とみぞうのお気楽ブログ

クルマ、日本、北海道を愛する生粋の道産子50歳♂です。カバー画像は、PC版は増毛駅、スマホ版は733系電車の大谷ver.

フォードクーガについて(2016.6.1のwebCGから)

2017-05-12 21:33:57 | クルマ
 1年ほど前の記事ですが、webCGにフォードクーガの記事が出てました。フォードが日本撤退を発表した後のものです。筆者は、モータージャーナルでおなじみの森慶太さんです。

 今日、たまたま「フォードの知られざる奥深さ」という、当ブログの過去エントリーにコメントを下さったのキッカケに、似たような評価をされている方の文章をコピペwwしたいと思った次第です。

============

(以下、全文転載)

第3回:フォード・クーガ(森 慶太) “いいクルマ”の典型
2016.06.01

 よくできたクルマの原稿は難しい

 クーガ、どういうクルマか。「運転しやすく、乗って快適」……と書くと、アッという間に試乗記が終わってしまう。まだ2行。1行半強。具体的にどのようにできているクルマだから「運転しやすく、乗って快適」なのかを書けば、もうちょっと話が長く続く。なので、そのへんのことを。

 クルマ好きなら毎日……ということでちょっと注意してイロイロ読んでもらうとわかると思いますが、クルマの試乗記の多くにおいて、その試乗記っぽい部分は往々にして、運転した人=書いている人がそのクルマに関して気になったことを書いている部分だったりする。ナニゴトもなく平和にコトが運んでいると、その間のことは書かれにくい。少なくともあんまりリアルには。

 なぜ書かれにくいかというと、そもそも記憶に残るようなことが起きていなかったから。人間が自身の呼吸や歩行に関して特に意識することがないのと似て、ナニゴトも起きず平和にクルマが走っているときのこと(もちろん、それは極めて大事なところでありますが)をちゃんと書くのは、実はけっこう、難しい。極端な話、散々乗ったあげく「ナンかイイね」ぐらいしかなかったり……とかもする(実はそれが最高のホメ言葉という説もあります)。

 「シート、よし」とか「右ハン環境、モンダイなし」とかに続いてのクーガの第一(?)印象としてあるのは、例えば車体がずいぶんガッチリしている。車体の軽量化がクルマ作り界の最新流行だというのを意識して書くなら、「いまのクルマには珍しく」というフレーズを追加してもいいかもしれない。主に燃費のために骨格を軽くしたぶん骨身がケズられちゃった感が、このクルマの場合はない。車体軽量化とある種セットで「一見静かなんだけど、ちょっと注意してみると実はいろんな雑振動が……」なんてのも最近はママありがちだけど、やはりクーガ、それとも違う。車体がガッチリできていて、なんというか、味が濃い。濃い味つけということではなくて、素材の味が。ハウス栽培系ではなく露地栽培系。現状これだけガッチリしていてくれたら、個人的には(笑)キラいな巨大ガラス屋根も気にならない。

 秀逸なブレーキの操作性車検証記載値によると、車重は1720kg。これはたしか、たぶん、先代モデルの日本仕様(同じヨンクで、ただしエンジンはガソリンのポート噴射2.5リッター5気筒+ターボ)と同じくらい。今回はパワートレイン関係が軽くなって、車体側が重たくなって、で都合、ほぼ“いってこい”ということ? ま、わかりませんが。フロント軸重1010kg。割り算すると、全体の約59%。ほう。

 アクセルペダルの踏み始めやブレーキペダルの踏み始めのところのクルマ側の反応は、簡単にいうと優しい。運転手をビックリさせない系。おっとり系。ブレーキに関しては、初めてフォードに乗ると、踏み始めのところでちょっとナマクラな感じがするかもしれない。もしかして。

 でもこれ、非常に具合がよろしい。ちょっと細かく説明すると、ペダル踏力(とうりょく)を高めていって狙った制動Gのところで一定にするまでのわずかな時間のなかで、うまいこと踏みかたをイメージすることができる感じ。スッと。脚の筋力で考えることができる、できやすいというか……。もっと細かい話をすると、例えばETCゲート。ゲート通過速度までクーッとブレーキをかけていって、そこから踏力をスッと抜く瞬間。そのときの制動Gの残らなさがまた、運転しやすさ的に加点要素。もちろんというか、速度ゼロまで落とすときの扱いやすさもクーガは、というかフォードはちゃんとしている。停止の瞬間の抜きのやりやすさもあり、速度が消え入るように止められる。快感。

 “JC08モード超え”も難しくはない

 パワートレイン関係のことは、正直あまり覚えていない。「チカラは十分ある」ぐらいしか。頼んでもいないキックダウンが勝手に起きたり等の挙動不審なコトがあって「ン!?」となった記憶がゼロ。トルコン+6スピードのプラネタリー自動変速機ということでクルマ好き的に気になるシフトパドルはたしかついていなかったし、借りている間の前進中にセレクターを「D」以外の場所へ動かしたことは一度もなかったけれど、それで何ら不足は感じなかった。初めて走ると泣きそうになる(というか筆者はなった)某イジワルなクネクネ道でもちゃんと試乗したけれど。なんか、あった……かなあ? そうだ。6速100km/hは1750rpmぐらい……というのを確認したとき以外、エンジン回転数メーターは見なかった。

 気になる燃費。先代モデルのときは、高速道の巡航で8リッター/100km「あたりがほぼ上限かなあ。これは」と思ったものだった。8リッター/100kmとはつまり、換算すると12.5km/リッター。いや8.2リッター/100kmだったかなあ。それだと、約12.2km/リッターになりますね。

 今回のチェック区間は、河口湖のほとりがスタート地点。トリップコンピューターのBだったか2だったかをリセット(もう一方はwebCGが借り出し時点からのチェック用に使用しているのでタッチ厳禁)。そこから11kmほど下道を走って、河口湖インターから中央道河口湖線に乗って、中央道上り藤野PAまでの59.3km区間で16.6km/リッター。おー。いまのクルマっぽく、燃費ちゃんとよさげ。なお、そこまでの平均速度は64km/h。エコランせずフツーに運転。エアコンON。それと、距離計誤差はチェックしてないので、補正とかできません。すいません。

 骨太な足まわりのチューニング

 乗り心地。「欧州車、ドイツ車」というイメージで乗ると、上下方向の揺れは比較的か意外にか、フツーに出ている感じ。ガッチリ車体+ゆったりな揺れ……で大筋間違ってはいないと思うけど、要注意点として、その上下方向の揺れがもっぱらバウンシングになっていることに注意。つまり、ピッチングは出ていない。同じフォード車で例えば「フォーカス」あたりの記憶と比較すると「さすがにちょっとリアが重たい感じかな?」というのはあるけれど、バウンシング。車体が路面と平行の角度を保ったまま、上下に。あと動車高、つまり走行中の車高がダラシなく基準位置=静止状態の車高から落ち込む感じがない(これがあると、乗っていて気持ちがドヘッと疲れます)。なので、ゆったりなんだけどユルくはない。あくまで、“ある種の”ユルさ。車体の骨格だけでなく、アシ関係もガッチリ系。イザというとき頼れる感じ。あるいは逆境に強そうな。

 知ったか顔で書くと、専門的にはダンパーの圧側つまり縮み側の減衰がしっかりあるのがひとつポイントだそうで。「じゃあほかのメーカーも圧側の減衰しっかりをドシドシやればいいじゃん、日本車もマネしろよ」と思うのが人情なのだけど、基本中の基本であるところの〈車体ガッチリ〉がちゃんとできていないクルマでヘタにそれをやると、痛い系のショック入力が発生しがちになる。それは避けたいので、圧側はホドホドに。あるいはチョボチョボに。でも減衰力の全体のボリュームは相応に確保しないといけないので、圧側ホドホドかチョボチョボのぶんを伸び側に盛る。と、ヒョッと縮んで反転して伸びていった先でキュッと止まって乗員不快。以上、サスペンションチューニングあるある話(の聞きかじり)でした。

 クーガの乗り心地がまるでフカフカのジュータンの上を歩くがごとしであるかというと、実際にはそんなことはない。路面に凹凸があれば、それらはそれらとしてちゃんとわかる。でも大事なのは、凹凸があっても、わかっても、「それだけのこと」になっているところ。デコボコがあったらデコボコで、デコもボコもデコやボコで終わる……というのはつまり、“ガツッ!!”にならない。痛い系のショック入力にならず、またショックが後を引かない。イヤな余韻がない。要は、車体的にもダンパー的にも減衰が、抑えがしっかり効いている。たくましい。

 直進してよし、曲がってよし

 ハンドル関係。車体やアシがいいのと、あと電動パワステ(だと思います)のクセをよく払拭というか、よくわかって扱いづらくないようにしてあるので、直進時やほぼ直進時の進路の管理はやりやすい。レーンの真ん中を常にキレイにキープして……の運転を極力心がけてやってみるとすぐわかることに、クーガは、というかフォード車は真っすぐ走る。定規に沿ってビーッと引いたような真っすぐではなくて、フリーハンドで上手に描けた真っすぐの線。カンペキにフラットでイーブンな路面なんてこの世に存在しないので、もちろん修正舵(だ)の操作は必要……なのだけど、それは無意識にやってしまっているので特にどこでどう修正したとかの記憶は残らない。

 ブレーキ関係やアクセル関係の特性も上記のごとく良好であるので、例えばの話、常日ごろオット(ないしオトーサンなど)の運転のおっかなさやカナクギっぽさに助手席や後席でヘキエキやドキドキやヒヤヒヤしている女性の皆さんは「クーガ、ステキ!!」とか言ってみるといいかもしれません。もちろん、ワザと彼に聞こえるように(笑)。クーガ、いわゆる運転がうまくなるタイプのクルマの一台です。ていうか、フォードです。

 もっとハンドルをいっぱいきって、いわゆるコーナリング関係。旋回関係。ひとことだけ言うとしたら、舵のつながりがよい。切り始めた直後あたりにビクッと急な反応が返ってきてウワッとなって思わず手を止めて(ということは旋回のためのハンドル操作などはそこからまたやり直し)……みたいなことがないのと、あと、視界が開けた先でカーブがさらにキュウッとキツくなっていたような場合は、そのままシームレスにハンドルきり増しで対応OK。ロール姿勢の管理もふくめて、やはり扱いやすい。というか、コーナリング中のロールのことをほぼ意識させないだけのしつけがこのクルマはできている。うーんフォード。旋回時の舵のきり始め、動かし始めの瞬間にホンのわずかパキッと感があったような気はするけれど、それはホント、細かい話。書かなくてもいいような(笑)。

 腰高なクルマだからこその配慮

 細かいことをいうと、直進中のロール関係。コーナリングをやってるわけでもないのになぜか姿勢が傾く(そして乗員のアタマがフラッとかカクッとかなる)クルマがよくあるけれど、クーガの場合、その心配はナシ。重心位置や乗員のアタマの位置が高いところにあるクルマだからなおのこと、そのへんはちゃんと……な方向で配慮がちゃんとしてあるっぽい。また、それの延長でというか、フォーカスや「フィエスタ」と比べると、クルマが喜々として曲がる感じを少し抑えてあるっぽい。ま、セオリーどおり、ですかね。

 あとそう、クーガ、ヨンクである。タイプ的にはトルクスプリット、つまりフロント2輪が主駆動輪で、リア2輪が従駆動輪……のはずだけど、ヨンク状況お知らせディスプレイ(あるんです、そんなのが)をウオッチしていると、ブレーキペダルからアクセルペダルへスッと踏み替えてアクセルペダルを踏み込みながら発進する場合はFRになっている。なっているというか、そのようにグラフィックが。でそのままフツーに加速していくと、おっとり刀でフロントの駆動も増えていって、またリアの駆動が減っていって、30km/hあたりでFF状態に。ならばと今度は、ブレーキペダルから足を離しただけで発進。いわゆるクリープ走行。と、おー。FFですねえ。

 ひとつおもしろいのは、駆動系のなかや4つのタイヤの接地面でやりとりされているチカラの実際の状況はともかく、体感するGの感じがそのディスプレイのとおりっぽいこと。トルクスプリットのクラッチ(おそらくは油圧作動の湿式多板)の締結圧を制御するソレノイドかナンかへ流してるアンペア値をそのまんまグラフ化したらこうはならないはずで、じゃあほかにどんなパラメーターや演出(?)を見たり加えたり(?)しているのでしょう。

 ついでに書くと、瞬間燃費。アイドリング中の表示が“--”とかになるクルマがほとんどななか、クーガの場合は違っていた。走行中のkm/LからL/hつまり1時間あたり何リッターかに単位が切り替わって表示を続ける。エアコンONだと、最少で1.0L/hとか。「おー、おもしろい」というのが半分と、あと半分は、「そうかタイタニアム、スタート&ストップ機構はついてないのか」。はっはっは。

 オーディオの出来栄えは隠れた美点

 そういえばクーガ、GPSナビもついてない……と思ったら、違った。あった。ダッシュ中央部上メあたりにある“SOUND”のボタンを長押しすると(この操作はbyトリセツというかそんな感じで)出現。単位ならぬ画面が切り替わる。フォード標準のインフォテインメントシステムのなかに日本仕様のGPSナビを潜り込ませてあるカタチ。

 それよりも、要注目はオーディオ関係。電話機能ナシの「iPhone4」をコネクトしてiTunes内の音源データを再生させてみたところ、これがなかなか。筆者の場合、オーディオ関係の評価方面のことはクルマ関係の評価方面のことよりもさらにシロートなのでアレですが、イイ音。クルマの乗った感じとよく似た、というかミゴトに同じ系統の、聴き疲れのしない音。ちなみに、ウロ覚えですが、このオーディオ関係、開発というかチューニングというかは日本のブランチでやっているという話を聞いたような……。フォードの日本仕様とくると自動車評論家やモータージャーナリストはすぐ「カーナビがー!!」とかいうのが半ばお約束だったけど、それよりも素でついているオーディオの音のよさに注目して紹介してあげたほうがヨカッタのではないか。いい仕事、してあるっぽいですよ。これは以前から。

 気になる燃費、その後。河口湖のほとりでリセットしたトリップコンピューターの2だかBだか(ケータイの写真をみたら2でした)はそのまま、中央道上り藤野PAを出発。そのすぐ先の相模湖インターで降りて、山越え(?)して、さらに相模川沿いに下って、アッチいってコッチいって16号。保土ヶ谷バイパス。横浜新道。第三京浜……の出口の赤信号ストップの時点で確認したところ、153.4km区間の平均燃費が12.9km/リッター。同じく、平均速度は48km/h。どうですか、お客さん。

 フォード・クーガ、運転しやすく乗って快適なクルマでした。このタイミングでこういう仕事の依頼がくるということは、少なくともクーガならまだ売りモノはそれなりの数があるということで。はい。


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (とうちゃん)
2017-06-19 11:17:01
この森さんの文章もステキです。
フォードの魅力が十二分に伝わって来ます。斎藤さんといい、森さんといいこんな文章を読むとフォードに乗りたくなりますよね。
先代のフィエスタを個人売買で購入しました。大切に使われた車体でとてもよいコンディションでした。
油圧パワステの張りのあるハンドリング、コントローラブルなブレーキと、お気にいりの一台になりそうです。
 引き取ったその足で、FMOでよく出てくる車屋さんに持ち込みました。どんな仕上がりになるか楽しみです。
返信する
祝納車 (とみぞう)
2017-06-19 12:37:34
とうちゃんさん、いつもコメントありがとうございます。

そしてフィエスタ納車、おめでとうございます!

その後、某車屋さんに持ち込んだとのこと。どのようなお願いをされたのか、ともかく目指したイメージになるといいですね。そういう楽しみに最近とんと縁がない私なので、うらやましいです。
(´ー`)

そうそう、やっぱパワステは油がよいなー、と自分も思います。以前、代車の先先代のフォーカスに乗った時の記憶は鮮明におぼえてます。私の愛車、現行フィエスタは電パなので、油圧にはさすがにかないません。

ブレーキの件もそうですが、フォード車っていい意味でクセがすごく少ないのは、人様に説明しにくいけど最高の美点ですよね。

買われたフィエスタ、どうか長く乗ってあげてくださいませ。また、気が向きましたらコメントお寄せください(・ω・)ノ
返信する
Unknown (とうちゃん)
2017-09-02 11:51:55
先代フィエスタは、14インチ化、ブレーキホース交換を実施いたしました。
相模原から関西まで自走で戻りましたが、疲れないんです!自分ひとりでこんな長距離走れたのは初めてです。
長く付き合える一台になりそうです。
返信する
Unknown (とみぞう)
2017-09-02 20:36:16
>とうちゃんさん
いつもコメントありがとうございます。

相模原から関西まで走られたということは、結構な距離ですねぇ。

フォード好きがますます広がっていって嬉しいです。新車で買えないのは残念ですけど・・・

気が向きましたら、またコメントいただけると嬉しいです(^o^)
返信する