イングリッシュマフィンを買って、エッグベネディクトを作る。そういえばゴールデンウイーク前頃、コミック誌『モーニング』「クッキングパパ」に、エッグベネディクトの作り方が出てきたような。
エッグベネディクトとは、ようするに、イングリッシュマフィンにハムやベーコンとポーチドエッグをのせてオランデーズソースをかけた食べもので、マンガでは、入学早々熱を出して休んだ小学1年生が、熱が下がったところに、また元気で学校に行けるように食べさせる愛情あふれたメニューという紹介である。
↑これは佐賀県小城市で見た横断小学生。素朴な3Dである。
「クッキングパパ」は、30年近くにわたる長期連載コミックで、単行本も127巻であるが、私が時たま読んでいる限りでは、予算や材料の入手しやすさや作りやすさやメニュー全体の手際や栄養にはあまり気が配られていず、はっきりいって実用的でないと思う。そう思っていたら、同じ雑誌に月1回の連載で「きのう何食べた?」(ほとんどの場合、20分で晩ご飯的な、栄養バランス、複数の料理を献立として同時進行して作る手順、予算、材料の使い回しや代替材料などまで考えられた)が始まり、実用性でまったく水をあけられてしまっている。何十年も毎週連載ということであれば、載せる料理探しも大変なのかも知れないね。
◆ソースで挫折? マヨ使うのよ、マヨ。
今回も、たぶんこのメニューに挑戦しようとした読者のほとんどは、オランデーズソースで挫折したことが容易に想像できる。バターと卵黄とレモン汁でつくるソースが敷居を高くしている。オランデーズソース以外は結構簡単なので、私は、オランデーズソース抜きでよく作る。卵を使った別のソースといえば、おなじみマヨネーズであるが、マヨ党員としては迷わず使う。別もんになるといわれても、簡単でおいしいものはおいしい。というか、もともといろいろなバリエーションがある食べ物であるので、私がマヨを使ったって、別にいいのである。というか、オランデーズソースを用意できる者だけの特権という感じが、この食べ物の普及を妨げているに違いない。
◆魅惑のポーチドエッグ
次に読者が挫折しそうなのは、ポーチドエッグである。
オランデーズソースよりもむしろポーチドエッグが、このメニューの主役といっても過言ではない。沸騰したお湯の中に、静かに卵を割り入れて成形する。生に近い半熟の黄身を平たい楕円形に美しく取りまく固まった白身。ナイフを入れるととろっと流れる黄身。
だが、ただひとつのコツ、良い卵の新鮮なものを使うことを知らない限りはなかなか美しく作れないと思う。間違って賞味期限間近の卵を使うと上手に作るのはおそらく困難を極めるだろう。逆に卵が新しくて良いものであれば、簡単に成形できるのだ。この間、博多駅などで売ってるJR九州の卵「うちのたまご」で作ってみたら、いつもよりうまくできた。
お湯に酢を入れなきゃって? そんなことしなくていいよ。べつにレストランでお客さんに出すわけじゃないんだから。
ポーチドエッグ、おいしいよ。あらゆるお料理の付け合わせやトッピングに。一度に1個かせいぜい3個くらいしか使わないのだったら、ポーチドエッグはゆで卵よりも早くて簡単。というより、殻むきのことを考えたら、本当に手間いらずである。
◆じつは近いものが普及してる
卵とハムとマフィンといえば、朝マックのエッグマックマフィンみたいだと思われるかも知れないが、おそらくは、あの食べ物の「もと」は、エッグベネディクトに違いないと思っている。でもマクドナルドの丸い目玉焼きよりも、ポーチドエッグの方が格段とおいしい。ポーチドエッグが作れるようになったら、お持ち帰りマックにはさんで食べれぱ、これまで食べてきたエッグマックマフィンや月見バーガー類は一体何だったのと思われるに違いない。お試しあれ。