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「るろうに剣心」

2012-09-23 11:59:06 | 徒然なるままに

高2の娘と映画「るろうに剣心」を観てきた。
コミックの実写版なのだが、原作のコミックを読んでいなくても、十分楽しめる作品になっていたと思う。
特に、登場人物のキャラクターが濃くて、やり過ぎなくらいノリノリの役作りだったと思う。
アクションシーンは見ごたえがあり、原作のイメージとの遜色はなかったのではないだろうか。

観終わった後、母子での印象はだいぶ違っていた。
一番の違いは、時代背景の認識。
原作を読んでいず、幕末についての知識が乏しい娘にとっては、登場人物の相関図がわかりにくく、凄惨な印象だけが残ってしまったらしい。
戊辰戦争、新撰組、志士、明治維新、廃刀令、士族、新政府、清国とアヘン戦争・・・。
キーワードがたくさんあったが、すべて、原作を読んでいるか、幕末~明治維新の時代背景を知っているという前提で作られている映画だったと思う。

娘は、主人公の緋村剣心役の佐藤健君のアクションが見たかったらしい。
とりあえず、彼女の疑問点に関しては、観終わった後で解説はしたのだが…。
まあ、これをきっかけに、歴史に興味を持ってくれればいいのだが、NHKの大河ドラマも観ない娘が、興味を持つのはいつのことか…。たぶんこの先も「歴女」にはならないだろう。

ところで、佐藤健君は、映画化が決まった時に、「緋村剣心役は、佐藤健しかいない!」と言うほどの大抜擢だったそうだ。
彼は、「仮面ライダー電王」で主役をやり、その演技力が認められ、人気が出たのだそうだ。
NHKの「龍馬伝」で、龍馬の幼馴染みの岡田以蔵(通称・人斬り以蔵)役を演じ、師・武市半平太への忠義を尽くすひたむきさ故の人斬りの苦悩を見事に演じ切っていた。
今回の緋村剣心もまた、「人斬り抜刀斎」の異名を持ち、人切り時代の自分の犯した罪にさいなまれながら新しい時代を生きている。「人を生かす剣」を信条として、二度と人を斬らないため、嶺の方に刃をつけた「逆刃刀」を帯刀している。
元新撰組三番隊組長で、新政府の山県有朋の下で警官を務める齊藤一が、「人を斬らずに人を守る」と言う剣心を挑発して斬り合いをしかけ、
「人を斬らないための「逆刃刀」の刃が、己を傷つけることになる」
と言って、剣心の肩に「逆刃刀」の刃をくいこませるシーンが痛々しかった。
それを見た、剣心に新政府のために再び暗殺稼業を頼もうとしていた山県有朋が、
「悪かった。そこまでだ」
と止めに入るシーンが印象に残った。

新政府の要職についている人間の中には、新しい世の中を作るため、やり方は違っても、日本のために頑張っていた人達を、日本人同士を斬り殺し、大きな犠牲を払ってきたのだという自覚はあったのだろう。
山県有朋が、剣心のような腕の立つ当時14歳少年を、暗殺者として使ってしまったことへの申し訳なさが垣間見えたシーンだった。

娘とは、その後、岡田以蔵の話や、白虎隊の話、特攻隊の話、人間魚雷回転の話などをし、今の兄(23歳)や姉(21歳)、そして17歳の自分と同い年ぐらいの将来ある若者が、「新しい時代」を作るためにたくさん犠牲になった歴史があることを話した。

教育とは、怖いものだ。真っ直ぐな気持ちを持つひたむきな子ども達に、何が正義かの教え方を誤ってしまうと、国が滅んでしまうのだ。
子どもは「国の宝」なのだ。
暴力には暴力でしか戦えないのか?
そう教えたのは、誰なのか。
剣心に飛天御剣流の剣を教えた師は、そうは教えなかったはずだ。
剣心が、金の亡者に、
「金で買えないものがある。それは、お前が今、俺に乞うているものだ。それは命だ」
という言葉が、心に刺さった。
多感な少年時代を人斬り道具として使われた剣心が、この思いにたどり着くまでの壮絶な葛藤を思うと涙が出た。
己の剣の腕は、何のために使うべきだったのか。
「剣の心」と書いて「剣心」と読む。それを名乗る主人公の思い。
剣心のほほの十文字の傷は、夫婦になるはずだった男女「恨みの剣」による傷だったということを映画を見てから知った。彼の心に背負った十字架の重さと、己に課した「殺さずの剣」の誓いの重みを痛感した。佐藤健君の演技は、それを見事に演じ切っていたと思う。

興味をもたれた方は、以下のサイトを参考にご覧ください。

『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』コミック版
http://www.j-rurouni.com/

「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」アニメ版
http://www.kenshin-tv.com/

「るろうに剣心」映画版
http://wwws.warnerbros.co.jp/rurouni-kenshin/index.html

「飛天御剣流」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9B%E5%A4%A9%E5%BE%A1%E5%89%A3%E6%B5%81
http://page.freett.com/sukechika/meizi11/04kengi/meizi08-2.html

剣心のモデルになったと言われる尊皇攘夷派の熊本藩士河上彦斎(かわかみ げんさい)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%B3%E4%B8%8A%E5%BD%A6%E6%96%8E

佐藤健オフィシャルサイト
http://www.satohtakeru.com/

『仮面ライダー電王』
http://www.tv-asahi.co.jp/den-o/

NHK大河ドラマ『龍馬伝』キャスト岡田以蔵
http://special.infoseek.co.jp/entertainment/ryomaden/cast/17.html


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4 コメント

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Unknown (春庭)
2012-09-24 18:49:18
佐藤健くん、龍馬伝もよかったし、前田敦子と共演した「Q10」や「冬のさくら」もよかった。るろうに~も、テレビ放映になったらみたいです。

お嬢さんとの映画鑑賞、いいですね。終わった後、いろいろ話し合えるのもすてきなこと。
わが家は、一番歴史にくわしい息子があれこれ解説してくれるのを聞きながら、大河ドラマなどを見ています。

「お金でかえない命」の重みを子ども達に伝えていきたいですね。
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観ましたか! (ホーク)
2012-09-28 00:18:57
う~、私は映画館で観ようかTV放送を待とうか迷っています。
原作が好きなので、いくら佐藤建くんといえど、実写版はどうなのよ、といまさら不安に思えてきたので。
斉藤一役が江口洋介っていうのも不安。
でも、だからこそ見てみたい気も(苦笑)
娘さんと一緒の鑑賞なんていいですね♪
私なんてひたすら「悪即斬」とか「薫どの」とか、原作の名シーン、名セリフの再現に一喜一憂する鑑賞しかできそうにありません。
でも、面白そうでよかったです♪
どういう形になるにせよ、必ず観ますね。
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命の重さ (toliton717)
2012-09-30 21:18:52
春庭さんへ

コメントありがとうございます。
歴史に詳しい息子さんの解説ですか、頼もしいですね。
息子さんとの展覧会や博物館、史跡めぐりも楽しそうですね。

「お金で買えない命の重み」というのを教えるのは、難しいけれど、機会を作っては教え続けて行かなければいけないと思います。
ゲームで、人が死ぬことについてマヒしたような感覚夜の子どもたち、「死ね」「死ねば?」「一回死んで来い」という言葉を、挨拶代わりに簡単に口にする今若者たちは、剣心の頬の刀傷と、心に背負った十字架にどれどれだけ共感できるのでしょうか。
時代背景や歴史的事実を知らなくても、『命の重さ』は、どんな時代も、どんな国でも、どんな人でも同じだと言うことを、理解するのは理想論でしょうか?
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観てから読むか、読んでから観るか? (toliton717)
2012-09-30 21:27:46
ホークさんへ

原作のイメージが強い人は、『別物』としてみた方がいいのでしょうか?

原作を読んでいなくて、映画を観てからマンガを読むならOKかも。

私は、その中間で、映画を観る前に、人物の相関図や剣心の過去がわかる巻を読んでから観ました。

アクションとしては、観ごたえはありましたが、作り物とはいえ、切り合いのシーンは苦手でした。

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