発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

年の瀬

2012年12月13日 | 日記
 12月はじまりの新しい手帳を買い、12月分の予定を前の手帳から書き写し、カバーをつけかえる。松本清張の小説ではないが、黒革である。
 行く場所、用事別の、持参物チェックリストを書きこむ。電池が切れ、電波が途絶えても生きられるように細かく書き込んでいく。
 
 プログ、しばらく書いていなかった。
 9月は、
 「JAXAシンポジウム2012」 エルガーラホール。
 宇宙開発を事業仕分けしてしまった人々は、宇宙開発がどう現実として実用性を持っているのか、知らないのである。人工衛星の技術が、漁獲高に貢献してるんですって。私が注目している発電衛星の話は、今回はなかったけどね。
 今回来ていた宇宙飛行士は、古川さん。
 2005年の宇宙フェアin福岡に来ていたのは、若田光一さんだった。宇宙飛行士って、魅力的だ。なぜ人気者なのか、あらためて確認する。総合力で優秀なのはもちろんだけど、コミュニケーション能力に、ともかく卓越してる。宇宙飛行士になりたいな、という子どもが増えることは、世の中を良くすると思ってる。
 「日本絵画の巨匠たち展」福岡市美術館。
  横山大観から平山郁夫まで、いわゆる大家の絵をまとめて鑑賞する豪華展である。大濠公園にバスで出掛ける。
 いつか切手になっていた「星を見る女性」太田聴雨、という絵を観に行きたいと思っていたら福岡にやってきた。五人の振袖美女と大きな天体望遠鏡。ほとんど等身大、よりちょっと大きいのかな、という大きい絵だった。理系美女である。1936年の段階で、画家は、あと数十年すれば、宇宙旅行をする女性が出現することを予測していたに違いない。
 あと森田廣平とか、安田靫彦とか、教科書などでおなじみの可愛い絵がたくさん。
 10月は
 「ふぇすたガラコンサート」アクロス福岡シンフォニーホール。
 トランペットボランタリーとか、アコーディオンソロでリベルタンゴとか、生で聞いてみたかった曲がいっぱい。
 スギテツというヴァイオリンとピアノのユニットに注目。なかでも「美しき青きドナウ殺人事件」は抱腹絶倒。ともかく、持ち時間の短さが残念な、てんこ盛りコンサートでありました。 
 「ヨハネ受難曲とメサイアの夕べ」アクロス福岡シンフォニーホール。
 全席自由ということで、れいによってS席に座る。
 お昼は法事で、浄土宗のお経と法話を聞いていた。別件があったため、福岡に急いで戻ったため、コンサートに間に合ったのである。
 で、たっぷりオラトリオに浸った。
 メサイアのハレルヤ以外は、車の中でNHKFMで聞いたことがあるかなあ程度である。
 おなじみハレルヤは、高校の卒業式のときに下級生が歌ってくれたのをおぼえてる。
 24日は、柳川市の中島漁港へ。矢部川下流、朝市をやってた。川に沿って2キロメートル以上にわたり、漁船がつないである。そのあたりで羽を休めているカモメは丸々と太っている。足もとを見ると、誰かが切り落としたサバの頭が。そういったものをたくさん食べているせいだろうな。
 10月31日は、藤巻亮太ライブ。JR九州ホール レミオロメンで10年音楽活動を続け、ソロ活動に入った人である。
 アコースティックライブだったから聞くのは楽だった。スピーカー積みまくり大音響のコンサートは苦手だ。やはり耳に悪いと思うよ。
 11月は、 
 県立美術館に「ベルサイユのばら展」
 原画の美しさに圧倒されてました。宝塚の衣装もステキ。車の中で「愛あればこそ」を歌いながら帰る。
 小郡に仕事に行った帰りに太宰府天満宮の「更衣祭」。天神様の冬支度。
 とっぷり日が暮れた境内で、しずしずと雅びに神事が執り行われているのを遠目に見てました。雅楽ライブもまた雅び。
 別の日には「ベルリン美術館展」九州国立博物館。
 フェルメールの「真珠の首飾りの少女」が来てたあの展覧会。常設展もゆっくり鑑賞。クイズラリーで貰えたのは鉛筆。
 それから
 「全国まちなみゼミ」都久志会館。これは仕事。本を売ってた。
 で、12月。
 「中島潔展」福岡アジア美術館。
 これまた画力に圧倒される。美人画に注目。それから、登場する人物たちが着ている衣装、ズルっとした着かたがなじめない人もいると思うけど、絣や古典文様や、リバティーとかモリスのプリントを思わせる柄とかこれは明らかにバティックだわ、とか。よく見ると、豪華なの。テキスタイル類になかなか造詣の深い人だと思う。
 「海上自衛隊佐世保音楽隊クリスマスコンサート」アクロス福岡シンフォニーホール。
 ここ3年連続で行ってる。アンコールの2回目に、必ず「行進曲 軍艦」が演奏されて終了する。それ以外は、普通にビッグバンドのファミリーコンサートである。
 くるみ割人形小序曲の演奏が、とりわけ素晴らしかった。整然としたアンサンブル。
 

 どことかの原発が廃炉必至の報道に、電力株が軒並み下がったというニュース。いまだにマーケットは原発に期待していたのだ。原発関連はすでに織り込み済みと思われたけど、そうではなかったのね。

 原発推進を主張する政党もあるようである。
「いや、いろんな意見があっていいと思うのだけど、そこまで主張するのなら、何か根拠があるのだろうと、試しに聞いてみたのよ。2010年くらいのレベルで原発を稼働させたら、高レベル放射性廃棄物が日本全体でどのくらい出るのか知ってますか?って。で、そのひとたち答えられなかったから。」 
 ふーん。正解は約500トンである。電力会社の資料に基づく。それを誰がどう引き受けてくれるか道筋がついていない以上、たとえ地震が起きず、安全に原発が運用されていったとしても、賛成も反対もない、無理なんだと結論づけた私である。そのひとたちが引き受けてくれるんだろうか。高レベル放射性廃棄物を。どうやって?

 原発もただ反対とか廃止を訴えればいいものではない。きちんと反対してこなかった代償を払わないといけないのだ。
 支払わずにやりすごそうというのは、これもまた無理のようだ。
コメント
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