日常

横浜ダンスコレクション

2009-02-06 01:47:42 | 芸術
◆横浜ダンスコレクション

横浜ダンスコレクション、なるものに、横浜赤レンガ倉庫までIS氏と見に行ってきました。(本当は2月8日の日曜までやってますよ!)

Is氏とはプロジェクト大山の踊りを見に行ったつながりで、なんとなく踊りを見に行く仲間みたいになってきてるんだけど(笑)、まあこれも縁です。

→プロジェクト大山に関しては以前見に行った記事を参照
→→→『よい踊りを見た。そして、感じ、思ったこと。』(2008-11-24)


◆相変わらずよかったわけで・・(北の国から風に)

相変わらず、改めて、プロジェクト大山の踊りはすごくよかった!!感動!!

今回はやや遠い(ブルーライト)ヨコハマでの開催だったんで、自分も仕事終わりで確実に行けるか不安だったし、ちょい前にブログで広報したくらいで、あまり直接には人を誘わなかったけど、今度TOKIO周辺でやるときは、周りにいる人々に近所の世話焼きおばちゃんのように直接声かけて引っ張って連れて行きますんで(『あんた!見に行きなっせ!』って)、是非見に行きましょう。
踊りは、その場と一体化になって見ないと、良さはわからんからね。

今回は、フランス大使館と共催ってことで、客層はかなりインターナショナル!見に来てた人もパツキンのガイジンばかり。ボンソワー、ハロー、モドモワゼール、コモサデブー、って声が飛び交う会場。


HPに、
『国内外の新進振付家を発掘・支援・育成することを目的として開催されるコンペティション。今回は、14カ国192組という過去最多の応募振付家の中から、ビデオ審査を経て選ばれたファイナリスト15組が、フランス留学などの副賞を目指し、身体表現の可能性に挑戦します。未来にはばたく新進振付家の登場に注目です。』
と書いてあった。
まず、ここに出るだけでもすごいんでしょうな。
わしも踊りは素人でよくわからんけど、きっとそうだと思う。


わしが見たいのはプロジェクト大山の踊りだったんで、2月5日木曜のグループ部門を見に行ってきた。


◆ヨコハマのムーディーさ

その前に。
横浜って意外に東京から近いのね。ビビッたー。
しかも、横浜ってお洒落!洋風で雰囲気良し。港あるし。

夜の横浜の海沿いは、IS氏と男二人でブラブラするにはあまりにムーディーで、周りからはホモダチと思われるんじゃないかとソワソワしましたが、今度わしにも彼女できたら横浜探索したいなぁ。実は、横浜って物心ついてから行ったことない未開拓の土地なのデス。今日気付いた。

Is氏も横浜ランドマークタワーLOVE!って言ってたし、いつか開拓してみようと思う。男だけで行くにはあまりにムーディーすぎるわー。

脱線。


◆感想

横浜ダンスコレクションのグループ部門の件です。感想を書く件です。


2月5日の木曜は、グループ4組が出場してた。

1組目はニューヨークとかストックホルムで活躍されているらしい外人男性二人組。映像使ったり、音楽もテクノな感じで真新しい雰囲気はあったけど、何故かわしの魂には響かなかった。寧ろ、テクノ音楽がノイズっぽくて、踊りと不協和音を奏でているように聞こえてしまった。

2組目はプロジェクト大山。感想は後で。

3組目はスウェーデン、ストックホルムを中心に踊っている外人女性4人組。服もお洒落でよかった時もあったけど。部分、部分はいいんだけど、全体としては少しわからんかった。

4組目は『情動』というタイトルで、日本人女性5人+男性1人のユニット。このグループはプロジェクト大山の次によかった。後半辺りから、クラシック音楽が流れながらスローな動きの踊りで全体として連なっていくシーンがあって、そこから後半はかなりよかった。部分だけじゃなくて全体性の世界観が出ていた。 前半に、男性と女性が絡み合って踊るシーンがあって、その少しエロ入ってるとこが、踊りの世界に没入できなかったとこなんですよね。エイって弾かれちゃった感じ。後半からはグループで踊る良さが出てきて、いいなーって思えた。他のも見たいって素直に思った。

自分にとっての、イイ!っていう感覚は、自分が一番よく分かる。そこはシンプルなものです。世間的評価とかは自分の評価の中ではどうでもいいことで、しかもよくわからんのです。判断基準が人によって違うからね。似た者同士は判断基準近いんだろうけど。


それで、2組目がプロジェクト大山だったわけですが、これはエコヒイキでもなんでもなく、かなり客観的に観てもずば抜けて良くて、この振付家はとんでもないド天才なんじゃないかとほんとに思った。いや、マジです。


比較したくて比較したわけではないけど、同じ時間と空間で踊っていた人たちだから、自然に比較してしまう。

以前プロジェクト大山を見に行ったときは、単独公演だったし、比べるものもなかった。しかも、わしは素人だから比較する尺度になるような、他の人の踊りなんて普段見ることもない。

自分がイイ!と思ったものも(→『よい踊りを見た。そして、感じ、思ったこと。』(2008-11-24))、本当にイイものなのかどうか自信なかったけど、今回は確信した。
やっぱり、改めてイイ!と思った。


前の感想のときの繰り返しになるかも知れんけど。感じたことを書きなぐってみる。



◆【魅力1】部分と全体

この概念は昔から自分のテーマ。

いい部分と全体の関係っていうのは、
お互いが融合して溶け合っているんだけど、ただの足し算では絶対に説明できない関係性。一つでも欠けたら駄目な関係性。
お互いが複雑に連関して相互作用して影響しあっている関係性のこと。

一つ一つの部分は自立して自律していて、依存し合った関係性ではないもの。時に共鳴して場全体を一つに作り上げる瞬間を伴うような関係性。
金太郎飴のように、どの部分をとりあげてもそれだけで全体になり得るもの。
メビウスの輪のように部分と全体がつながっているもの。

これは、人体とか生命とか人間関係とかも全部そうかもしれん。そうじゃないかもしれん。


プロジェクト大山の踊りは、はっきり言ってこのバランスが奇跡的に絶妙すぎると思った。
各ダンサーの踊りを部分とする。
一人一人が勝手に好きなように質の高い踊れをすれば、全体としていい踊りになるかと言うと絶対そんなことはない。
逆に、全員がビシッと一つの同じ踊りをすれば全体としてイイかというと、それも全然違う。全員が寸分違わぬ踊りするなら、別に複数で踊る必要性がないと思う。


部分が微妙に異なりながら、でも微妙に同期しながら、でも微妙にずれながら、でも微妙に重なりあっている関係。
こういう糸の上を歩くような霞を掴むような絶妙なバランスを保ちながら、プロジェクト大山の踊りはあると思った。

これ、絶対に見ないとわからん。言葉じゃ伝わらんね。言葉じゃこの辺が限界。


◆【魅力2】潔さ

踊りが音楽と共にドンドン盛り上がってきたとき、オオッ!って観客が盛り上がってきたときも、容赦なくその踊りを終わらせて、次の更に別な踊りにドンドン移行していく。ダラダラ引っ張らない潔さ。これはいい! 

これは、全体の尺を考えているからだし、観客が飽きないように意識している。エンターテイメントがわかってる!勝手にその世界に引きずり込まれて没入してしまう。我を忘れて世界に没頭してしまう。


◆【魅力3】ユーモア

基本的に表情が面白いのね。眼力とか。ニヤリと笑える。これは、わしにとって手塚漫画のユーモアと同じで、いわゆるお笑い芸人のように「笑わせまっせー!」って感じじゃなくて、ニヤリと微笑んでしまうユーモア。コレもうまいわー。お客さんの心掴むの上手!


◆【魅力4】動きの可能性 創意工夫

人体の動きって、組み合わせで無限な動きをする。
動きは、今の生活に応じて自然につくられる。
毎日農作業している人の動き、毎日パソコンの前でデスクワークしている人の動き、毎日登山している人の動き・・・。
そして、子供の動き、大人の動き、老人の動き、病人の動き・・・
全部違う。日々の生活に、動きはかなり影響される。


動きって、そういう無限の可能性がある。
プロジェクト大山は、そこの可能性をよくわかっていて、何気ない妙な動きとか、妙な表情とか、そういうのを掬い取るのがウマイ。それをつなげていったり、複数の人と連なっていったり。見ててすごく面白い。

動きって、無限の可能性あるなーって改めて感じちゃう。それは、別にプロのアスリートみたいに肉体を極限に鍛えてマッスル北村(→懐かしい~)みたいなマッチョマンにならなくても、自分の工夫次第で、今の肉体を最大限に活用して、創意工夫して、色んな新しい動きって発見できる気がする。

そうだ。『創意工夫』って言葉を感じたんだ!


たとえば、お年寄りは、老化で筋肉も自由に動かないし、自然に動きも緩慢になるし独特の動きになる。でも、よくよく考えると、それだけ動きは純化されているとも言える。無駄な動きがないとも言える。無駄な動きするのが疲れて無駄だっていう実用的なとこもあるのかもしれん笑  
逆に、小学生って無駄な動きが多い。無駄に室内を飛び跳ねたり走り回ったり、動きに制限がないし、すごく自由な動きをする。


プロジェクト大山って、なんかそういう、普段自分たちはしない動きとか、ユーモラスで面白かったり、なんとなく真似したくなるような動きが多くて、すごく興味深い。センスいいわー。


◆【魅力5】起承転結とかにコダワラナイ

「よい文章は起承転結があるのよ!」とはよく聞く。
でも、時にはそれに縛られて毒されてしまうこともある。
小中学生のときなんて、そんなの意識しなかった。時と場合によったら、起承転結にこだわる必要ってないとも思った。その世界観の中でちゃんと成立していれば、別に意図的に起承転結をこじつける必要はない。そういう真新しさと力強さを感じた。


◆【魅力6】遥か彼方の違う世界

プロジェクト大山の踊りを見てて、IS氏も言ってたけど、顕微鏡で細菌とか見るとこんな感じの動きしてるんじゃないかと思えるときがあった。
要は、僕らの視点だけから見ると、なんか意味不明な踊りに見えるんだけど、だからといって、決してテンデバラバラの滅茶苦茶というわけではなく、その世界の中では、何かよくわからんある規則性の下で踊っているんじゃないかと思わせるものを感じたんです。
これも、なかなか言語化しにくいなー。
でも、「顕微鏡で無秩序に動いている細菌とか見たときの風景」を思い出してもらえればなんとなく分かってもらえる気はします。



◆書きなぐりで終わらせるいい加減なワタクシ

本当に書きなぐり状態で、読んでる人には申し訳ないんですけど、見てきた熱の余韻があるうちに書きなぐるとこんな感じの感想になるわけです。

いつか、東京でやるときみなさんお誘いしますよ。かなりお奨め!

素人の僕でもかなりイイ!と思ってますが、踊りの評論家とかの玄人にも、かなり高い評価受けてるのは間違いないと思いますね。

きっと、もう少しすると僕らが手の届かないとこにいってるんじゃないかなぁ。
子供からお年寄りまで、幅広く受け入れられると思う。
開かれた世界観を感じた。踊りの素人が見ても絶対面白いと思う。
イイものはイイ!!

プロジェクト大山、振り付けのゆるりさんは、確か4歳くらいわしの後輩なんだけど、後世畏るべし!熊本県民オソルべし!


プロジェクト大山の踊り、見て帰ってきたら何故か元気をもらった。
おすそ分けしてもらった感じ。アリガタシ。


絵を見て感動したり、写真を見て感動したりするのと全然違うんですよね。
なんなのだろうか。イイ絵とかイイ写真とかも、間違いなく自分の魂に訴えてくるものがあって、自分がその世界に没入してしまって、魂を掴まれるような瞬間がある。世界観が憑依してきて、居ても立ってもいられなくなる感覚がある。

いい踊りって、その感覚とはまた何か違う感じがある。
昔、スペインで本場のフラメンコ見て感動したときも、なんか不思議だったしなー。不思議だなー。謎だなー。



『【はじめに】このブログの説明(2009-01-24)』のコメント欄でも盛り上がったけど、僕ら大人は、大人の文化や遊びとして、キャバクラとか風俗とかギャンブルとか、くだらない遊びじゃなくて、もっと魂に響くいいものを未来に残したい。
いい文化や芸術を未来につなげたい。

そんないい文化や芸術が自然な形で日常の風景に溶け込むような社会になるといいなー。そんな社会にしたいなー。

そぎゃんこつば、願っとります。

2 コメント

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生きることのマッサージ…みたいな。 (Is)
2009-02-06 23:08:55
ご一緒させていただいたIsです。
神奈川県民としては、横浜love話とかも
広げたいのですが
(…県庁通りが、芸大映像学科のキャンパスとか…たけしホントに来てるのかな!?…ほんと、いいのですよ。歴史と現代性とすごく丁寧に計画されていて!)
…まあ、それは今回は置いといて。

踊り!大山!ゆるり!ですよ。

正直、芸能の世界は、宮崎あおいとかもそうだけど、ホント若い才能に手放しで喜べるしすごい!って思えるね。(学問とか文学とかは同世代、負けたくないし負けてないって思っちゃうけど)

作品の中身の感想はいなばさんがかなり忠実に言ってくれたので、ぼくの役割的には、これをどう外に伝えるかを考えてみます。
僕は、もちろん芸術作品、それ自体も大好きだけど、と同時に、事業性loverだったりもして、これをいかにお金の面でも成り立たせて、たくさんの人に伝えるかみたいなプロデューサー的な欲望が芽生えてしまう。
(こうした態度は芸術の中の人には失礼なのかもしれないけど)

で、思ったのは、プロジェクト大山の踊りは、意外と、普段、ネクタイ締めて仕事してるような、〈マジメ〉な人とかにも、「効く」んじゃないかとすごく思った。「顕微鏡で微生物」話が出たけど、そこには、
1:今の自分とか異なる
2:生の息吹
があるんですよ。そう、ぜひ、体のマッサージだけで取れぬ、生のマッサージ=ライフ・マッサージを受けて欲しいと思います。肩のこりで取り切れぬ、生きることのこりみたいなものが、もみほぐされる感じがするんです。
…ただ、いわゆる純文学的な劇薬的に変えられるってかんじじゃなくて、その辺も、「どうぞ、お勝手に~」的な、素っ気なさもいいのです。強制的な感じは全くないんだけど、なんか、モミモミされて帰って来ちゃうんだな~。

ホント、これは現代人はみんな欲しちゃいますよ。この、踊りの文化自体ももっと広めたいな-とかも思う。
いつか、M-1みたいなD-1みたいになったら…と思いつつ、なったらなったで、今の良い部分とかが大衆化でなくなっちゃったらヤダなとか、色々思う。

とにかく、テレビや映画や音楽やとは、また違う、色々、感じるので、ホント、ゼヒゼヒですね!
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2回見たら、良さは確信に変わりますわ。 (いなば)
2009-02-07 10:09:31
>>>>>>>>>>>>>Is
今度、横浜love話も聞きたいな。図々しいですが、是非案内してください。
歴史と現代性が丁寧に計画されているってのは良く分かる。あの赤レンガ倉庫近くの馬車道駅周辺は、そういう丁寧な感じが伝わってきた!

プロジェクト大山!ゆるり!ゆうり(勝手に呼び捨て)!、今回もよかったよねー。もっと見たい!もっと見たい!

宮崎あおいと含め、若い女性の瑞々しい才能とか感性ってホントにあると思う!男女平等という以前に、女子が表現する美の世界に、男子であるワシは完全にノックアウトです。ああいう世界は自分には作れないもの。

無意識に、直感的に、本能的に、感覚として己をよく分かっているから、宮崎あおいしかりプロジェクト大山しかり、ああいう良き表現になるんだろうなぁ。音楽の世界とかもそうだよね。


『普段、ネクタイ締めて仕事してるような、〈マジメ〉な人とかにも、「効く」んじゃないかと』
→俺も本当に同感!
今までキャバクラとか風俗とかガールズバーとか、そんなとこにしか向かわなかった呪われた魂も、あの強力な吸引力に吸い寄せられると思うね。
でも、踊りってやはり適切なサイズってある。あれを武道館とか東京ドームで見ても全然伝わらなくて、あの200人くらいのスペースでちょうどいいくらいだよね。
もっと狭い箱の方がさらに伝播力は強いかもしれんけど。


『体のマッサージだけで取れぬ、生のマッサージ=ライフ・マッサージ』
→糸井さんばりに、いいコピーつけるねー笑

ほんと、「てもみん」とかホテルのマッサージだけでは物理的にとれないマッサージ効果は間違いなくある!わしの脳味噌もかなりほぐされましたもの。
脱力して緊張がとれて、自分のいい塩梅を再度模索できる。

六本木とかでもダンスショーとかよくやってると思うんだけど、なんかああいうのとは全然違うんだよなー。もっともっと新しいことやってると思う。相当に未来のことを先取りしているように見える。だからいい言語が当てはまりにくいんだろう。

魂に響いてくるって、やはり相当すごい現象だと思うのよね。
わしはそれを素直に認めてます。はい、本当に感動しましたから!


テレビとか映画とか音楽とか文学とは、また違うよね。違うけどすごくよい。
イイものを堪能した後って、なんか自分の心まで晴れ晴れしくなって嬉しい。
実際やっている踊り手の方々や振り付け家の方々は、色々大変なこともあるんでしょうけど、そんなのを微塵も感じさせずに楽しませてくれる。アリガタイ!
わしもプロジェクト大山に何かお返ししないといかんね。
わしにお返しでできること・・・何かなー。
ま、こうやって感想書くのもその一環かもしれんけど。考えとこうっと。
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