ni-tomoの日記

日々のモチベーションの源をダラダラとつづってます

『崖の上のポニョ』

2008-11-02 15:01:04 | 映画の日

今更ながら観てきました、『崖の上のポニョ』。田舎のシネコンですら、まだ上映しているという事実がスゴいっ。

ストーリーと絵は子供向け、コンセプトと描写は大人向けの印象。ストーリーのベースは『人魚姫』。海で漂流してたところを助けてもっらた金魚が、自分を助けた少年に会うために人間になりたいと願う話。「金魚が人間になる」という自然界に逆らう行為のせいで、世界のバランスが崩れそうになるんだけど、少年が金魚のありのままを受け入れることができるなら金魚は本当の人間になれる、とファンタジー色の強いストーリー。

「人魚姫」は泡になっちゃったけど、ポニョが人間になれたのは当事者の年齢や設定の違いかな、と思ったわけです。大人になれば様々な誘惑や私利私欲、世間の目も気になるし、

「金魚のポニョも好き。半漁人のポニョも好き。人間のポニョも好き。」

なんて言えないって。5歳の無垢な男の子だから言えることよ。この言葉がポニョを人間にする魔法の言葉なんだけど、「一生ポニョから逃れられない呪の言葉でもあるんじゃない?!これってホラーだろ・・・」とすっかり汚れた大人になってしまったKINGは怯えてしまいました。

でもポニョは男女間の恋愛じゃなく、あくまで家族愛がテーマ。主人公ソウスケの家族はお互いを名前で呼び合うし、ポニョは母親が海で父親が元人間っていう設定。映画の中でこの設定に関して全く説明が無く「訳わからん・・・」と思うけど、色々な家族の在り方があって、それは血のつながりとかではなくお互いを信頼し大切に思えるかっていうのが基盤。そう考えるとソウスケとソウスケの母は家族としてポニョを受け入れ、ポニョの両親は娘の幸せのために娘を手放したんだよねぇ・・・・と、これでストーリーが成立するわ。

ソウスケには魚の大群に見えるものが、母親には荒れ狂った波にしか見えないとか、非日常的なことを受け入れられるのは子供と老人だったりと、ジブリテイストは顕在。ポニョがソウスケやソウスケの母にしてもらって嬉しかったことを、自分より弱い立場の赤ちゃんにやってあげようとする姿は宮崎監督らしいな・・・と思いました。

作品の質もテーマの伝え方もさすがジブリ。でも悲しいかな・・・独身OLの私の感想は「感動」の域まで達しませんでした。自分に子供がいたり、自分が社会に出ていない頃だったら感想は違ったかもしれないけど。『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』がジブリ作品の絶対的双璧である私にとって、ジブリの新作はこの2作品と比べてどうだったかという判断をするのだけど、今回のポニョは比較できない・・・・・なんかねぇ『番外編』って感じなの。

宮崎作品はタイトルに『の』が付くというのは有名な話だけど、今回のタイトルはあまり好きじゃない。好きじゃないっていうかしっくりこない・・・あっ、オープニングじゃなくてエンディングにタイトルが出たらしっくりくるかも・・・やっぱり番外編だな。