他人の名刺で歯科医になりすましてお見合いパーティーに参加し、女性と交際したとして、仙台市の男が9月に逮捕された事件が、パーティー業者の間で波紋 を広げている。厳密な本人確認は参加を尻込みさせるとして、参加者の職業や肩書は自己申告で済ませているのが実情。業者らは「信頼関係を逆手に取った詐称 は防ぎきれない面もある」と頭を抱えている。
歯科医になりすまし、私印不正使用の罪で起訴されたのは、青葉区の会社役員の男(37)。起訴状などによると、男は高収入の男性に参加を限定したパーティーで、通院していた歯科医院の窓口備え付けの名刺を女性に渡し、交際を申し込んだ。
仙台地裁で8日にあった初公判で、男は「歯科医の名刺を見せれば周囲の見る目が違うと思った。もてたかった」と動機を供述。地裁は22日、懲役1年、執行猶予3年を言い渡し、裁判官は「自分自身を出し、自信を持って」と説示した。
男が参加したパーティーの主催会社「エクシオジャパン」(横浜市)は参加予約の際に電話番号の登録を、会場では運転免許証などの提示を求めているが、会場内で名前や職業を偽ったり、他人の名刺を渡したりすることまでは「関知できない」という。
地元業者も本人確認は行っている。シンシア(太白区)は入場時に身分証を提示してもらうが、「会場まで来て本人確認を嫌がり、キャンセルする人もいる」。 メディアスタッフ(青葉区)も「身元、職業の確認があると言うと『引いて』しまう」と話す。男の事件については「業者がチェックできる範囲外で起きた」と 口をそろえる。
業者は名刺の不正使用を「まれなケース」と強調するが、事件を受けて運用を見直す動きも出ている。
福島、山形両県でパーティーを開催しているアクセスネットワーク(新潟市)は、初参加時に氏名や住所を記載してもらうが、身分証の提示は義務づけていなかった。同社は12月、仙台に進出する予定で「仙台の事件でもあり、安心して参加してもらう方法を検討したい」と言う。
不特定多数の男女が出会うパーティーだけに、業界には「参加者自身がリスクを自覚してほしい」との声もある。ある業者は「業者は出会いの場を提供するが、選んだ相手の問題は、参加者の自己責任の範囲」とも話している。
保守記事.122 顔を洗って出なおしな!