



ツネ「真実って、なんだい

透明「ツネさんは、旦那様のこと誤解しています

ツネ「えっ

透明「ツネさんの旦那様は、外に遊びに行っていた
ワケではないんです

ツネ「

透明「旦那様は寡黙な方だったでしょ

ツネ「あ、ああ


透明「ツネさんは、お店の新規のお客さんって
どうやって来たのか


ツネ「・・・お得意様の紹介とか・・・。」
透明「その紹介を取り付けたのも、実は
旦那様なんです

ツネ「

透明「旦那様は、ツネさんや働いてくれている人を
信頼していたんです

お店を任せられる人達に恵まれ、自分は
女性では出来ない接待や付き合いに参加されて
いたんですよ

ツネ「ほ、ほんとうかい


透明「はい

働いている人も、大切な宝物だったんでしょう

寡黙で、人付き合いの苦手な旦那様は、
大切なものを守るために、あえて苦手な世界に
足を踏み入れたんですね

ツネ「そ、そんな・・・じゃぁ、じゃあ~

何で借金なんて

透明「それも、付き合いのためみたいです

仕事をくれている方の保証人になることで、
大きな仕事をまわしてもらっていたようですね

昔は、そう言う付き合いもしなくては、仕事が
回らないことも多かったようですし

ツネ「・・・・・なんで・・・なんで言ってくれなかったんですか

・・・私は・・・主人を恨んで・・・

透明「う~ん・・・難しいところです


大切な人達へ心配をかけたくない想いと、
大切なツネさんが、お店で上手くやっていくためにも
あえて、自分は悪者になる覚悟があったのでしょう

ツネ「・・・そ、そんな・・・。」
透明「ツネさんが言っていたシゲさんは、その事を
旦那様にお願いされていたみたいですよ

ツネ「シゲさんが

透明「だからこそシゲさんは、お店のために
一生懸命働いてくれたんだと想います

それが、旦那様やツネさんの絶対的な信頼を
寄せてもらえた恩返しだったんでしょうね

ツネ「シゲさん・・・

透明「それと、もう一つ

シゲさんは、息子さんに辞めさせられたワケでは
ないんです

したいと、息子さんに言ってきたんですよ

ツネ「

透明「シゲさんも、お店が大切だったんでしょう

現状をみていたシゲさんだから出来る
最後のご奉公だったのかもしれません

ツネ「・・・・・。」
透明「息子さんも何度も止めたようですが・・・。
今でも息子さんは、シゲさんに相談しに
行っているようですよ

ツネ「はぁ~

透明「・・・ツネさん

これはね、重くとる話じゃないんです

後悔をすることでもない

ツネさんは、本当に頑張りやさんだからこそ
皆、ツネさんを守って行きたかった

ツネさんは、多くの人に愛されて来たんです

ツネさんだからなんですよ

ツネ「・・・グスッ・・・。」
透明「ツネさん


ツネ「

私は、ツネさんを連れて扉の前に立つ・・・。
透明「少しだけ扉を開けますから、外を覗いてごらん

私は、外の息子さんに気づかれないように、
少しだけ扉をあける・・・。
ツネ「

ツネさんは、大粒の涙を流しながら、必死に声を
押さえていた・・・。
透明「何が見えました

ツネ「・・・む・・・息子が・・・手を・・・
必死に手を・・・合わせていました・・・・

透明「そうですか・・・。」
ツネさんを席まで連れ、私は緩やかな口調で
言葉をすすめる・・・。
透明「ツネさんの人生は、ツネさんが頑張ってきた分だけ
実を結んでいましたね


ツネさんの人生は、決して無駄な人生ではありません

知らず知らず、沢山の人に守られながら、
ツネさんの人生は彩られて、素晴らしい人生を
描いて来たと言えます

それは、ツネさんだからこそ得ることが出来た人生です

もう、大丈夫ですよね

ツネ「コクン

ツネさんは、何度も頷きながら、優しい顔をしていた

鑑定も終わり、伸さんを呼んだ私は

透明「今井さん

なるべく気をかけておいてあげないと
また、症状が出るかもしれないから
気をつけるようにね

っと釘をさし、伸さんの見えないところで
ツネさんにウインクをした

そして、二人が帰ろうと扉を開けたとき・・・。
ツネ「あっ

透明「

ツネ「また来てもいいかい・・・先生

透明「



少しは、認められたようである

完
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