給食費払わぬ親たち お金あっても「頼んだ覚えない」
家計にゆとりがあるのに給食費を払わない保護者が増えている。あまりの悪質ぶりに、法的措置を取る自治体が相次ぐ。未納分を学校側が立て替えた
り、給食の質や量を下げて対応している事実は、教育界では“公然の秘密”。生活保護に上積みされた給食費を別の出費に流用する保護者もいるほどで、きちん
と払っている保護者や教職員たちから非難の声が上がっている。(池田証志)
「高級外車を乗り回し、携帯電話に何万円も払っているのに、給
食費は払わない保護者がいる」。文部科学省にはこんな報告が相次いで寄せられている。外車に乗るような世帯だけではない。国や自治体は所得により生活保護
に給食費分を上乗せして支給しているが、それでも給食費を滞納する保護者も多いという。
小学校(低学年)で月3900円、中学校で月
4500円の給食費(文科省発表の全国平均)。宇都宮市は9月12日、給食費を滞納している保護者38人に、支払い督促を宇都宮簡裁に申し立てた。4月に
は仙台市が、翌5月には北海道根室市が同様の措置を取っている。支払いに応じなければ、裁判所による差し押さえの処分が下ることになる。
宇都宮市の調べでは、5月1日時点で、702人分の給食費が3カ月以上未納で滞納総額は3290万円。中学校21校中20校、小学校59校のうち40校で未納者がいた。未納者がいない学校の方が少なかった。
北海道芦別市では昨年3月、支払い能力がありながら支払う意思がない「特定滞納者」に行政サービスの一部停止や住所、氏名の公表などを認める条例を可決した。
佐賀県多久市では一昨年、給食費の納付を約束する保証人付きの「確約書」を全保護者に求めた(昨年度で廃止)。山梨県笛吹市でも「連絡なしに滞納した場合は給食停止」という同意書を保護者に提出させた。
広島県や東京都でも悪質な未納事案が横行。学校側の再三の説得にも支払いに応じず、教員がポケットマネーで負担した例は日常茶飯事。教師や校長、PTAの役員が給食費を立て替えたものの、子供たちが卒業した後に踏み倒されてしまった例が絶えない。
各自治体は、徴収員の配置やプリペイド方式の採用など“あの手この手”で踏み倒し防止に躍起だが、滞納する保護者の多くが「義務教育だから払いたくない」
の一点張り。なかには「給食を出せと頼んだ覚えはない!」「給食を止められるものなら止めてみろ!」などとすごむ保護者もいるという。
東京都内のある中学では、1人当たりの給食の予算は1日280円だったが、260円分に抑えざるを得なくなった。給食費の未納は、給食の質や量を低下させるという事態を招いている。
学校給食法は、子供たちに給食を提供するよう自治体に「努めなければならない」と努力義務を規定。そのための設備や調理員の人件費は自治体が負担するが、
食材費は保護者が負担するよう定めている。文科省学校健康教育課では「結局は保護者のモラルの問題。学校を通じて給食は自己負担であることへの理解を求め
るしかない」と話している。
都心回帰で教室不足…児童急増、校庭にプレハブ
東京・都心部の小学校が教室不足に直面している。
23区の児童数は2001年まで22年連続で減少し、その間に学校の統廃合が進められたが、近年の「都心回帰」で状況が一変した。
臨海部のマンションラッシュにより、今後5年間で児童数が4割以上も増える見込みの港区では、校庭にプレハブ校舎を建てたり、中学校の間借りを検討したり。荒川区では半世紀ぶりに小学校を新設する。都心部の地価高騰も進むなか、各区は教室確保に大わらわだ。
23区の公立小学校の児童数は、「団塊の世代」が小学生だった1958年の85万5869人がピークで、その後は少子化や地価高騰で減少し続けた。90年代からは小学校の統廃合が始まり、都心部では明治以来の伝統ある校名が次々と消えていった。
学習困難な子3%超/県内小中調査 - 沖縄タイムス
授業中に席を立つなど学習指導上、特別な配慮が必要な県内の児童・生徒の割合は小学校で3・1%、中学校で3・3%であることが五日、分かった。県教育
庁が二〇〇五年十二月、県内の全小中学生の約一割にあたる約一万三千人の児童・生徒を対象に調査した。県教育庁の仲宗根用英教育長が五日の県議会文教厚生
委員会で説明した。
特別な配慮が必要かどうか「授業中に落ち着きがない」「知的な遅れはないが、学習指導が困難」などを基準に調べた。
約3%の割合を県内全小中学生数に置き換えると、約四千八百人の児童生徒が学習指導上に問題がある計算になる。
県立学校教育課の大嶺和男課長は「今回の調査に専門家はかかわっておらず、統計の数字がそのまま軽度発達障害のある子どもの割合とはならない。次回の調査で精査していけば、もっと低い数字になるのではないか」と話している。
〇二年度に文部科学省が実施した軽度発達障害の割合の調査で、全国平均は約6%だった。
同庁は適切な支援体制構築に向けて、来年度以降、軽度発達障害のある児童・生徒数を把握するための本格的な調査をする予定。〇六年度中に医師や学識者らでつくる専門チームを発足させる。
公立学校調査:県内の暴力行為は42件、前年度比20件増 いじめは160件 /徳島
◇文科省の公立学校調査県内分、05年度
文部科学省は都道府県教委を通じて全国の公立学校を対象に調査した「生徒指導上の諸問題の現状」の結果を発表した。県内の小中学校、高校での暴力行為やいじめ、不登校などの件数が明らかになった。
暴力行為は97年度以降、ほぼ毎年50件台で推移。05年度は発生件数が小学校1件(前年度比1件減)、中学22件(同10件増)、高校19件(同11件増)の計42件(同20件増)だった。
児童生徒数1000人当たりの発生件数は0・5件で、全国では秋田、福島、長野各県の0・3件に次いで4番目に低い。全国平均は2・6件で、最高は高知県の8・7件だった。
県教委は「生徒間の暴力が最も多く、ささいな口論から暴力に至るような、衝動的、短絡的なケースが多い。相談体制などの対応を考えていきたい」としている。
いじめは98~03年は発生件数が200件を上回っていたが、05年度は小学校31件(同7件減)、中学123件(同9件増)、高校6件(同同)の計
160件(同1件増)。1000人当たりの発生件数は1・8件で、全国平均(1・5件)をやや上回った。県教委は「スクールカウンセラーの配置や、教員を
対象としたカウンセリング能力向上研修の成果が出始めた」としている。
不登校の調査は国公立高校が対象。病気やけが、経済的な理由など明確な理由もなく年間30日以上欠席した場合を指す。全日制307人(同48人減)、定
時制97人(同10人減)。出現率は全日制1・38%、定時制15・72%で、全体としては1・76%。県教委は「大学院生が不登校生徒の自宅を訪問する
ライフサポーターなどの相談体制をさらに充実させたい」としている。
また、県内の公立高校の中途退学は、全日制282人(同32人増)、定時制100人(同24人増)。理由は「高校生活に熱意がない」が84人で最も多かった。「人間関係がうまく保てない」が04年度の22人から44人に倍増した。
1年生の退学が半数を占め、県教委は「入学してすぐ学校になじめるよう、中学校との生徒の情報共有が課題」と話す。中途退学率は、全日制1・26%(同
0・17ポイント増)、定時制16・21%(同4・11ポイント増)。全体では1・67%で、全国平均は2・1%だった。【加藤明子】
10月4日朝刊
(毎日新聞) - 10月4日16時2分更新
教師への暴力/島根の子供たちが荒れる
島根県内の小中学校で教師が子供たちから暴力を受ける事例が増えている。ちょっと注意すると、暴言を浴びせながら教師に襲いかかる。複数で教師を取り囲み、暴力をちらつかせてどう喝する。一部とはいえ、そんな光景が県内の学校で繰り広げられている。
対教師暴力は一時全国的に問題となったが、最近になって島根県内で小中学校を中心に増加している。教師に対する暴力行為の低年齢化が進む。
子供たち同士でけんかをすることはあっても、教師だけは聖域と多くの大人たちは考えてきた。しかし大人たちがよりどころとしてきたそんな師弟関係が揺らぐかのようだ。
何が教師に向かって暴力を振るわせているのか。その原因ははっきりつかめていない。教師の指導力に問題があるのか、それとも家庭環境や友人関係が子供たちをキレやすくしているのか。
子供たちの暴力を力で抑え付けても効果は一時的である。相手に対する憎しみ以上に自分の存在を認めてもらいたい。そんな衝動が攻撃的な行為を通じて暴発しているのではないか。
暴力にひるまず子供たちの声に耳を傾ける。生易しいことではないが、教師の姿勢が子供たちにも通じるはずである。暴力が生まれてくる回路をたどりながら、その発信源に対して向き合っていくべきだ。
島根県教委が調査した二〇〇五年度の生徒指導上の諸問題によると、県内の公立小中高校の児童、生徒が起こした暴力行為は二百七十二件。前年度に比べて六十六件、20%減少した。
しかし、このうち教師に対する暴力行為は七十一件で前年度に比べて二十九件増え、全体の四分一以上を占めた。県内で発生した対教師暴力は〇二年度十四件だったが、年を追って増加し、統計が残っている最近四年間で昨年は最多だった。
中学生が五十一件と前年の二倍近くに増え、対教師暴力の七割以上を占める。高校生は横ばいだが、小学生も十四件と前年を五件上回り、低年齢化が進んでいる。
児童生徒間の暴力行為は減っているのに、なぜ教師への暴力が増えているのか。その原因についてはっきりしたことは分からない。 ただ、特定の子供が繰り
返し暴力を振るうことが多く、その子供たちの場合、家庭で暴力を受けるなど家庭環境の影響とみられるケースが少なくないという。
どういうタイプの教師が子供たちから暴力を受けやすいのか。以前なら高圧的な教師が反発されることが多かったが、最近ではそういう分類はできないという。
校内の集会が終わってもたむろしているグループに教室に戻るよう注意したところ「うるせぇ」と反発されて取り囲まれた教師。授業中注意した中学生に「やんのかよ」とすごまれた教師もいる。
高圧的にならないよう誘いかけるような態度で接しても、胸ぐらをつかまれる。注意ひとつするにもいろんな配慮が要ると教師も身構える。
現場からの報告を聞いていると気持ちがすさんでくる。子供たちの叫びをどう受け止めるか。学校と地域がともに考えたい。
('06/09/25 無断転載禁止)