新型プリウスが絶好調のようです。販売初日の集計で6万台、販売初月で10万台だそうです。
(ソース)
「新型プリウス」何が変わったのか? トヨタのクルマづくりの転換点(池田直渡・モータージャーナル)
昨年末、トヨタディーラーで新型プリウスを試乗しましたが、せいぜい15分程度。それでもかなりいい感触だったので、これは是非長時間運転してみたいと思い立ちました。とはいえ、発売したばかりでレンタカーはまだ先だろうと思ってたところ、なんと昨年末にはトヨタレンタカーに納車されているとのこと。これはもう借りるしかない。6時間借りれば最低でも4時間は乗れるだろう、と。
週末に思いついて、借りたい30分前に電話したら空車有りとのこと。口頭で予約し、急いでトヨタレンタカーに出向き、受付を済ませ目の前に現れたのは、まだ500kmくらいしか乗られてない真新しい個体。ハンドルのスポークに白の加色、布シートの内装を見た感じだと、グレードは恐らく「A」の4WDでしょう。195/65/R15のBS製スタッドレスタイヤが装着されていました。確認したわけではありませんが、北海道の新型プリウスのレンタカーは恐らく全て4WDになっているはずです。
★今回レンタルしたクルマ(多分)
トヨタプリウス【 A(4WD) 】
全長×全幅×全高=4540mm×1760mm×1475mm
ホイールベース=2700mm
車両重量=1440kg
駆動方式=4WD
エンジン=1.8L直列4気筒DOHCアトキンソンサイクル
最高出力=72kW(98ps)/5200rpm
最大トルク=142Nm(14.5kg-m)/3600rpm
トランスミッション=電気式CVT
モーター最高出力=53kW(72ps) フロントモーター
モーター最大トルク=163Nm(16.6kg-m) フロントモーター
モーター最高出力=5.3kW(7.2ps) リヤモーター
モーター最大トルク=55Nm(5.6kg-m) リヤモーター
電池=リチウムイオン電池
サスペンション=前:マクファーソンストラット式
後:ダブルウィッシュボーン式
タイヤサイズ=195/65R15
JC08モード燃費=37.2km/L
使用燃料=レギュラーガソリン
車両本体価格=2,990,323円(北海道地区税込み)
(見た目)
個人的にはあまり好きではないですが、プリウスであればカッコがどうであれ指名買いでしょう。ここでは多くを語ることはしません。
(室内空間)
トヨタとスバルは、どういうわけか運転席に座ってハンドル位置を調整すると、どうやっても膝にものすごく近い位置にしかセットできません。新型プリウスも一緒でした。ホンダとマツダはそうじゃないのになぁと思いましたが、結局運転してる間になれてしまいました。輸入車全般もプリウスのようなハンドル位置になっていないものがほとんどです。
シートの造りとペダルの配置や角度、フットレストの位置と角度、いずれもマツダの車ほど煮詰められた感触はないものの、大声で非難するほどでもなかったです。運転席から空調とオーディオなど、手を伸ばして操作するところにも、特に気になることはありませんでした。
後席は178cm少々の自分だと頭の周りは余裕がないです。長時間過ごしたらどうなるのか、試してないのでなんとも言えません。また、膝の裏が少し浮く感覚があったことも付け加えておきます。
内装の質感は300万円クラスのクルマとしてはちょっと物足りないですが、ハイブリッドシステムにコストが優先されていると思えばいい、、、というのはプリウス大好きな人にはいいんでしょうが、個人的にはそれは納得できませんねえ。
(今回走ったところや走行距離)
最高気温は氷点下の真冬日。天候ですが、晴れた時間はほとんど無く、曇り時々雪。場所によっては猛吹雪。路面状況は圧雪またはアイスバーン。とてもじゃないですがコーナーを攻めるような走りはムリでした。全部で208kmを走行しておおざっぱな内訳は、高速道路30km、流れの良い市街地100km、郊外の一般道78km、です。
(市街地と郊外の一般道)
ゼロ発進、走行時からの途中加速、一定の速度維持、減速。「思った以上の加速をしていないか」「思った以上の減速をしていないか」「狙った速度を維持してくれるか」については、プリウスなのにそこそこできる(笑)。脳と直結しているかのような気持ちよさは無いですけど、旧型は全くダメでしたから、あくまでもそれとの比較です。一時停止の交差点で停止するときに狙った減速Gで且つ狙った位置に停止しようとするとき、また停止してから少しずつクルマの頭を出していくときは、なかなか思った通りの動きをしにくいと感じる場面がありました。
北海道の冬道はガタガタあり、つるつるありで、路面が見えるのは高速道路くらいです。路面が出ていても公道ですから結構でこぼこしているのですが、安っぽい振動やボディ剛性不足によるボディのねじれはあまり感じず、旧プリウス比でかなり向上。そして、まぁまぁタイヤが路面をつかんでいるように感じます。旧型はこれらがすべてダメでしたので、かなり良くなった(ドイツ車なら普通のレベルですけど)と思います。
ちょっと気になった点。補修された路面、雪がランダムに固まってでこぼこな路面走ったとき、新型プリウスは尖ったザラビリ感を乗員に伝えてきます。これは結構気になるかも。この辺がとても良いのはイヴォーク以外のランドローバー車です。
それとオーディオ。スピードを上げていくと、どういうわけか音が小さく感じる。速度を落とすと音量が復活する。かといって、タイヤノイズが盛大になってスピーカーからの音が消されている雰囲気ではないんですが、これってどういうことでしょう?クルマのあちこちに張り巡らされている吸音材の仕業なのか、、、ここはうまく説明できません。森慶太さんがよく「トヨタお化け」と表現する、耳がつーんとなるようなあれなのかとも思ったのですが、市街地を流していても頭がぼーっとなる不快なものは無かったはずです。
自動車の人生はほぼ直進が大半。まっすぐ走るのも大変だった旧型と比べ、大きく改善されていました。いやだなとか疲れるなと感じたことはありませんでした。
今回、路面がつるつるだったのでカーブを攻めるような場面はほぼ無かったのですが、ほんの数回だけチャンスがありました。記憶をたどると、車体のロールが少なめの弱アンダーステア(要するに安定志向)といっていい万人向けのセッティングでした。欧州フォードのように自転軸がクルマの中心で後輪駆動のようなものではなく、自転軸は車の中心の後輪寄りのところです。また、旧型だと旋回中の姿勢の維持にえらく気を遣う、曲がっている最中も常に修正しなくてはいけない上にステアフィールが皆無というおっかないコーナリングではなかった。これも大きな進歩でしょう。直進、切り始め及び旋回中にかかわらずステアフィールはまずまずで、褒めるほどでも無いけど非難するほどでも無い。まぁいいんじゃないでしょうか。
旧型は走り出した瞬間の鉄板「薄薄」攻撃でゲンナリしたり、走る曲がる止まるすべてにおいて思った通りに行かなく、10分でクルマを降りたくなるようなことはなくなりました。これは高速道路も楽しみになってきますね。
(4WDについて)
今回のレンタカーは4WDでしたが、プロペラシャフトがないタイプです。画面でトルク配分がどのように行われているか見ましたが、発進のときや追い越しでアクセルを踏み込んだときだけ後輪にトルクが行くように見えました。スバルやマツダのように積極的に後ろを回す感じではないようです。したがってこのクルマは基本的に前輪駆動であると思った方がいいでしょう。減速時の回生は後輪も関与しているのかどうかもわかりませんでしたが、もし関与しているのであれば4輪でエンジンブレーキ(のようなもの)が効くということになりますね。
(高速道路)
30キロほど走りました。速度管理、進路管理、いずれも気になることはそんなになく、いらいらせずに走りきることができました。速度もそこそこ出ます。高速道路上での瞬間燃費も確認すれば良かったなぁ・・・
(全体的な印象)
208kmを走り終えて、燃費は22.8km/Lでした。走行内訳は、市街地00km、高速00km・・・・・・。6時間借りて、うち運転していた時間は都合4時間くらいでしょうか。クルマを返却したあと、体のどこかに痛みが残ったり疲労感がひどかったりしたか思い出せなかった。これは良いですね。
発進時及び途中からの加速は終始モワーッとしてますが、いらいらいするほどではない。かといって、自分で運転している実感は薄く、どこか他人事でゲーセンのドラゲーをプレイしている感じです。でも、旧型比ではありますが運転手の指示に応えようとしているのがわかるのでイライラしないんだと思います。そしてあの格好とドアを閉めたときの「バスン」という音。重量の割に燃費がいい。そりゃ1ヶ月で10万台の受注が来ますよね。ただ、イライラしないけどバーチャルな感じがぬぐいきれなにのがどうにも引っかかりますが・・・
個人的にはプリウスほどのサイズは必要なく、ビッツ程度の大きさがあれば十分ですが、この大きさと形がいいのであれば、そして300万円近くの価格なら他の選択肢がたくさんあるにもかかわらずこれを選ぶということであれば、羽交い締めにして止めることはしません。
もし私が似たような価格帯を選ぶなら、マツダアクセラ、フォードフォーカス、VWゴルフも視野に入れますけど、プリウスを買う人は他社を見ることはまずないと思われます。ということは、膨大な台数のプリウスを売るトヨタの責任は重大なわけです。旧型ではコストの抜きすぎが目に余り、しかもクルマは思い通りに動かない。しかも「買った客はそんなことわかりゃしねぇよ」とでも言いたげな。つまり、プリウスというクルマは燃費以外はクソグルマといっていいと思ってましたが、今回のはハイブリッド以外のクルマと並べても十分選択肢となりうる商品になったと思います。