2007年03月14日19時41分
脳卒中などのリハビリテーションの医療保険適用が原則180日までに制限されている問題で、中央社会保険医療協議会(中医協)は14日、厚生労働省が示
した見直し案を承認した。これにより、日数制限の対象外となる疾患が心臓病などにも広がると共に、制限日数に達した後、介護保険で機能維持のリハビリを十
分に受けられない患者は、医療保険で受けられるようになる。4月から実施される。
中医協の土田武史会長は承認にあたり、「制度改正前に介護保険のリハビリの状況が分かっていれば、このような事態は避けられた」として、厚労省の医療保険と介護保険の担当者間の連携が不十分だった「縦割り行政」を批判した。
厚生労働省が、昨年4月に導入したばかりのリハビリテーションの日数制限基準を、わずか1年足らずで異例の見直しに踏み切らざるを得なかったのは、同省の調査で、必要にもかかわらず途中で打ち切られる患者が全体の1割を占めるなど「リハビリ難民」が続発したためだ。
脳梗塞(こうそく)の後遺症で数年にわたるリハビリ生活の末、ようやく簡単な言葉を取り戻した患者が一方的に打ち切り通告を受けた事例などをみるにつけ、国民に大きな不安と不満が広がり、厚労省も制度の不備を認めた格好だ。
見直しを求める声は当初から強かった。「打ち切りは全国で4万人以上」との推計もあり、患者団体などは白紙撤回を求めた署名運動を展開。リハビリの継続を求める患者との板挟みにあった現場医師からは嘆きの声も聞かれた。
リハビリの日数制限は、小泉政権下で進められた医療費抑制策の目玉の1つ。医療の必要性が少ないにもかかわらず長期入院する高齢者に、機能回復が見込めないリハビリが漫然と行われるケースが少なくなく、療養病床の削減とともに入院日数の短縮効果を狙った側面があった。
ただ、導入検討時には、制限日数を経過した後の患者を何人、介護施設で受け入れ可能なのかや、介護保険によるリハビリメニューで利用者のニーズを満たす
サービスを提供できるかなど、「患者の立場」に立った議論はほとんど目立たなかった。それだけに、財政優先のひずみが表面化したとも言える。療養病床削減
に対する国民の不安も広がっており、今回の見直しは、これまでの「財政一辺倒」の医療制度改革の転換点となる可能性もある。(河合雅司)
【過去記事】
保守記事.106-5 この国の現状