浦和悲願へ前進、敵地ドロー/アジアCL(日刊スポーツ) - goo ニュース
<アジアCL:セパハン(イラン)1-1浦和>◇決勝第1戦◇7日◇イラン・イスファハン
【イスファハン(イラン)7日=藤中栄
二】浦和が悲願のアジア初制覇へ、過酷なアウエー戦を価値ある引き分けでしのいだ。セパハン(イラン)との決勝第1戦。前半45分にMFポンテ(31)の
ミドル弾で先制したが、後半開始早々に同点弾を喫した。その後は高地とピッチの悪条件に苦しみ、相手の猛攻にさらされたが1-1のまま試合終了。DF闘莉
王、MF山田を故障で欠いたが、ドローながらアウエーゴールを奪い頂点へ半歩前進した。14日、6万大観衆のホーム戦でアジア王座に就く。
浦和に勝利を奪いに行く余力は残っていなかった。後半ロスタイム。GK都築から攻撃を始めようとしても中盤の選手は走りだすこともできず、前線の選手がわ
ずかに反応しただけだった。2分の残り時間が過ぎるのをじっと耐えた。しがみつくように奪った1-1のドロー。オジェック監督は試合後、重荷が下りたよう
に言った。「目標としてアウエー戦は次の試合にいい結果が出るようにと考えていた。それが達成できた」。同点に追いつかれても満足感があった。それほど過
酷なアウエー戦だった。
幸先よく先制点を奪った。前半45分。ペナルティーエリア外の左45度からMFポンテが右足で「魔球」を繰り出
す。無回転シュートが相手GKが懸命に差し出した両手をすり抜けた。6日に31歳の誕生日を迎えた司令塔からアウエーゴールという最高のバースデー弾が生
まれた。
だが後半、異変が起きた。開始40秒すぎ、右クロスに対し、ファーをカバーしていたMF阿部が足を滑らせて相手にフリーの状況
を許したのをきっかけに同点弾を奪われた。その後も選手の足は鉛のように重くなり、守備陣の相手FWへの体への寄せも甘く、いいようにチャンスを献上し
た。
過酷な条件が重なった。「空気が薄くてきつかった」(MF長谷部)。標高1650メートルの高地戦でスタミナを消耗。乾燥した空気
に開始10分でノドがカラカラになった。ピッチも想像以上に地面が硬かった。芝が乾燥し、パススピードが速まり戸惑った。オジェック監督は「テレビで見て
いた方は何でこんなことが起こるのかと思うだろうが、芝の状態がよくなくボールがボンボン飛んでいった」と説明した。普段の戦いを貫けるはずはなかった。
大黒柱もいなかった。守備の要の闘莉王と、主将の山田が決戦を前に故障で離脱した。山田の代役の右サイドは予想された永井ではなく阿部。試合当日に指揮官
から急転で告げられた。困惑は隠せなかった。「練習でやってなくて位置取りがはっきりしなかった」。だが阿部の守備力に絶大の信頼を置かれたからこその緊
急配備だった。
勝てなかった。でも負けなかったことに大きな意義がある。今大会の不敗は11試合に伸びた。FW田中達は言う。「浦和にとってアドバンテージのある引き分け。ホームで絶対に勝てる」。ホームの「赤き庭」でアジアの頂点に立つ最高のおぜん立てが整った。
![写真:写真説明](http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saitama/img/news005_2.jpg) |
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敗戦後、駆けつけたサポーターにあいさつする大宮アルディージャの選手(11日、NACK5スタジアム大宮で) |
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全面改築されたサッカー専用スタジアム「NACK5スタジアム大宮」(さいたま市大宮区高鼻町)で11日、初のJ1公式戦が開催された。残留争いの直接
対決で15位の大宮アルディージャは、1―2と14位の大分トリニータに惜敗。約1万5000人が客席を埋めた新スタジアムで、門出の一戦を飾れなかっ
た。
オレンジ色の服に身を包んだサポーターは、時折強い雨が降る悪天候にめげず、熱い声援で選手を鼓舞。開始前のセレモニーでは、アルディージャ後援会長の相川宗一・さいたま市長も「今日の一戦に勝ち、来年もJ1ではばたいてほしい」と激励した。
励ましに応え、大宮は3分、MF小林慶行選手がFKのこぼれ球を左足でけり込んで先制。開始早々、新スタジアムを沸かせた。しかし、その後は大分
の波状攻撃にさらされ、前後半1点ずつ失い、痛恨の逆転負けを喫した。佐久間悟監督は「サポーターや(スタジアム)建設にかかわった人に、勝ち点3をプレ
ゼントして感謝するつもりだったのに……」と唇をかんだ。
試合後、うなだれてあいさつする選手たちに、客席から「まだ終わってないぞ」「下を向くな、胸をはれ」と鼓舞する声援も飛んだ。サポーター歴約6
年のさいたま市北区の会社員茨木敏さん(42)は「待ちに待ったホーム初試合を勝ちたかった」と悔しそう。同区の大学生小林恵里さん(21)は「応援の人
数も熱気も普段より2倍ぐらい多かった。選手も残留に向け頑張ってほしい」とエールを送った。
(2007年11月13日 読売新聞)
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