつげさえ自作!! そんな努力をする当時の乙女に幸せが訪れることを願わない人はいないであろう。 

 というより、すごく幸せで楽しそうじゃない? 自作の服で、自作のつけまつげで出かけるなんて。

 

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家に帰れば高島礼子

2016年09月03日 | 日記

 高島礼子は美しい。はじめてテレビで見たとき、こんなきれいな人がいるんだなあと思った。「きれいな女性がいるんだなあ」「なんてかわいいんだろう」と思う女性はよくいるし、テレビや映画には、そういう人が出るものなんだろうけど、年月とともに劣化したり、えーっがっかりだよーと思うことは少なくない。高島礼子はそんななか、長い時間、あんまりがっかりさせられていない気がする。映画「極妻シリーズ」とか、「プライド」に出てくるクラブ(昔のディスコじゃなく)の美人ママとか、「K-20怪人二十面相・伝」の大泥棒の妻で詐欺師とか「SPACE  BATTLESHIPヤマト」 (実写版、キムタクが古代進)では、なぜか佐渡先生とか。安定美人女優ってこういうことだよなあ、と思って見てた。

 天神のビル屋上の大看板が、いつのまにかサラダオイル小麦粉から住宅メーカーに張り替えられていて、そのキャッチフレーズから思い浮かんだのが表題である。察するに、どんな住宅のブランドよりも豪華である。実際には、家にいると高島礼子が帰ってくる、という場合が多かったのかも知れないけど、どんなシチュエーションを想像しても、家に高島礼子がいる、とか、高島礼子が帰ってくる、というのは豪華きわまりないと思う人がほとんどなのではないか。

 でも、高島礼子よりもほかの女の人と薬の方が良かったということが起こるのが人生の不思議である。それが行きたい方向だったのか。結婚相手だった男性タレントのことはよく知らない。

 東急電鉄は、まあいいか、となあなあにせず、さっさと訴訟を起こして「東急」という芸名を使わせないようにしたことは、まったく先見の明だったと思っているに違いない。

 

 家庭がちゃんと暖かくて楽しくて居心地がいいのなら(あまりそうでなくても、そうなってほしいのなら)テレビで「家に帰れば〜♪」の歌が流れたりしたら、「うちは『家に帰れば◯◯◯子』だよ」と、配偶者なり子どもなり家族の名前をキャッチフレーズに入れて言ってみる、というのはどうだろうか。

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