発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

どんな本でも出せるのですが

2019年05月07日 | 本について
◆どんな本でも出せるのですが
 さて、私は、連休中ほぼ働いていた。お受けしたお仕事は進めとかないとおおごとする。地道な作業はつづくよどこまでも。そんな仕事をしながら、ときどき思うのは、そういえば、出そうと思えば自分のどんな本も出せるんだよなあ、ということだ。
 高校時代、知人友人が、グループや個人でタイプ印刷の詩集冊子を出していた。当時一冊100円くらいの価格設定だったか。大学時代に出した友人もいる。今の少年少女に詩を書くひとたちはいるのだろうか。昔は結構多かった気がする。
 私は詩は書いていたが、文芸部には所属していなかった。文芸部は文学少女の集まりで、彼女ら比にしてしまうと、ろくすっぽ本を読んでない当時の私には敷居の高いところであった。たまに雑誌に投稿して図書券を貰っていた。知人の100円詩集についての詩が学年誌に掲載され選者田村隆一氏のお褒めの言葉とともに図書券を貰うという「わらしべ」体験もした。学年が違う人たちだったので、私が「感想文」を発表したことも伝わっていないのかもしれない。
 その後紆余九十九曲折を経て版元となり今日に至るわけだが、そういえば「自分の詩集を出したくて出版社をはじめた」という人々は少なからずいる。
 福岡でも文芸路線の出版社K社の代表者Tさんは詩集を何冊も出している。何年か前全国ネットで自費出版専門出版をしていたS社が急成長ののち倒産したが、そこの代表者も自分の個人詩集を出すためにその会社を立ち上げたと読んだことがある。
 版元の仕事というのは、10文字で表すと「原稿を商品化すること」である。知り合いや身内に配ればそれで終了の立派な装幀の本、というのもありなんだろうけど、売るつもりでつくらないと読んでもらえないというのも事実なのだ。お客様にもそう言う。商品となりうるコンテンツとしての詩というのを、どれだけ集められるのだろう。版元してるからには、自分の本を出す敷居はすごく低いのだけど、買ってくれるひとがいなさそうな詩集は、出しにくい。
 おっと、そんなことより、幕末ものの楽しい本を出すんじゃなかったの?それを出すためには、目の前の仕事をやってしまわないと。
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2 コメント

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お初に・・・ (yo-サン)
2019-05-21 21:01:41
失礼します。

>高校時代、知人友人が、グループや個人でタイプ印刷の詩集冊子を出していた。当時一冊100円くらいの価格設定だったか。

もう、すっかりセピア色の想い出ですが、私もそうでした。とても懐かしく拝読。
文芸部もやり、鉄筆、ガリ版、謄写版なども持っていました。当時、福井市内には、たしか「なかよし孔版社」というお店があり、ちょっと体裁よく文集などを作って頂いたこともありました。
以前に上梓した著書もありますが、初版、第二刷も完売でしたが、もう絶版にしました。文学書ではありませんが。
すみません、つい由無しことを。どうぞご寛容に。
往年の文学少年yo-サンでした。

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Unknown (thinkingfishing)
2019-07-03 00:24:12
完売は素晴らしい!です。
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