天の才覚身の才量・２８

天の才覚身の才量・２８


透明「まず考えなくてはならないのが、

　　　一番最初に吉田さんが懸念していた

　　　食べ物をすぐにこぼしたり、

　　　あまり人の話を聞かなかったり、

　　　忘れ物が多かったり・・・・。

　　　あと、あまり人の目を見ないで話す

　　　とかでしたよね」

吉田「は、はい」

透明「これらの行動は、尊斗くんの属性が

　　　関わっています

　　　ただ、これはあくまでも今の数値での

　　　ケースだから、あまり深く考えすぎないで

　　　聞いてくださいね」

吉田「」

透明「まず、こういった数値を視てしまうと、

　　　尊斗くんの高い属性値に気を取られがちに

　　　なりますが、ここでは逆に低い属性に

　　　注目してください

　　　例えば意欲を司る繭気の火や常加の火炎が

　　　低い点を見ると、今の尊斗くんは細かい事に

　　　興味を持つのが苦手なのだと思います

　　　そのうえ、人間関係を構築する繭気の風、

　　　愛情を司る聖衣のラファエルも、能力の高い

　　　空・夜影・ガブリエルに比べると、

　　　かなり低く感じてしまい、バランスが悪く

　　　コミュニケーションを取ることも苦手に

　　　なっている節もあります

　　　そういったことも加味すれば、尊斗くんは

　　　夜影の思慮深い部分と天空の自由性が

　　　際立ってしまい、色々な事を考えて

　　　自分の中で完結することが多く、それを

　　　上手く表現できないでいるのかもしれません

　　　もちろん、尊斗くんはまだ幼いので、

　　　これから色々な経験をし、属性もスキル値も

　　　変わってゆくとは思いますが、人間というのは

　　　一度感じてしまった感覚から離れるのが

　　　上手くないので、今の状態が続くのは

　　　あまり良くないかもしれません

　　　ちなみに、最悪のケースもお伝えしますが、

　　　このままの状態で、何かに固執する意欲や

　　　人間関係に興味が持てなくなると孤独感や

　　　偏った割り切り方をして物事を斜に見てしまう

　　　可能性があり、変に自分を納得させてしまい、

　　　誰かと心を通わせることすら億劫になって

　　　しまうこともあるかもしれません

　　　そして、このバランスの悪さを尊斗くんが

　　　継続し、そこにスキルを使うようになって

　　　しまえば、状況が悪化する恐れもあります」

吉田「えっど、どういう」

透明「まあ、これはあくまでも最悪のケースですので

　　　そんなに不安にならずに聞いてもらいたいのですが、

　　　もし、吉田さんがこういった尊斗くんの

　　　特性を知らずに、頭ごなしに尊斗くんを

　　　矯正しようと躍起になってしまうと、

　　　尊斗くん自身が親の顔色を常に意識して

　　　対応するためにスキルを使うようになり、

　　　人間関係というものをそういう我慢をするものと理解、

　　　記憶し、その度に器用に立ち回ることが正しいと

　　　最適解を出してしまうようになると思います

　　　こういった我慢で変えてしまった意志というのは

　　　そうそう長く続けることはできないため、

　　　どこかで大きな反発が起こるかもしれません」

吉田「そ、そんなわ、私はどうすれば」

透明「だからこその、スキル認識です

　　　スキルは本来、その人の能力(属性)を

　　　最大限活かす為の補佐的な才能です

　　　この才能は、良い悪いという概念はなく、

　　　どんなスキルでも必ず役に立つもので、

　　　スキルの使い方次第では、人生や状況を

　　　一変させる力すら持つものになります

　　　先程もお話したように、属性というのは

　　　生まれ持った能力として、なかなか上げるのは

　　　難しいものなのですが、スキルがあれば

　　　効率よく属性を育てることができるのも

　　　スキルの特徴です

　　　先程お話したように、尊斗くんの弱点を補う

　　　のであれば、属性の火・風・火炎・ラファエルが

　　　もう少し高ければ、色々なことに興味を持ち、

　　　人との付き合い方や、そういったことの必要性も

　　　しっかりと認識できるようになります

　　　では、その足りない属性をどのように上げてゆくのか

　　　これは今ある尊斗くんの武器であるスキルを

　　　上手に使わせてあげることです

　　　幸い尊斗くんは、そういったスキルに恵まれています

　　　スキルを使い、属性が司っている事柄の大切さを

　　　優しく教えてあげれば、理解が早く記憶力にとどめ、

　　　器用にそれを使えるようになる

　　　その上、最適解を導き出すスピードも早いとなれば

　　　今ある属性の器に入る気質を満たすことができます

　　　属性の器は、常に満杯状態が続くと溢れさせないように

　　　器自体を成長させようとしますので、

　　　器レベルを上げるスピードも早いと思います」

吉田「そっか・・・私は尊斗に教える時は

　　　いつも頭ごなしに怒って覚えさせようと

　　　してしまっていたと思います

　　　それが逆に尊斗のスキルを悪く使わせてしまう

　　　のかもしれないのですね

　　　親としてだけでなく、教師として大切なことを

　　　忘れていた気がします」

透明「いやいや自分の子となれば

　　　大体の親御さんはそんなものですよ

　　　今は、自分を責めるのではなくて、自分の子に

　　　親として何をしてあげられるのか

　　　だけを考えれば良いと思いますよ」

吉田「先生もう少し聞いてもいいですか」

透明「」


　　　　　　　　　　　続く・・・。

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