発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

新刊 九州アーカイブスB 『あれから七十年』博多港引揚を考える

2017年08月08日 | 本について

 ◆新刊が出るよ。

 プリンティングなう、ということで久しぶりにホームページを更新し、バグだらけなのに愕然とする。ちょこちょこ手直しするのも大事な仕事だよ、と自分に言い聞かせる。検索して、ホームページより先にこちらにたどり着いた方のために、本の内容を紹介しておきましょう。

 

『博多港引揚』の続編的な本です。今回は、若い参加者も多いのです。

「昨年は引揚が集中的に行われた昭和二十一年から七十年めに当たる年でした。この間、引揚体験者は次々と旅立ち、当時の状況を語り継ぐ人は残りわずかとなりました。この一年を振り返るとき、戦争のない平和な世界を念願すね私たちの気持ちは、かなえられるどころか世界は混迷の中に漂い、展望が見いだせない状況に陥っているようにさえ見えます。昨年私達は七十年を機に改めて引揚の歴史を少しでも多くの人に知ってもらい、平和の尊さや戦争の悲惨さを考えていただきたいと、非力を顧みず、展示会『あれから七十年ー博多港引揚げを考える』を開催し………(発刊のことばより)」

 戦争関連の夏休み自由研究にもぴったり。 

 2200円+消費税。弊社へのお申し込みは、電話 092-531-6353 ファクシミリは092-524-1666

 メールは、fuyuharu3529@yahoo.co.jpへどうぞ。

 

 

 で、発行人MTJも、久々にポエマーが降臨し、ちょいと書いてみたりするわけです。「那の津往還」は、博多埠頭、マリンメッセそばにある、博多港引揚記念碑のことで、豊福知徳氏の作品です。今、私が撮った画像が見当たらないので、それはまたアップするとして。

 

 

    朱いモニュメント(那の津往還に寄せて)

 

甲板は人で溢れていた

立てるものは皆背伸びをした

 

誰かが、見えてくる山の名前を口にした

やまとことばの山が連なる

九州だ祖国だ

 

1945年8月に「始まった」戦争

引き剥がされる

追われる

無法地帯 銃弾  略奪(書けない苛酷)

恐怖と欠乏 寒い冬 飢餓(書けない苛酷)

病気 行列

置き去りにされたもの

命尽きたもの

行列

これは何の巡礼だ

何の科をもって行進しているのだ

生きろ

生きろ

生きろ

生きる決意だけが

重い足を前へと進ませた

 

無蓋貨車の臭気

 

 やっと乗った船

(ここで命尽きたものは水葬される)

嵐と機雷をやりすごし

たどり着いたのは

古代の湊

那の津だ

 

懐かしい祖国にせよ

初めてみる祖国にせよ

生きる強い決意とともに

帰ってきた

焼かれた故郷荒れた田畑が待っていようとも

苛酷な旅の始まりの終わりに過ぎぬとも

 

忘れるな

ここに帰ってきた(帰れなかった)

人びとを忘れるな

体験を心に閉じ込め

口をつぐまなければ

とても生きられなかった

人びとが大勢いたことを忘れるな

平和と繁栄は何の上にあったのか

あの日背伸びをして

祖国の影を見つけた人びとのことを忘れるな

 

彫刻家は、そのモニュメントを朱く塗った

遠くからも見落とされることのないように

見たものの網膜に焼き付くように

 

(MTJ)

 

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七月後半のあれこれ

2017年08月04日 | 日記

 暑いこと半端ではない。

 7月25日は、小倉、アルモニーサンク北九州ソレイユホールで、ミュージカル「あしながおじさん」を楽しく鑑賞。

 ソレイユホールは昔は九州厚生年金会館と呼ばれていた二千席ほどの北九州市のホールで、パイプオルガンが設置されている。

 孤児院の院長役は、バレーボールの大林素子嬢。もちろん歌って踊る。上背があって舞台映えする。

「あしながおじさん」は、子どもの頃、雑誌の付録でコミカライズされたものを読んだ記憶がある。そのころの雑誌の付録漫画といえば「安寿と厨子王」(山椒大夫のお話ですね)、「へびおばさん」(お父さんの美しい後妻さんは、へび女だった。もちろん作画は楳図かずお。お友達がやってきて、新しいお母さんが鍋焼きうどんを作ってくれるのだけど、その蓋を取ると蛇が!! きゃああああっ!!)。「禁じられた遊び」や「メアリー・ポピンズ」のような、映画のコミカライズもあったのを記憶している。「あしながおじさん」の小説の方は、もうちょっと大きくなってから、親が買ってくれてた文学全集の中にあるのを読んだ。まあシンデレラ物語の延長線上というか、ハーレクインロマンスの源流というか。

  月末は高知。初高知である。四国といえば、松山に2回ばかり行ったことがあるだけで。あとは香川県とはいえ2回行った小豆島は四国と言えるのかどうか。仕事がらみなので地味な旅なのであるが。

 好天に恵まれ、暑いこと半端ではない。ここの暑さには、濃ゆい潮の香りがもれなくついてくるのだ。市街地が、まるで海水浴場のような匂いがする。天神は海が近いし、小倉も海のすぐそばだが、これほど潮の匂いはしない。ということは? バスに乗って桂浜に行く。海の色が濃ゆい。潮の香りもますます濃ゆい。鼻孔センサーの針が振り切れそうなくらい塩化ナトリウム塩化マグネシウムが匂う。岩にぶつかる波に、ををっ東映っつ!!(実際は東映映画のロゴの背景は犬吠埼であるが)と呟く私であった。これまでの人生で何度太平洋を見たのだ自分は。なにしろ水平線まで島影がないというのは瀬戸内海や陸から見た玄界灘には絶ーーーっ対にない風景なのである。

 高知についてはまた別項にて。

 

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