織田裕二主演ですからね、観ないわけにはいきませんっ!
織田裕二が俳優として優れている点は脚本を読む力があり、その作品と自分がマッチングするかの判断が巧いところだと思っています。実際、織田裕二の主演作品のヒット率はかなり高いし(映画もドラマも)、観賞後「ハズれた・・」という感想を持った作品は少ない。今回の椿三十郎の脚本は黒澤版をそのまま使用し、脚本を読んだ織田自身が「おもしろいっ!」と乗り気になったと言うんだから期待は高まるっつうわけです。
でも期待が高すぎたのかも・・・・。普通でした。つまんなくないけど「もう1回観たい!」って思うほどの作品ではなかったかな。観賞後「こんな時代劇初めて見た!」っていうくらいの感想が持てるかなぁって思ってたんだけど、やっぱり黒澤版の方がはるかにカッコいいし、「世界のクロサワ」作品をリメイクするっていう方が無理というか無謀なのでは・・・。
「これぞ!時代劇!」という作りではないので血しぶきは一切ナシ。織田裕二が爽やか過ぎて、椿三十郎は浪人に見えず、若殿が仮の姿で世直し行脚中にしか見えん。タイトルロールは重厚な雰囲気を出していながら、話が進む中で織田裕二ブレンドの森田芳光エッセンスが入ってくるのが煩わしく(どうも私は森田監督のセンスと合わないらしい)、エンドロールでは「ららら♪らぶ♪さんばでぃ♪とぅな~い♪」と、流れてくるんじゃないかとドキドキするほど、良くも悪くも織田裕二な映画でした。
時代劇風大衆娯楽作品として観るなら文句ナシの映画。話はわかりやすいし(脚本がいいからねぇ)、織田裕二もカッコいいし、他の出演者もイイ演技してます。織田裕二は「多くの人が観れるエンターテイメント作品」にこだわってるらしく、自己中心的で堅苦しい映画論を述べられるよりも潔い考え方で賛同できます。・・・が、結果として興行が成功した作品と最初からヒットを狙っている作品って何かが違うんだよね。