発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

雛人形と、ゴースト・イン・ザ・シェル

2017年04月07日 | 映画

◆福島の八女人形会館♪見学ですよ。

 福島へ行った。といっても、福岡県八女市の福島である。市制施行のときに、福島の地名が使いたかったが、福島市というのはすでにあるし、筑後福島市にすると、すでにある筑後市と紛らわしい上に長いということで八女市になった経緯がある。八女は茶どころとして有名だが、街なかである福島は、仏壇仏具、節句人形、石灯籠等の伝統工芸品が多く作られる場所だ。ちなみにこの町にある県立福島高校は、五木寛之氏の出身校である。

 というわけで、通りすがりの八女人形会館♪を見学する。

 なぜ♪かというと、福岡ローカル民放では、八女人形会館のCMには邦楽旋律のサウンドロゴがついていて、長年にわたって放送されているため脳に深く刻み込まれ、八女人形会館の文字列を見ると、反射的にメロディーが浮かんで来るのである。

 平日昼間は暇なのかな。私の他は1〜2組のみ。1階は展示即売。600円台のマスコットから、数百万円の作家ものまで展示されている。親王飾り、段飾り、ぷっくりした木目込みの雛人形、兜や鯉のぼり。屏風に描かれた花模様と、親王飾りの衣装がカラーコーディネートされていたり、いろいろお洒落である。柳川さげもんも「まり飾り」という名で販売されている。端午節句の男子バージョンまり飾りもある。スペインはリヤドロ窯の親王飾りや武者人形が置いてあるのはデパートと同じだが、リヤドロの節句人形は、お顔がやっぱり違うと思う。ちょっと違う、なんか違う、というようなデリケートなところが節句人形にはある。

◆2階は、コレクション展示

 江戸時代から明治にかけての節句人形などを鑑賞。江戸末期の段飾りといえば、芥川龍之介の『雛』を思い出すが、展示されていた段飾りは15人どころではなく、翁媼の高砂人形含めた26人いる大所帯だった。博物館に保存展示されているお雛様はラッキーなり。

 

↑印象に残ったのは、戦士の休息というか、ザンバラ髪の落ち武者人形で、美しいがやや諦念を含んだ表情で兜を手に持っている。あー、私の首を差し出したらなんとかなるんかなーなどと思っていそうな。というか、これは節句人形、なのか?

 神功皇后と武内宿禰とか旧い場面のお人形さんもあり。

◆映画ゴースト・イン・ザ・シェルにお雛様が出てくる

 そういや、今公開中の「ゴースト・イン・ザ・シェル」に、お雛様の段飾りが出て来る。お母さんが嬉しそうで、ちょっと鼻の奥がツンとする。なぜかは本編で。

 呼吸と、それを意識する脳だけの自分、という感覚は、何十年も前、座禅に行って感じたことだ(しばらくすると足が痺れてそれどころではなくなるのだが)。脳だけが自分で、全身つくりもののサイボーグ。記憶が書き換えられているものの、バグとして出て来るのが本来の記憶だと気がつく。自分は誰なのか。「ゴースト・イン・ザ・シェル」は、宇宙に行かなくても機械の身体が手に入る世界なの、鉄郎。コミックも、シリーズアニメもまったく見てない私でしたが、楽しめました。

 

 

コメント
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