田園酔狂曲

二人三脚の想い出と共に!!

戦 友

2008-11-04 20:41:19 | ヒゲの毒舌
ろくすっぽ箸も持てない障害者  に、デカ・ワゴン車の運転なんぞ、
出来る筈ないと、客もスタッフ皆んなも、間違いなく思っていた。

退院半年後、やっと、板前の運転で、仕入れについて行けるようになった。
それから何年か過ぎたある日、障害ヒゲは板前に、こう言った。
    「 今日は、ここの第二駐車場に止めてくれ。 かぎも置いといて。 」
いつもは、誰も来ない第二駐車場で、二人 ( ヒゲと車 ) きりになった。

SF古代ファンタジーのイメージで・・・運転席を、あちこち触りながら・・・
ヒ ゲ 「 オイ! 私を覚えているかい? 」
戦友 「 ハイ、御主人様! 」
ヒ ゲ 「 君を操縦してみたいのだが、付き合ってくれるか? 」
戦友 「 イエス・サァー! 」

キィーを差込み、エンジンを起こす。 何年ぶりか。
次は、サイド・ブレーキだな。 アッ! 動かない ( 動かせない )。
左手は麻痺しているから、握力が足りないのだ。
そうか、両手ですればいいのか。   ギアを入れる。

ヒ ゲ 「 さぁ、ゆっくり動いてみてくれ。 」 懐かしい、心ときめく移動感。
ヒ ゲ 「 今日は、主に駐車の練習をしよう。 」  
         入れたり、出したり。  人が見えると、恥かしくて車を止める。
ヒ ゲ 「 やはり、眼が弱っているな。 今度はメガネ  を用意してからネ。 」

それから、又の半年程たったある日、迎えに来た板前に
ヒ ゲ 「 今日は、俺が運転するよ! 」
板前 「 エーッツ? ウソでしょう?! 」
しっかりとした足(?)取りで、公道に初めて踏み込んでいったのです。

20年近く、ヒゲと共に仕事してくれたワゴン戦車とも、先日お別れしました。
そして、新しい 『 相棒  』 が、やって来た。
しかし、まだまだ馴染むまで、時間が掛かりそうだ。
コメント
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