(「株」(2010-09-14)と同じ人の話し。)
&(「あおーの、でーもん」(2010-10-26)と同じ人の話し。)
(訪問診療で家にお邪魔している、94歳のおじいちゃんの話。)
「せんせい!!なんでピアノ弾いてるの!?」
「??」
「せんせい!!なんでピアノ弾いてるのって聞いてるの!?」
「??」
(横からおばあちゃんが)
「ああ、あのことね。
先生、いつもパソコンかなんだか知らないけど、うちに持ってきてカチャカチャうってるでしょ。
先生が帰った後に「なんでピアノを弾きに来てるのか」って私に聞くのよ。
まあ、わたしもパソコンがなんだかよくわかってないけど、
あの人はわたし以上に「パソコン」がなんのことだか、まるでわかんないみたいでね。」
・・・・・・・・・
一般の病院でも、紙カルテから電子カルテに変わりつつある。
その流れで、在宅医療でも、紙カルテではなくて電子カルテに移行している。
そういうことで、僕らも訪問する自宅内にノートパソコンを持ち込んで、そこに患者さんの状態を記入したりその場で処方箋を発行したりしているのです。
診察が終わって家を出る前に、いつも黙々とパソコンに打ち込んでいるので、その不可思議な光景を見て「あの人は、なんだかよくわかんないけどピアノを弾いて帰っている人だ」と思っていたようだ。
「これはパソコンって言うんです!」
「は?は?は!!??」
「パ・ソ・コ・ン!」
「は?」
耳が遠くて聞こえないのと同時に、「パソコン」という概念を知らない人に、どう教えるのか、困った。
どこから、何を教えるべきなのか。
「要するに、機械です。 キ・カ・イ!」
「は?」
「機械ですよ。機械。
うぅーん。ロボットみたいなもんです!」
「は?」
(自分の発言ながら、「ロボットの例えは全然違うだろう」と自分自身に軽い突っ込みをいれた。)
「病院に行くと、医者はカルテを書いてますよね。それが、この機械でできるんですよ!」
「先生!先生!いつもピアノ弾いてるけど、耳遠いから聞こえないよ!」
話しているうちに、どっちが正しいのかよくわからなくなる。
どっちも正しいような気もするし、どっちも正しくないような気がしてくる。
数分のやりとりの後、
「ピアノではないけど、まあ一種ピアノ的なものですよ。ピアノみたいなもんですよ!」
「あー、なるほどね。なるほどね。うん。うん。はいはい。御苦労さん!!!」
なぜか、伝わったようだ。
何かを伝える事は、どんな状況でも難しい。
何かを伝える事は、そのことが正しいか正しくないかなんて、永遠に誰にも分からないものである。
「事実」とその人にとっての「真実」は、違うものだ。
・・・・・・・・・・・・
帰る時、4回に1回は言われる事がある。
「あなた、お医者さんなの?!なんでこんな汚い家に来てくれるの?」
(→実際、ゴミ屋敷のようで、足の踏み場がないほど部屋は汚い。時に虫がいる。)
「お金払わなきゃ。おばあさん!お金を急いで出して!早く!」
(→生活保護なので、お金は国から出ている)」
「お金は大丈夫!お金のことは心配しないで自分の健康に気をつけて!
あと、おばあちゃんにはちゃんと優しくしてあげてよ!」
(いつも朝から、大声で鼓膜が破れそうな声で騒いでいるそうで、おばあちゃんはいつも疲れている。)
こう答えると、
「なんまんだー。なんまんだー。」
と言われ、リアクションに困りつつ、家をあとにする。
4回に1回はそう言われるという事は、4回のうち残り3回は、きっと「ピアノを弾きに来る謎の男」として認識されているのだと思う。
&(「あおーの、でーもん」(2010-10-26)と同じ人の話し。)
(訪問診療で家にお邪魔している、94歳のおじいちゃんの話。)
「せんせい!!なんでピアノ弾いてるの!?」
「??」
「せんせい!!なんでピアノ弾いてるのって聞いてるの!?」
「??」
(横からおばあちゃんが)
「ああ、あのことね。
先生、いつもパソコンかなんだか知らないけど、うちに持ってきてカチャカチャうってるでしょ。
先生が帰った後に「なんでピアノを弾きに来てるのか」って私に聞くのよ。
まあ、わたしもパソコンがなんだかよくわかってないけど、
あの人はわたし以上に「パソコン」がなんのことだか、まるでわかんないみたいでね。」
・・・・・・・・・
一般の病院でも、紙カルテから電子カルテに変わりつつある。
その流れで、在宅医療でも、紙カルテではなくて電子カルテに移行している。
そういうことで、僕らも訪問する自宅内にノートパソコンを持ち込んで、そこに患者さんの状態を記入したりその場で処方箋を発行したりしているのです。
診察が終わって家を出る前に、いつも黙々とパソコンに打ち込んでいるので、その不可思議な光景を見て「あの人は、なんだかよくわかんないけどピアノを弾いて帰っている人だ」と思っていたようだ。
「これはパソコンって言うんです!」
「は?は?は!!??」
「パ・ソ・コ・ン!」
「は?」
耳が遠くて聞こえないのと同時に、「パソコン」という概念を知らない人に、どう教えるのか、困った。
どこから、何を教えるべきなのか。
「要するに、機械です。 キ・カ・イ!」
「は?」
「機械ですよ。機械。
うぅーん。ロボットみたいなもんです!」
「は?」
(自分の発言ながら、「ロボットの例えは全然違うだろう」と自分自身に軽い突っ込みをいれた。)
「病院に行くと、医者はカルテを書いてますよね。それが、この機械でできるんですよ!」
「先生!先生!いつもピアノ弾いてるけど、耳遠いから聞こえないよ!」
話しているうちに、どっちが正しいのかよくわからなくなる。
どっちも正しいような気もするし、どっちも正しくないような気がしてくる。
数分のやりとりの後、
「ピアノではないけど、まあ一種ピアノ的なものですよ。ピアノみたいなもんですよ!」
「あー、なるほどね。なるほどね。うん。うん。はいはい。御苦労さん!!!」
なぜか、伝わったようだ。
何かを伝える事は、どんな状況でも難しい。
何かを伝える事は、そのことが正しいか正しくないかなんて、永遠に誰にも分からないものである。
「事実」とその人にとっての「真実」は、違うものだ。
・・・・・・・・・・・・
帰る時、4回に1回は言われる事がある。
「あなた、お医者さんなの?!なんでこんな汚い家に来てくれるの?」
(→実際、ゴミ屋敷のようで、足の踏み場がないほど部屋は汚い。時に虫がいる。)
「お金払わなきゃ。おばあさん!お金を急いで出して!早く!」
(→生活保護なので、お金は国から出ている)」
「お金は大丈夫!お金のことは心配しないで自分の健康に気をつけて!
あと、おばあちゃんにはちゃんと優しくしてあげてよ!」
(いつも朝から、大声で鼓膜が破れそうな声で騒いでいるそうで、おばあちゃんはいつも疲れている。)
こう答えると、
「なんまんだー。なんまんだー。」
と言われ、リアクションに困りつつ、家をあとにする。
4回に1回はそう言われるという事は、4回のうち残り3回は、きっと「ピアノを弾きに来る謎の男」として認識されているのだと思う。