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映画「グッド・シェパード」

2007-10-30 13:28:29 | 映画感想
マット・デーモン、アンジェリーナ・ジョリー、ロバート・デ・ニーロ。
CIAにまつわるサスペンス。

映画は時系列には進行しない。

時間(年月日)が頻繁に前後するので、
字幕に出る日付をよく確認しておくこと。

***

物語を読み解くのに知っておくといいのが「ピッグス湾事件」
(ピッグスはPigs、豚です)

1959年1月、キューバ革命が起こる。
1960年、キューバは国内のアメリカ企業を国有化し、ソ連に接近、
危機感を抱いたアメリカは、1961年4月、亡命キューバ人を組織して、
キューバのピッグス湾(スペイン語ではコチーノス湾)に上陸作戦を敢行。

しかし、情報が漏れ、キューバ軍の待ち伏せを受けた上、
アメリカの補給船、爆撃機が撃沈、撃墜され、作戦は失敗に終わった。

このことで、当時のジョン・F・ケネディは激怒し、CIAの解体に動く。
後のケネディ暗殺事件にCIAが絡んでいるといわれる所以である。

***

物語は、一人の男が出勤するところから始まる。

男は、エドワード・ウィルソン(マット・デーモン)、CIAの幹部である。
1961年4月、エドワードの指揮の下、
キューバのコチーノスへの上陸作戦が実施される。

しかし、作戦は大失敗、CIAは事前に情報が漏れたと考え、
上層部は、CIA内部に内通者がいると考える。

作戦に関与した人物は全員怪しい。
エドワードにも疑いの目がかかる。

そんなある日、自宅に投げ込まれた封筒に、
1枚の写真と録音テープが入っていた。

不鮮明な写真は男女のベッドシーンのようだった。
テープはノイズが多く聞き取りにくいが、
単なるピロートークではなかった。

エドワードは、写真とテープの分析を命じるが、分析は難航し、
少しずつ情報が見えてくるが、最後に驚愕の事実が明らかになる。

さて、時代は遡って、1939年ころのエール大学。

学生だったエドワードは、
秘密結社スカル・アンド・ボーンズ(髑髏と骨)に入る。

ゼミのフレデリックス教授(マイケル・ガンボン)は、
エドワードを「米独何とか」という組織に誘う。

それはナチ信奉組織であり、
エドワードはFBI捜査官にメンバーを探るよう依頼される。

結果、教授は追放され、エドワードは、
サリバン将軍(ロバート・デ・ニーロ)にOSSにリクルートされる。

そのころ、エドワードには、
耳の不自由な恋人ローラ(ケミー・ブランチャード) がいたが、
エドワードは、スカル・アンド・ボーンズでの友人、ジョン・ラッセルの妹、
マッガレット・”クローバー”・ラッセル(アンジェリーナ・ジョリー)と
ねんごろになり、妊娠させてしまったため、
ローラを振って、クローバーと結婚する。

OSSは新設されたばかりの情報機関で、
第2次大戦下の諜報活動を行う組織だった。

イギリスへ派遣されたエドワードは、
フレデリックスがイギリスの諜報員だったことを知る。

第2次大戦は終結し、アメリカの敵はナチスからソ連へと変わった。

戦後、エドワードは活動をイギリスからドイツへ移し、
6年の海外出張を経て帰国する。

6年の期間は夫婦仲を冷えさせてしまったが、
エドワードの心の支えは息子のエドワードJrだった。

OSSは解散し、サリバン将軍らによってあたらしくCIAが作られる。

エドワードは、CIAに異動するが、機密保持のため夫婦仲はますます悪くなる。

そして、キューバ革命とキューバによるアメリカ資産の国有化を経て、
CIAはキューバに対する破壊活動を活発化させ、
ついに「ピッグス湾事件(コチーノス湾事件)」につながっていく。

はたして、情報漏洩の真相は、、、

***

マット・デーモンの老けメイクはいまいちだが、
眼鏡を老眼鏡にすることで時間の経過を表している。

アンジェリーナ・ジョリーや、ケミー・ブランチャードは
時間の流れを感じさせるのに成功している。

ケミー・ブランチャードは、どこかで見たと思ったが、
TVで活躍する全く知らない女優だった。
「ジュディ・ガーランドの生涯」(TV、2001)では、
ジュディ・ガーランドを演じている。

フレデリックス教授のマイケル・ガンボンはダンブルドア校長。

再会したローラの別れ際の一言、
「海岸の日を返してちょうだい」はちょっと意訳過ぎ、単なる嫌味。

セリフは「海岸の日のことで、あなたは私に借りがあるわ」なので、
「海岸での事はまだ『貸し』よ」か「海岸の日は『貸し』たままよ」
「海岸の日の『借り』を返して」くらいのところか。


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7 コメント

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TB&コメントありがとうございました☆ (rikocchin)
2007-11-19 22:18:36
KGRさん、こんばんは~

まとめてTB大変ありがたくお返しさせていただきま~っす。

世界史にもの凄く疎い私なので、キューバ革命もピッグス湾事件のはてさてなんの事やらっと(笑)
時間軸も錯綜しながら、たくさん登場人物が次々出てきて、知らない俳優さんの顔を判別するのに必死で有りながらも、ストーリー自体には3時間近くの時間をまったく感じずあっという間という感じに引き込まれて観ていましたが、やはり歴史の認識が甘いとこの映画を語れるところまで行きませんでした(笑)
劇場ではもう終わってしまいそうなので、いつかもう一回DVDなどで観てリベンジしようと思っています~(笑)
返信する
rikocchinさんへ (KGR)
2007-11-20 00:56:41
コメントありがとうございます。

キューバ革命(1959)
ピッグス事件(1961)
キューバ危機(1962)
ケネディ暗殺(1963)
と続くのですが、
こ難しい政治の話は抜きにして、
見ればいいと思います。

実際、台詞で最も印象に残ったのは、
政治絡みの話ではなく、
マット・デーモンとアンジーの言い争いでの
"I married you because of my son"
この言葉で言い争いは終わりますが、
あーあ、言っちゃった、って感じでした。

愛を失ったのは、アンジーの方でしょう。
返信する
今晩は(^_-)-☆ (mezzotint)
2007-12-23 21:38:08
KGRさん
コメント・TB有難うございました。
重厚な作品でした。でも私はどうも苦手です。
長時間ということもありましたが、単調な流れで
登場人物も多く・・・・。混乱してしまいました。
返信する
mezzotintさんへ (KGR)
2007-12-23 22:30:28
コメントいただきありがとうございます。

政治や陰謀が苦手な方は、
夫婦と親子の行き違い愛憎劇としてみても
面白いのかもしれません。

前にも書きましたが、
"I married you because of my son"
はズバリ、
本当はお前なんか愛してなかったんだ、
に聞こえました。
返信する
おじゃまします (ピロEK)
2008-08-17 12:49:00
おじゃまします。年代がコロコロ変わる割には分かりやすくまとめられていたと思うこの映画ですが、マット・デーモンの見た目の変化が少なくて、彼から入る場合はちょっと混乱しました。で、アンジェリーナ・ジョリーは別の意味で不自然でした。
では、また来させていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。
返信する
ピロEKさんへ (KGR)
2008-08-17 16:34:58
>アンジェリーナ・ジョリーは
>別の意味で不自然でした。

「若造り」のことでしょうか。
私としては
ケミー・ブランチャードの方が好みでした。

マット・デーモンの老けメイクは一考ありですね。
髪とか皺とか、もう少しはっきりした方がよかった。
返信する
おじゃまします (ピロEK)
2008-08-24 11:18:45
おじゃまします。あのアンジェリーナ・ジョリーの若づくりは不自然でした。
何となく昔のAVみたいで(暴言)…。
では、また来させていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。
返信する

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