4月1日マチネの観劇記です。(注!ネタバレあり)
東京公演の“日常な”観劇はこれが最後。まだ1回残っていますが千秋楽は何だかんだ言っても“特別な”感じがあるのでねぇ~~
終わった後は少し寂しい気持ちになってしまいました
今回のお席は上手寄りの2列目センター。前回のスペシャル観劇=最前列のほぼ真後ろ……1列下がっただけでこれほど違うものかと
やはり舞台奥は観にくいのですが、ま~だそれでもかろうじて全体の雰囲気を味わえるというか……昨日ぼやいたような
な出来事はありましたが、登場人物の空気感や関係性がビシバシ伝わってくる観やすいお席でした
いや~~でもね、お席のせいだけじゃないと思いました。前回観劇したのが先週の木曜日。その時もラストの演出やセリフの間合いややり取りの雰囲気が変わったというのは感じていたのですが、それから3日しか経っていないのにこんなに変わっているなんて
白井さんの演出は公演途中でどんどん変わっていくというのは聞いていたのですが、今回もいろいろと変えてきた部分があるんだろうな~~と。前回の観た辺りが変更バージョンの初日的な感じだったのかな~と、今思えば…ですが。それが進化/深化したという感じもするのですが、ホント今回は冒頭からコレは明らかに違うぞ!と心にドカーンと来ましたね~~安藤さんの語りも違えば戸塚さんと真一のやり取りも違う。吉永さんも村瀬さんも全然……前回以上に凄く凄く凄~~く滑らかでたおやかで自然な雰囲気で全く無理感がない。いい意味で肩の力がすっかり抜けていて余裕すら感じる。。。セリフの応酬もキャストのやり取りもある形の完成形に近づいている感じ……と言っても舞台に完成形はないと思うのでこういう言い方は適切ではないのかもしれませんが。ただ、現時点で見つけたゴールに向かっているような舞台で、それがパズルが嵌るかのようにストンと無理なく自分の中に入ってくるように感じました。ま、逆の見方をすれば最初の頃の未完の荒削りで危うい魅力が
したような気がしないでもないような
演出なのか公演回数をこなしていくうちにできた阿吽の呼吸なのか分かりませんが、行間を埋める部分→ちょっとした仕草だったり小声の感情表現だったり台本上の動きの意味を補うような+αの動きだったり……分かりやすくなった分、作り手からの意味づけを押し付けられる危機感が頭を過ぎったのもホント
もう少し観る側に困難を与える余白があっても良いのかな~とも思いました。まぁね~~そうは言ってもまっさらな状態の初見の感覚はその時だけのものだし、一期一会が舞台の醍醐味、最大の魅力ですから。その時々の公演、みんな違ってみんな良い、それこそが舞台は生物という部分なんだから
そうは言っても今回ほど観る度に全く違ったものを感じる演目はなかったと思うくらい惑わされています。今までの観劇の中でも「奇跡」の瞬間に遭遇したことはありますが、あくまで想定の範囲内、期待の延長線上にあった……本を読んでいる時の感覚に似ているかな~~きっとこうなんだ!と想像したもの、期待したものが具体化されて目の前で見せつけられる感じ。でも、この「幻蝶」はホント不思議なんですよね~~自分の中で分裂症を引き起こしそうな毎回違う捉え方や感じ方が起きてきて、自分で昇華/消化しきれないことが多すぎて……自分で自分のことが分からなくなりそうです。今回は戸塚さんと真一が良い意味で他人に見えました。今までは真一と真クンを重ね合わせていた部分が多かったのに。。。もちろん戸塚さんの破天荒な言動や真一に対する眼差しは真クンへの代償という部分は感じるのですが、一方では突き放した客観的な部分を感じる。そしてそこが戸塚さんの中にある葛藤や哀しさ、彼自身の欲求に対する素直な生き方を表していて、綺麗事ではない説得力を持たせていて素晴らしいと思いました
他人同士だからこそ見える真実、、、「まだ病気がなってないんだろ?俺には本当のことを言えよ」と迫る真一をはぐらかす戸塚さん。息子と重ね合わせている真一が発する言葉だからこそ胸に迫るものがあるのですが、他人の関係が見えるからこそ戸塚さんが真正面から答えないものの中にある真実が客観的に見えてきて、より戸塚さんの心の中にある思いを主観的に感じるようになってくるのよね~~と頭と心を唸らせながら観ておりました。。。
ユカと安藤さんを加えて4人で蝶の採集練習?合戦??をするところで舞台に流れる子供の声……その時の戸塚さんの表情に釘付けになりました
戸塚さんの目、、、魂が抜け出して遠くの世界を見ているような目でしたね~~まるで幻影を見ているような
既にこの頃から現実と妄想の境目が曖昧になっていたのでは?と今回はそんな風に感じる目でした。そして、、、これは前から気になっていたのですが、子供の声が聞こえる辺りから真一と戯れるようなやり取りが始まるんですよね~~コレ、絶対に狙ってる
と思いつつ、戸塚さんと真一のやり取りがそのまま真クンとのやり取りに重なりあうところがあって……更にはユカや安藤さんの中にある切ない思いを引き受けるようにも見えたり、4人が楽しそうに蝶を採っている姿が戸塚さんの願った幸せのようにも見えたり……泣きながら微笑んで観ていたのかも~~自分
ユカの「今生きている世界は眠っている時に見ているもので自分が勝手に作り出しているものかもしれなくて…」というセリフ、、、誰もが心に少なからず抱いて生きていると思うんですよね。それを聞く安藤さんや戸塚さんの中にも……戸塚さんの後ろ姿!いや~~物言う背中サイコー
途中から握った手が震えているんですわ。そこにはいろんな思いが溢れていて、そんな風にしか生きられなかった戸塚さんの切なさが愛おしくて愛おしくて……そのあまりに人間的な思いと自分の心の中が触れ合って苦しかったですね~~ただ、じいが今回一番共感したのは安藤さん
ユカを見つめる安藤さんもまた自分の生き方と対話しているようでした。そして最後に病室で戸塚さんを背負ってシロギフを捕まえに行こうとする真一に「信じたのはあなたたちよ」と言う場面……ここって“幻蝶”に対する姿勢、自分はどのキャラクターの行動を選ぶだろうか?と観る度に思うのですが、じいなら選びたいのは真一や戸塚さんだけど実際は安藤さんなんだろうな~と。信じたい存在がいること、、、お礼を言う真一に「こちらこそ今までありがとう」と言う安藤さんにホロリと
じいの中にある様々な思いが溢れ出ました。
今回は吉永さんの思いにもホロリと。公演を経る毎に大谷さんがほ~~んと良い味を出されていてアクセントになっているんですよね~~真一に「あんな奴からはさっさと逃げた方がいい」と本音
を暴露したり「どこかでこうなることを願ってあんた(=村木)を連れてきた。あいつには本当に酷い目に遭わされた」と病室で打ち明けたり、、、チョウ屋の世界でスターだった戸塚だったがやがて皆離れていったというのに最後まで離れなかったし、村木に殴られる戸塚さんを庇ったり、シロギフの居場所を探し出してはしゃぐ戸塚さんたちを羨望と哀れみの目で見つめたり……ドライだけどウェット、嫉妬と尊敬がない交ぜになったただならぬ感情、そういう複雑な男の繋がり(敢えて「友情」とは使わないでみた
)がリアルに伝わってきました。ふと個人的なことで思い出したことがあるのですが、これはじいの心の内にしまっておきます
最後に気づいたことをチラホラと
内野さん、、、思いっきりセリフを繕ってた場面あり
吉永さんに最後の財産=珍しい蝶の標本を売るところで「コレ、丹沢の…」と言うところで何故か「秋山の…」って出てしまって「秋山…じゃなくて丹沢の」と言い換えてました
素早い切り替えにGJ
でしたが、このテンポに引きずられたのか大谷さんの大袈裟なリアクションが若干控えめだったような
あと、冒頭の圭クンを襲う場面が更に激しくなってるぅ~~お尻にチュッ
までしてるし
しかもズボンずらしすぎ~~役に入り込んでいるからこその勢いだと思いますがまったくもうぅ
そしてモナリザの歌の後の拍手とカテコの件。日曜公演ということもあったのかな~~歌の後に拍手が起きていたのですが、気持ちは分からないでもないけどショーストップOKのミュージカルじゃないんだから
実はこの一件、耳に入ってはいたので知ってはいましたが、思ったよりはマシというかまぁね~という感じでしょうか。でもね~~やはりストプレ!舞台の世界観を途切れさせかねないこういう行為はいかがなものかと思いますけどね
カテコの方はいつもよりも1回多く拍手に応えていただけました。始めの2回くらいは役が抜けていないのか少し放心状態っぽい表情でしたが、後は素敵な笑顔に触れてとても嬉しかったですね~~
綺麗なお辞儀も……公演の度に思うことですがホント素敵。その美しい姿勢にますます
しちゃうのよね