カーリングの大会は大概がチーム参加で、個人参加の大会でも大会中は個人参加同士が最後まで同じチームで通しで競技することが多いのですが、今回の「全日本個人参加カーリングオープン」は試合ごとにメンバーを代えていくという珍しい形式で行われます。
福島県カーリング協会が主催ですが開催場所は新潟、福島のスケートリンクが夏季クローズしているのでこうなったようですが、私にとっては初めての新潟のリンクです。
久し振りの上越新幹線で新潟へ・・・、途中の高崎までは軽井沢へ行くのと一緒のルートで車両も同じなのに、なぜかわくわく感いっぱいで、高崎までの見慣れた車窓風景もいつもと違った景色に見え、国境の長いトンネルを越えた越後湯沢を過ぎる辺りはスキー場の麓のホテルや湯沢高原へのロープウェイを懐かしく眺めていました。カーリングを始める前はスノボ・スキーに夏の海と、よく行っていた新潟県ですが、忘れるくらい久しぶりの滞在です。
新潟駅に降り立つと、プラットホームの雰囲気は以前と変わりません。エスカレーターも以前と同じです。ところが、エスカレーターを降りるとコンコースが記憶にあったそれと全く違っていました。かなり狭く、待ち合わせスポットとして飾られていた佐渡金山の金の原石も見当たりません。ホテルのある万代口は新幹線の改札を出て在来線の跨線橋を渡り切った先にあったのですが、地上にあったはずの在来線が新幹線の下の2階に移って、広々とした跡地は工事中でした。前に新潟駅を利用したのが15年近く前とはいえ、すっかり別の駅のようになってしまったことに戸惑いました。駅の下にはちょっとセピアがかった以前の新潟駅の大きな写真があって、フラッシュを光らして撮ると新しい新潟駅が撮れました。
工事中の敷地中央付近に設けられた仮設通路を通ると雁木を思わせる古いアーケードの商店街があって、新しい新潟と古い新潟の接点のようでした。海の方に向かって大きな通りに出たら右へ曲がって直進すると宿泊するドーミーイン新潟に到着しました。中庭を囲む通路に部屋の扉が配されている集合住宅を思わせる造りで、パリで止まった長期滞在向けホテルを思わせます。部屋にもコンロこそないものの小さいながら流し台が置かれていました。
すでに夕餉時なので、荷物を置いて市街地へ・・・。新潟市に来たことはあっても、佐渡の帰りだったり、粟島への行き掛けだったりで、街を歩いたことはあっても民謡流しと花火のときに人の流れに任せて歩いたので、どう歩いたら飲食店のあるエリアに行けるのかわからず取り敢えず万代橋方向に向かっていたら、なんとなくバスターミナルとそれを囲むように並ぶブランド街が見えてきました。新潟と言えば魚介類ということで、お寿司屋さんに入って明日への力を蓄えました。かなり食べたのにお値段の安さにびっくり!
翌朝、車で向かうメンバーに乗せてもらって会場の「三菱ガス化学アイスアリーナ」へ向かいました。サッカースタジアムのビッグスワンや市民病院が近くにあるものの広々としたエリアの一角にあるアリーナでした。
入口を入ると、まず、カーリングハウスが描かれたサブリンクが目の前に広がりました。スケートリンクを使ったカーリング施設で、これほどクォリティーが高い施設は初めてです。参加者は事前に知らされていましたが、面識がある方は3分の1程度、中には久し振りに会う人もいて同窓会のような雰囲気も漂っていました。
受付をすると、ナンバーが着いた赤と緑のビブを渡されました。試合毎にチームが変わるので、自分の出番になったらストーンの色に合わせたビブを付けて試合に参加するという要領になっています。3エンド6試合で勝敗とソルコフ指数(対戦相手の勝率が高いほど上位になる)で決められます。3エンドは試合の長さとしてはこれまで参加した大会で最短ですが、6試合は最多です。トータルのエンド数18エンドは1日開催の大会としては普通ですが、3エンドは氷の状態やメンバーの調子がわかってきたころには試合終了というシビアさを持った大会です。
最初の試合は前回の覇者の方と秋田の学生さん、長野の若手選手とのチームでした。長野の若手さんが自らスキップを買って出てくれただけあって、試合は順調に進んで新潟デビュー初戦を白星で飾ることができました。
休憩をはさんで3コマ目は、見知ったメンバーが3名!つまり経験が長い人が3人。これで勝てないと恥ずかしいという妙なプレッシャーがかかりましたが、順当にというか大人げなく勝利しました。
4コマ目は最初の試合で一緒だった前回の覇者の方と再び組んで快勝、目標の3勝を達成しましたが、随時更新される順位表を見ると経験がものをいうのか知り合いで3連勝している方が多いので、引き締めなあかんと気合を入れ直します。
昼食は休憩室でお弁当なのですが、個人戦なのでチームでまとまって食べるというよりも、なんとなく知り合い同士が集まって食べました。
次の試合のメンバーは私以外が初心者といいます。今までの快進撃はメンバーに恵まれ過ぎていたのか、とにかくやるしかありません。初心者が苦手そうなショットを避けるようにしたら、なんとかなってくれて勝つことができました。
ここまでくると、連勝がプレッシャーになってきます。私もですが、一緒にチームを組む人からも「私のせいで負けたらごめんなさい」と言われる状況。それでも、点を取ると落ち着くもので、自分でも信じられない無敗の5勝目を挙げました。
最終戦は、ちょっと不思議な雰囲気でした。大概の場合、プレッシャーの掛かるサードやフォースをやりたがらないのですが、この試合だけは進んでフォースやサードに名乗り出てきました。早い話、疲れてきてスィープをしないですむポジションを望む傾向が現れたのです。その最終戦も順調に得点し、終わってみれば6戦全勝していました。
で、結果は6戦全勝でソルコフ指数の関係で準優勝!初めてのリンクでは出来過ぎな結果でした。最終結果を見ると知り合いで経験が長い方々が上位に名を連ねておりました。これまでカーリング歴を聞かれると「経験年数は長いのですが・・・」と言い訳っぽく答えていましたが、決して無意味に年数を重ねたのではないことを少し認識しました。
福島県協会のみなさま、参加の皆様、ありがとうございました。