発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

「トノバン」音楽家・加藤和彦とその時代

2024年06月06日 | 映画
「帰って来たヨッパライ」が、すべてを変えた
 物語じゃないのでネタバレはない。
「トノバン」音楽家・加藤和彦とその時代を描くドキュメンタリー映画。ユナイテッドシネマ、キャナルシティ博多。夕刻の回。チケットを買って店をぶらぶら。無印良品の書店が4階に移っていた。
 映画冒頭は2022年のオールナイトニッポン55周年番組オンエアの様子。「ビタースウイートサンバ」の響きに一足飛びにラジオ少年少女だった時代に連れて行かれる。
 年老いた初代DJ斎藤安弘、なんかお爺さんがしゃべっているぞと思っているうちに、本調子を取り戻し違和感なく聞こえてくる。彼がかける曲が「帰って来たヨッパライ」。
 1967年開始のラジオ深夜放送番組オールナイトニッポンから加藤和彦の活躍がメジャーとなった。「トノバン」は、加藤の愛称。大人が仕掛けたのではなく、アマチュア学生バンドの卒業記念盤から始まった。すべてが新しく、まさに一世を風靡した「帰ってきたヨッパライ」。「Ⅽ」のコードの開放弦にひとつ指を足して、不協和音にして。
 映画ではその言葉はなかったが「東芝レコードが買い取れるくらい儲かった」という談話を読んだ記憶がある。

◆気分は「イエスタディワンスモア」なのさ
「イムジン河(が発売中止になったくだり)」「悲しくてやりきれない」
 曲と関係者のインタビューが続く。存命である北山修、つのだ★ひろ、高中正義、吉田拓郎、泉谷しげる、坂崎幸之助、レコードやラジオの関係者。存命ではないが、高橋幸宏、坂本龍一。
「あの素晴しい愛をもう一度」(
以前も紹介したが映画「愛と誠」の中で武井咲演じる早乙女愛が踊りながら歌っているのが最高に可愛いから貼った。大賀誠が妻夫木聡なのは一目瞭然だが、斎藤工演じるメガネの岩清水弘からも目を離せない)(歌の題名の正しい表記は「素晴らしい」ではなく「素晴しい」なんですと)。リズムがサイモン&ガーファンクルの「ボクサー」のリズムであると言われれば、確かに「ライラライ」に乗っかるなあ。
 サディスティックミカバンド。高橋幸宏がドラムを叩き高中正義がギターを弾いてるじゃないか。映像で見る豪華さ。
 さまざまなヒット曲、レッテルを貼られることへの抵抗、続く進化。
 だが突然それは終わった。
 怒りと悲しみのこもった高中正義の追悼のメロディに心を揺さぶられた。
 ものを作り続ける努力というものについて考える。
 映画の最後は「あの素晴しい愛をもう一度」で締めくくられた。
 まったく気分は「イエスタデイワンスモア」。
 キャナルシティの噴水(写真)は「タイムトゥセイグッバイ」に合わせて踊っていた。物販店は終了している。21時30分のこのプログラムが、一日の噴水の最終回なのかな。

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