腕時計修理専門店・トゥールビヨン店主のブログです
腕時計の修理の詳細や腕時計のトリビア、店主の個人的な趣味の話などを気の向くままに書いております。
 



時計をパッと見て「おっ!かっこいいな!」とか「ちょっと好きじゃないな~」と判断する大きなポイントは文字盤ではないでしょうか?その時計の最も印象に残る部分。もちろん独特のケース形(本体)やブレス(ベルト)のデザインなどもありますが、やはり重要なのは文字盤。

時計の文字盤はダイアルとかフェイス、日本では干支(えと)などと呼ばれます。江戸時代の時計(和時計)が十二支で時刻を表したのが、その名の由来です。「草木も眠る丑三つどき~」と、怪談に出てくるやつですね。

長年愛用されている腕時計などはエイジング(経年劣化)で文字盤が変色したりします。主に紫外線による日焼け。インデックス(5分刻みに付いている印)の夜光塗料なども変色します。これが程よい感じでくすんでいると、いわゆる“ミントコンディション”と呼ばれる状態。良い感じに歳をとっているとでもいいましょうか。ルイ・ヴィトンの取っ手などに使用されているヌメ革が購入したては変に肌色ですが、エイジングにより濃い茶色になるあれと同じ。手垢などで真っ黒なのは論外。

単に日焼けでくすんでいるのならいいのですが、湿気などで変色やサビが出てきている場合はちょっと汚いですよね。直す方法は2つ。
1、新品の文字盤に交換する。
2、今付いている文字盤の表面をを塗りなおす。
です。1の場合は特に問題ないのですが、問題なのは2つ目。
文字盤を塗りなおすことを“リダン”と言います。リダンは修理ではなく改造に当たります。ですのでリダンした腕時計は正規のサービスセンターでは修理を受け付けてくれない場合があります。アンティークのROLEXやOMEGAで、紫色や水色等のパステルカラーの文字盤はほぼリダンされていると考えていいでしょう。「わ~!かわいい色のROLEX~!」と安易に購入し、後に「オーバーホールできません!」と突き返されてしまう可能性が大ですのでご注意を。

“リダン”ってワールドカップで頭突きした人でしょ...って、その程度のボケでは座布団2枚は没収する腕時計修理専門店トゥールビヨン店主。

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