新笠通信 奄美電信版

 Copyright (C) 2010 shinkasatsushin All Rights Reserved.

不完全なタイムマシーン

2007-12-03 03:24:20 | Diaries
3日に日づけが変わった頃
何度も何度も数週間先にタイムスリップしてしまいました

凹村家の親子3人と私
凹村家の子供は中学生の時の同窓
心臓病におかされていました
私は数週間先の体の状態を探りにポケットベル型のタイムマシーンを使って移動します
履歴発信することで瞬間に移動するのです
履歴一覧を表示させて
4桁の数字の列を選択して
発進ボタンを押しました

するとどうでしょう
数週間先に瞬間移動してしまったのです
一応移動先で新聞に表示されている日づけを確認したので間違いはないと思います

病状のほうはどうだったのでしょうか
快方に向かっている場合もありました
もうすでに手遅れであった場合もありました

もっとも具合がよくなっている状態に出くわすために
現在と未来を何度も行き来してしまいました

何度も行き来しているうちに
タイムスリップ前後の風景が微妙に異なってきていることに気づきました

時空移動を重ねるたんびに
私を中心に流れている固体固有の時間軸に
いくばくかのずれが生じはじめました

未来から帰ったときにきっちりと瞬間移動した時刻に戻ってきてはいないのでしょうか

これではいけません

最初に瞬間移動した直後に
もともと流れていた時間軸からは私は消滅してしまいます

タイムスリップをした回数だけ
私の人生にじゃっかんの変化が生じています

絶対動かしがたい事実もかわってきてしまうかもしれません

固定されているはずだったつきあっている相手が変わってしまっていると衝撃は大きいものがあります

現状では一回のタイムスリップが移動した人の人生に大きな影響を与えてしまいます

たったの一回がもとの時間軸に帰ってくることを不可能にしてしまいます

はじめてのタイムスリップをした瞬間に本来の世界の時間軸からは消えてなくなってしまいます

それでも移動者が継続して存在していたということは

移動者はタイムスリップした直後に誕生したということになります

時空移動を重ねるということはどこからともなく突如として現れることを繰り返すのです

本来の時間軸からは消滅してしまっているけれども

移動者は異なる時間軸の世界で生き続けるのです

本来の時間軸から消滅した直後にひとりあるきを始めているのです

本来の世界から見れば
消滅してしまった人が
異なる時空界を
宇宙空間に廃棄された人工衛星の残骸みたいに
さまよっている
ように見えるかもしれません

移動した直後に
運命が変わるような性質があるものとわかっていれば
移動するかしないかの選択をしなければなりません

てんびんにかけて予想できるようなものではありません

移動した直後にあなたはもとの時間軸にはもう戻れないのです