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巨大津波から命を守る シェルターや「箱舟」開発へ 沿岸部の“逃げ場”に

2012年08月25日 15時17分08秒 | 建築・土木

巨大津波から命を守る シェルターや「箱舟」開発へ 沿岸部の“逃げ場”に


産経新聞 8月20日(月)11時51分配信

やっぱり、同じことを考えていた人がいた。



 南海トラフ(浅い海溝)の地震による巨大津波に備えるため、避難用の地下シェルターや「箱舟」の開発が行政主導で進んでいる。東日本大震災の教訓を踏まえ、逃げ場がない沿岸部でも命を守る“究極の手段”だ。技術的には実現可能というが、利用者の不安感など運用上の課題も残っている。(長内洋介)

 東海・東南海・南海地震の震源域が連なる南海トラフの津波について内閣府は3月、高知県で最大約34メートルとの想定を公表した。10階建てのビルに匹敵する巨大さだ。

 最短で数分後に津波が押し寄せるため、遠くへ逃げるひまはない。近くに高層の避難タワーを建てても、高齢者はすぐに上れない。上が無理なら、下へ逃げるしかない-。この発想で高知県が打ち出したのが津波シェルターだ。

 基本設計によると、シェルターは耐水性と耐震性を備えた鉄筋コンクリート製で、平地用と崖地用の2タイプ。いずれも1棟当たり100人が24時間滞在する。

 ■海底トンネルを応用

 平地用は地下に箱形の部屋をつくる。床面積は約330平方メートルで、二重の扉で浸水を防ぐ。屋根は津波の圧力や衝撃に強いドーム形で地上に出ており、水が引いたら天井の扉から外へ脱出する。

 内部は密閉構造のため圧縮空気のボンベが必要で、電源は排気が出ない蓄電池を使う。食料やトイレ、地上と交信できる通信機も備える。

 崖地用は、崖に横穴を掘るトンネル式で長さは約90メートル。奥に縦穴があり、元気な人は階段を上って崖の上に避難できる。空気や電気は縦穴から取り込む。

 開発には土木を中心に既存技術を結集する。平地用の地下室は海底トンネルに使う箱形の構造物を応用する。防水扉や電源確保などの安全対策は地下鉄や原子力発電所のノウハウを参考にするという。

 高知県の技術検討委員会で特別委員を務める岡村甫(はじめ)・高知工科大理事長(土木工学)は「技術的な課題はない。初めての施設なので実証試験は不可欠だが、構造的には開発可能だ」と話す。高知県は来月に概略設計をまとめ、実証試験の適地選定に入る。建設費は1棟で数億円の見込みだ。

 ■浮かんで逃げる

 国土交通省四国運輸局は、水面に浮かんで生き延びる「救命艇」の開発を目指している。繊維強化プラスチック製のカプセル構造で、いわば「ノアの箱舟」の現代版だ。

 自力で避難できない高齢者や病人、幼児を救うため、介護施設・病院、幼稚園の敷地や屋上に配置。大震災で多くの防災関係者が逃げ遅れて犠牲になったことを受け、沿岸の防災施設付近にも置く。

 25人乗りで、津波が来ると自然に浮き上がり、漂いながら水位が下がるのを待つ。転覆・沈没しない設計で、秒速10メートルでがれきなどが衝突しても壊れない強度を目指す。引き波にさらわれ沖合を漂流する恐れもあるため、7日分の水と食料、捜索隊に位置を知らせる通信機を載せる。

 大型船舶が装備している海難用の救命艇を改良して開発する。今年度中に民間と協力して試作し、強度試験や試乗を目指す。建造費は1艇600万円程度を見込んでいる。

 ■扉をいつ閉めるか

 課題は運用面にある。例えばシェルターの扉は、揺れを感知すると自動的に開く仕組みだが、誰がいつ閉めるのか。津波襲来の直前に駆け込もうとする人に対し、リスク覚悟で開けておくか、シャットアウトすべきかは難しい。

 高知県の堀田幸雄南海地震対策課長は「扉を閉める際の基準を考えたい。密閉空間で長時間を過ごす不安感やパニックなど、心理的な影響も検討が必要だ」と話す。

 四国運輸局の高原満弘海技試験官は「住民が使いたくないと感じた瞬間に、ただのガラクタになってしまう。安全性を信用してもらえるかが大きな課題」と強調する。

 いざというとき有効に活用するためには、避難訓練の積み重ねや設備の維持管理が重要になる。「最後のとりで」として地域に定着するには、息の長い取り組みが求められそうだ。