『スウィーニー・トッド』②

東京公演楽日近くの『スウィーニー・トッド』を観賞。前回は武田真治さんのトビーをひたすらガン見して終わってしまったので、今回はストーリーはもちろん、舞台全体をしっかり見て作品の世界観に浸るぞ！！と意気込んで行ったけど無理でした・・・・。なぜなら席が最前列だったから。これで真治さんを見るな、という方が無理な話でしょう。市村さんは怖すぎて見れなかったんですけどね

「好き」と「嫌い」、「復讐」と「愛情」など、相対する感情は想いが強ければ強いほど想いの対象者以外の人をどんどん傷つけていってしまいます。周りを傷つけることができない人は、自分が壊れていくしかない。どちらにしても破滅への道なんだけど、根底には相手への狂おしい程の気持ちがあります。『スウィーニー・トッド』は一方通行の愛情や恋心、憎悪や嫉妬が交錯する哀しい話です。

スウィーニーの復讐に手を貸すミセス・ラヴェットは昔からスウィーニーを慕い、スウィーニーが出した死体の始末を請け負いながら、いつかはスウィーニーと一緒になれることを夢見てます。スウィーニーの妻を手に入れるためスウィーニーを無実ながら流刑の罪に処した判事は、スウィーニーと妻の娘を育て彼女を１人の女性として独占しようとします。少し頭が弱いトビーは自分に親切にしてくれるミセス・ラヴェットが穏やかな生活を送れるようにスウィーニーが悪の根源だと考えてるようです。そして、スウィーニーは妻と娘との日々を奪われた復讐を誓い、１５年間時が止まっているのです。

１幕は明るく楽しく復讐の計画を立て笑いの場面が多いです。私は真治さん演じるトビーが毛生え薬を売ってる時に歌う「ツ～ルツル～がフッサフサ～♪」が印象強く残ってます。この真治さんがカワイイんだ

２幕は復讐にかけるそれぞれの想いから復讐による悲劇が次々と出てきて暗く重い場面がクライマックスまで続きます。で、やっぱり２幕も真治さんですよ。ミセス・ラヴェットを心配して自分の想いを切々と歌い上げるシーンや、ラストのトビーが語るシーンが素晴らしく残酷さよりも哀しさが際立つ作品になっています。

１幕で毛生え薬売りとして登場した真治さんのメイクはあまりにスゴすぎて（真治さんの美しい顔の原形をとどめてないの）一瞬最前列の席を恨んだけれど、２幕では目の前までミートパイを売りに来てくれるし（残念ながら私は貰えなかったけど）歌は素敵だし、あんなに近くで真治さんを見れてヨカッタです。

次に舞台の真治さんに会えるのは１１月の『アマデウス』。破天荒で破滅的な天才モーツアルトを演じます。真治さんにピッタリですね。楽しみ